第6話 誤算

そして、今日一日を振り返る。

元彼との決別のため、元彼の要求通りラバースーツを着せられた。

そこまでは良かった、私も気持ち良かったから。


第一の誤算は元彼がラバーの衣装も含めて全て脱がしてもらえると確信していたが、そうではなかった。


第二の誤算は夫が帰宅し、この姿を見られたこと。

それでも、脱がせてもらい正直に謝罪するつもりでいた。


第三の誤算は夫がラテックスアレルギーであった事。

この事が今の現状に至るキッカケとなった。

そして、ラテックスアレルギーの夫は、全身ラバーの私と一緒にいられなくなり、家を出て行ってしまった。


最大の誤算は、コンビニの女性店員なら私を救い出してくれると思った自分の浅はかさ。

顔が見えているならともかく、顔も見えず話せない相手


しかし、結局のところ私は他人の事を全く理解していなかった。

行き着くところは自分が全て悪いという事。


トリモチですでに満足動けない両手に手錠が掛けられた。

そして、全身をビニールシートで包むようにしてからパトカーへと乗せられる。

トリモチでパトカー内が汚れない対策。


両側の警察官に挟まれ、ビニールシートの上からシートベルトをされた。

側から見れば私は何か分からないだろう。

赤いモノがビニールに包まれて連れて行かれるのだから。



夢であって欲しいと思った。

しかし、無常にも現実。

パトカーから降ろされた際、ビニールシートを外そうとしたがトリモチがくっついて取れなくなっていたため、そのまま留置所へ放り込まれた。


“私、どうなるだろう?死刑とかにはならないよね“

そう思いながらも寝ようと努力する。

眠って起きたらいつもの日常に戻っている事を期待して。

しかし、寝返りを打つとビニールシートの『ガサガサ』という音で眠気が飛んで現実に引き戻される。


留置所に放り込まれる際、明日は取り調べが行われる事が告げられた。

だが、私は話す事ができない。

“本当に私どうなってしまうんだろう?“

涙をながしながら気づけば眠っていた。

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