まずは読んでみてほしいです。この気持ちがわかる人はきっと少なくないはず。 「推し」という言葉が飽和した現代で、自分の心に悩む青年の話です。 作者さんの丁寧な描写によって切り取られた、一見すると何気ない場面が、少しずつ形を持って近づいてくるような感覚に圧倒されました。 簡単に使えて、それでいて感覚を共有しやすい言葉はとても便利で、でも、どこか当てはまらない、零れた気持ちがあるような気がして……。そんな、言い表すことすら難しい、曖昧な心情をはっきりと書き出したこの作品が、とても好きです。