第11話 お仕置き開始

伊織からの協力は、達彦から伊織の銀行にあった全財産を取り返す事、そして達彦にお仕置きをする事。


お金のことはさておき女性2人しかも双子に嫌な思いをさせたことは許せない。

私に嘘はつくし、アレルギーとはいえラバーから助けてもらえずに逃げてしまった。


計画は帰宅した夫を私が普段通りに迎える。

夕食を取り、風呂に入るとさっさと寝てしまう達彦。

そんな達彦を寝室で伊織が全身ラバーで襲うというもの。

観念した達彦からお金を返してもらい、ラテックスアレルギーの達彦にラバースーツでお仕置きをする。


計画を聞いた私は伊織に提案する。

ラバースーツの予備があれば、私も一緒にお仕置きを手伝いたいと。

伊織と健太は笑って私が寝ていたベッドの奥を指差す。

そこにはラバースーツと衣装が一式あった。

それを見てから伊織の方を見る。

「これは私の、そっちはお姉ちゃんから脱がせた分」


私が達彦にお仕置きするのに協力すると言い出すのを読んでいたのだろうか。


改めて作戦を練る。

私は帰宅した達彦を普段通りに対応して、先に寝室へ向かわせる。

寝室では伊織が待機。

その間に私は伊織と同じラバースーツと衣装に着替えて階段を登る。


ワザと大きな音を立てて階段を登るのが合図、その音をキッカケに伊織が動き出す。

当然、ラテックスアレルギーの達彦は伊織から逃れようとするところを2人で挟み撃ちにする。

念のため、逃走を図られないように、健太は玄関外で待機。

逃げようとしたら玄関の扉を開かないようにする役目。


こうして、それぞれ持ち場へと分かれる。

伊織はマスクも被り全身ラバー姿になり寝室へ。

健太は外に駐車している車へ。

私は普段通りに夫の帰宅を待つ。


帰宅時間になり、そろそろと思った時健太からスマホに連絡が入る。

[ターゲット帰宅!]

ターゲットって、私が健太からの連絡に微笑していると、玄関の扉が開いて夫が帰ってきた。


私の姿を見て驚いている。

「昨日は一体どうしたんだ?あんな格好で」


「え、なんの事?私、昨日は実家に帰るって置き手紙していたんだけど」

そう言って置き手紙を見せると、夫はかなり動揺しているようだった。


「え、あなた、どうしたの?あんな格好ってどんな?」

私は逆に質問してみたが夫は、動揺を隠しきれないまま強引に話を終わらせる。

「もういい、何でもない!」

夫が語気を強めて言い張ったので、それ以上はその話題には触れなかった。


しかし、夫は食事をしながら何か考えている様子であった。

その後は黙って食事を摂り、風呂に入るとさっさと寝室へと上がっていった。


“作戦開始!“

私は心の中でそう呟き、ラバースーツに着替え始める。

一度着たことがあるためか、それとも長時間ラバースーツに閉じ込められスーツが伸びたのかは分からないが、簡単に着ることができた。

ラバーのペニス付きのショーツもハイレグ水着もパンストなども今日はない。


サイハイブーツにワンピース、パーカーを着てからマスクを被る。

「あれ?」

内側のマスクに付いていたペニスがなくなっていた。

これはこれで話せるし、呼吸も楽だからいい。

そう思いながら、背中のマスクに手を掛けて固まる。

そういえば、外側のマスク被ると視界がなくなるんだった。

そう思いながらも、早くしないと作戦が失敗してしまう気がして急いでマスクを被る。

「あれ?見える」

前は見えなかったのにハッキリとではないが、ある程度の視界は確保されていた。

「行ける!」


私は階段へと向かい、ワザと音を立てて登り始めた。

「うわっ!」

程なくして寝室から声が聞こえてきた。

夫の声だ。

そして、寝室の扉が勢いよく開く。

扉を閉めて階段へ向かって逃げようとして、私の姿を見て固まり声を上げる。

「うわっ!なんで?」


夫は私が寝室に居たのに、瞬間移動でもしたと思ったのだろうか?

逃げるように寝室へと再び入っていく。


そして、何とも言えない悲鳴を上げた。

私も夫の後に続いて寝室に入ると、伊織の前で縮こまり膝を抱えて座り込み震えている夫の姿がそこにあった。


「さあて、私が誰か分かりますよね、達彦さん」

その口調に夫は言葉なく、頷く。

「伊織だろ、すまない、あんな別れ方をして」


二人の間の事情は私には分からないし、介入すべきではないのは心得ているが、気になるのでその場から離れられなかった。


伊織が散々夫を罵った後、ベッドの真ん中で横になるように指示する。


この後どうするのかは、私は聞かされていなかった。

伊織が夫と並ぶ形でベッドに横たわる。

「お姉ちゃんもベッドに上がって!」

そう言われてベッドへと上がり、伊織と私で夫を挟む形で横たわった。


「朝まで私たち姉妹が貴方にお仕置きして上げるから覚悟して」

伊織は嫌味を込めた絡みつくような口調で夫に言った。

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