壱ノ三 半世紀前の事象

第08匙 昭和四十五年、大阪万博と半世紀カレー:プペ(A04)

 今(令和五年、二〇二三年現在)から二年後の二〇二五年の四月十三日から十月十三日の半年に渡って、大阪では、「大阪・関西万博」、正式名称、「2025年 日本国際博覧会」が開催される事になっている。

 そして、今から五十三年前の昭和四十五年、一九七〇年にも、大阪では「日本万国博覧会」(大阪万博)が催されたのだ。

 つまりは、再来年、二〇二五年の万博は、大阪における二度目にして、五十五年ぶりの日本国際博覧会の開催になる。

 それゆえに、二〇二五年の二十一世紀の大阪万博と、一九七〇年の二十世紀の大阪万博との共通点や差異に関する指摘が様々な所で為されている。


 この最初の七〇年の方の万博(EXPO’70)の会場は、二〇二三年今現在、〈万博記念公園〉になっており、その象徴は、今なお、万博公園に屹立している、岡本太郎氏デザインの「太陽の塔」とその頭頂部に設置されていた「黄金の頭」であろう。


 七〇年の大阪万博(以下〈二十世紀万博〉)には、「鉄鋼館」という施設が出展されていたのだが、二〇一〇年三月十三日に、その「鉄鋼館」は「EXPO’70 パビリオン」となり、〈二十世紀万博〉の記念館としてオープンした。

 そして、二〇二三年八月十一日の〈山の日〉に、増設された「EXPO’70 パビリオン」の別館が一般公開される事になり、その別館には、一九七〇年当時の映像が体感できる「EXPO’70 体感ギャラリー」があったり、太陽の塔の頂の「黄金の頭」など、七〇年当時の遺産などが展示されている。


 終戦二十五周年記念の行事にして、「人類の進歩と調和」をテーマにした、この〈二十世紀万博〉の参加国は七十七か国で、その会期は、一九七〇年三月十五日から九月十三日までの一八三日間、その間、六四二一万八七七〇人の来場者があったそうだ。


 書き手は、この〈二十世紀万博〉の開催時点には未だ誕生しておらず、当然、七〇年当時の状況を直に知っている分けではないのだが、何らかの資料を参照したり、あるいは、二〇二五年の〈二十一世紀万博〉の開催前に大阪の千里に在る「EXPO’70 パビリオン」に赴き、「EXPO’70 体感ギャラリー」を体感する事によって、疑似的に〈二十世紀万博〉を訪れたいなどと考えている。


 さて、二十世紀と二十一世紀の大阪万博が書き手の関心事となり、一九七〇年開催の大阪万博について改めて調べようという発想を抱いたのは、書き手が八月七日の月曜日の昼過ぎに赴いた「喫茶プぺ」の創業が、五十三年前の昭和四十五年、一九七〇年だったからである。

 その開業当時から、「プぺ」では、今なお名物メニューである「特製プぺカレー」が提供されていた、という。

 つまり、最初の「二十世紀万博」と今度の「二十一世紀万博」が開催される、その間の半世紀、喫茶プぺでは、変わらぬ味のカレーを提供し続けてきた次第なのだ。


 そういえば、実写映画にもなった、浦沢直樹氏原作の『二十世紀少年』と、その完結編である『二十一世紀少年』では、一九七〇年の大阪での〈二十世紀万博〉が物語の鍵になっていたよな、などと考えながら、「プぺ」で、半世紀の歴史を持つ「特製プぺカレー」を食べつつ、〈二十世紀万博〉が題材になっている作品を読み直すのもオツだろう、と思う書き手であった。


〈訪問データ〉

 喫茶プペ:竹橋エリア

 A04

 八月七日・月・十四時

 プぺ特製カレー:一〇〇〇円(QR)

 『北斗の拳』カード:No.10「ユダ」〈二枚目〉


〈参考資料〉 

 「プペ」、『神田カレー街 公式ガイドブック 2023』、二十九ページ。

 浦沢直樹『本格科学冒険漫画 20世紀少年』全二十二巻、『本格科学冒険漫画 21世紀少年』全二巻、東京:小学館、一九九九~二〇〇七年。

〈WEB〉

 「EXPO’70」「EXPO’70パビリオン 別館増設および入館料等変更のお知らせ(2023年8月2日)」「大阪万博」、『万博記念公園』、二〇二三年八月十四日閲覧。 

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