第8話 女性警察官

“もうどうでもいい、好きにして!“

泣き疲れ気力を失った私の元へ一人の女性警察官がやって来て話しかける。

「あなた、話せないんですよね」

私は力なく頷く。

「それ、あなたが着ているのはラバースーツですよね」

私はただただ頷く。

「ラバースーツ脱ぎたいですか?」

私は頷く。

「そのラバースーツを脱がせる事ができたら、私にもそのラバースーツを着せて貰えますか?

私はその言葉を聞いて、一瞬固まった。

“ラバースーツ、脱がせて貰えるの?どうやって?“

「ダメなんですね」

私は全力で首を横に振った。

「いいんですか?」

今度は縦に首を何度も振った。


「取り敢えず、その枷を取らないと脱げそうにないので、順番に外していきますね」

私はまた縦に大きく首を振った。


先ずは首の枷から取り掛かってくれた。

程なくして、『カチッ』という音ともに首枷が外れた。

続けて、左右の手枷も外れた。


足枷はそのままで、ピッタリと体に張り付くパーカーを脱がせにかかる女性警察官。

しかし、なかなか上手く脱げない。

そこで、女性警察官は何かを取りに行った。


少しして戻ってきた女性警察官が話し掛けてくる。

「沙織さん、体にラバーの潤滑剤を塗って脱がしやすくしてもいいかな?」

私は縦に首を大きく振ってから固まった。

え⁉︎ 今、確かに私の名前が呼ばれた。

疑問は残るが話せない私は彼女に私の名前をなぜ知っているのかについて聞く事もできない。

その間にも彼女の手がパーカーとワンピースの間に入り、潤滑剤を私の胸を中心に体に塗り広げていく。

確実に乳首が勃起するのを感じながらも、この女性警察官に身を委ねた。


女性警察官の手が私の体を舐め回すようにして、潤滑剤を塗っていく。

その手に触れられているだけで、私は感じてしまうが体を強張らせて精一杯堪える。


そして、ピッタリとしたパーカーを脱がせるための潤滑剤を塗り終えると、そのお陰もあり、いとも簡単にパーカーを脱がせてもらえた。



パーカーが脱がされ、次は手先がお団子のようになったロンググローブが外される。


ロンググローブを脱がせてくれた女性警察官が声を上げる。

「あら、厳重ね、ご丁寧にテープでグルグル巻きにしてるわ、健太のヤツ酷いわね」

私は耳を疑った。

健太というのは、私をラバー人形にした元彼の名前。

なぜ、この女性警察官は私の事だけではなく、健太の事まで知っているのだろう。


今すぐにでも、この女性警察官を問いただしたい気持ちでいっぱいだが、今は話す事もできないのでただ脱がせて貰うのを待つしかなかった。


お団子のようなロンググローブも脱がせてもらい、手をグーにして巻きつけられたテープも外された。


久しぶりに手の自由を取り戻した私は、すぐにラバースーツと一体のラバーマスクに手を掛けた。

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