第12話 両手に花、上下に
それほど広くないベッドの上、ラテックスアレルギーの夫の両側には赤いラバーで全身を覆われた女性2人が横たわる。
アレルギーがなければ両手に花であるが、今の夫にとっては満足に動くこともできない地獄であろう。
何も手を出すことのないお仕置きである事は言うまでもない。
夫は仰向けで目を瞑り、手を重ねて胸の上に置いている。
その姿はまるで神様に助けを求めて祈っているようにも見える。
「じゃあ、おやすみ、ゆっくりと眠れるといいわね」
伊織が夫に嫌味を言ったが、夫は黙って目を瞑った。
伊織と夫、私の3人で川の字になってベッドで横になる。
お仕置きと言っても特に何か危害を加える訳ではない。
単に夫が眠れない状況を作って精神的に追い詰めてやろうというもの。
ラテックスアレルギーの夫にとっては、両側にラバースーツを着た女性がいるだけで、かなりの苦痛であろう。
そんな心情を思って、夫の方を向いて横になっているとなんだか急に眠くなってきた。
昨日からの私はいろいろあり過ぎて疲れたのだろう。
眠気に任せて眠りについた。
どれくらい経ったのだろう。
暑さと息苦しさで目が覚めた。
目の前は真っ暗で何も見えない。
加えて体が動かない。
正確には腕や足は動くのだが、体全体が重く思うように動けないのだ。
おまけに、口に何かがピッタリとくっついて話すことができない。
手をバタバタさせていると声が聞こえてきた。
「お目覚めかな、沙織ちゃんに伊織ちゃん」
聞き慣れた声であるが、いつもの優しい口調とは違う。
その声の主が私には分かる、健太だ。
話そうと唇を動かすが口に何かが密着して話す事ができない。
そういえば、伊織の名前も呼んでいた。
そう思った瞬間、私の秘部に何が触れた。
モゾモゾと動いた後、それは止まった。
私は何となくだが、自分の置かれた状況が分かった気がした。
両手で私の顔に密着しているものに触れてみる。
私から見て左右に二つに割れた柔らかい膨らみ、それに沿って手を上の方へ上げていくと感触で分かる。
“足だ、おそらく伊織の足だろう、そして私の顔に密着しているのは伊織の股間、私の股間には伊織の顔が密着しているに違いない“と思った。
どうなっているのか分からないが、私と伊織は69の形でくっつけられて動けなくされていた。
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