第39匙 ありがたや〜、ヒルダケだけど土日祝にもやっている裏アキバの間借りカレー店:スパイスカレー ブラックデビル(C09)
カレー店の中には、昼しか営業をしていない店が実は多い。
なかには、立地の特性や、経営者の何らかの都合で営業が昼だけ、というケースや、昼も夜も店自体はやってはいるものの、昼はカレー店、夜は居酒屋に様変わりする店もある。
そして、最近多く目にするのが〈間借り営業〉という形態である。
間借り営業とは、例えば、夜にのみ営業をしている、酒類を提供するバーや居酒屋から、営業時間帯外の昼間に、別の飲食店経営者が空間を借りて店を運営する、そのような営業形式の事である。
ちなみに、店舗を借りる側を〈間借り〉、店舗を貸し出す事業者側を〈間貸し〉と呼ぶそうだ。
ここで、不動産会社のサイトを参照してみたところ、普通に新店舗を開店し営業を始める場合、物件を取得し、内装を整え、容器の準備といった初期の設備費用、さらに、運転資金も含めると、最低、一〇〇〇万円が必要になるそうだ。
これに対して、間借り営業の場合、既に飲食店の設備がある物件を借りるため、その際の補償金や内装費は、だいたい五十万円、場合によっては、〇円から店を始める事さえ可能である、と、このように間借り営業のメリットが指摘されていた。
そして、八月の最初の日曜日の昼に書き手が訪れた「ブラックデビル」もまた、そのような〈間借り営業〉をしている店なのである。
間借り営業をしている、昼のみ営業のカレー店の場合、昼食を求める、その店が在る地区の学生や社会人を客層としている事が多いため、営業日が平日だけで、土日・祝日は休業という店が多い。
だからなのかもしれないが、スタンプラリー参加店の中には、平日の昼のみ営業という店も少なくはないのだ。
そして、神田カレー街食べ歩きスタンプラリーの参加者の観点から見ると、平日の昼しか営業していない店というのは攻略難易度が高めの店なので、コンプリートの為にスタンプを効率よく集めるには、いつでも行ける分けではない、昼しかやっていない店を、なるべく早い段階にクリアしておくべきなのである。
だが、「スパイスカレー ブラックデビル」は、平日昼間しか営業していない事が多い、間借り営業のカレー店の中にあって、年末年始やお盆の時期を除いて、土日祝日も営業している、貴重な昼営業のみの店なのだ。もっとも、臨時休業の場合もあるので、WEBでの確認が必要なのではあるが。
その「ブラックデビル」に店舗を〈間貸し〉しているのが、「声優のたまご」という店で、ここは、「声優を目指す人やアニメ・漫画・声優さんが好きな人が『キャスト』を務める」〈コンセプト喫茶&BAR〉、いわゆる〈コンカフェ〉である。
ここが興味深い点で、間貸ししているのが〈コンカフェ〉という事は、まさしくアキバ・エリアならではの地域の特徴だと言い得、つまり、必ずしも、この区域の学生や社会人がメインの客層ではなく、アキバに来るヲタクをターゲットとしているので、昼のみの間借り営業でも、平日に拘る必要がないのかもしれない。
ここのカレーは、「スパイス」や「デビル」という店名に入っている語が示唆しているように、とにかく刺激が強いので、コスパよく辛いカレーを求める者や、辛い物好きのヲタクにとっては、昼間ならば何曜日でも開いている、実にありがたき店なのである。
〈訪問データ〉
ブラックデビル:秋葉原・昭和通りサイド
C09
八月六日・日・十一時四十五分
牛すじ煮込みカレー〈ルウ:スパイシー〉(九五〇);ライス大盛(一〇〇);ラッシー(一五〇):一二〇〇円(QR)
注:メニューは二〇二四年一月から刷新
〈参考資料〉
「スパイスカレー ブラックデビル」、『神田カレー街 公式ガイドブック 2023』、六二ページ。
〈WEB〉
『スパイスカレー ブラックデビル』、二〇二四年五月三日閲覧。
「間借り営業とは?開業の相場やメリット・デメリット」、『東急リバブル』、二〇二四年五月三日閲覧。
『声優のたまご』、二〇二四年五月三日閲覧。
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