第26話
「ほら、いじけちゃったわね。明のせい。ミカエル結構反応が素直なんだし、からかったらだめじゃない。」
「だっていつにも増して感じ悪いからさ。電卓だってもうちょっとは愛想良いね。」
明は彩華たちが買っていない、どこから取り出したか不明なブラックコーヒーの缶を開けながら話す。
「ちょっ!?うおおっ!!こぼす溢すやばい!何するんだ!」
「ブラックコーヒーは心臓にあまりよくないですよね。いつの間に買ったんだ全く。」
ミカエルは明のブラックコーヒーを取り上げて、代わりに三分の一ほど飲んで、机に置いてから筆談する。
「明!!何してるのよ。今日はキスもハグも無しにするわね。
怒ったわよ。」
彩華が明を睨む。明は彩華から目を逸らし通路を見つめつつ、小声で呟く。
「えーー、、そんな、、。たまには良いじゃん、本当はコーヒーも酒も好きなのになあ。」
「ミカエルはやっぱり優しいのね。
見てないようで色々人が困ってるか見てるし、手を貸してくれるし。
、、ミカエルって、学内で見てるだけでもご高齢の教授の荷物気がついたら持ってあげたり、
敷地内に遊びに来る近所の子どもが危ないことしていたら親御さんのとこまで連れて行ってあげたり。
この前は迷子の犬を事務室に届けてたわ。
、、何がストレスになってしまったのか分からないけど、ミカエルって皆んなが思うほど無愛想で怖くないし、、優しい。
ミカエルが、あたしがわからない何かに悩んでいてもあたしはミカエルの良い点を知ってるよ。
明や彩華も知ってるし。
きっとミカエルなら上手くいくわ。」
コンスタンツェが、明の持病を心配して、違う作業をしている片手間に目敏くコーヒーを取り上げたミカエルを見てしみじみと話始める。
「!?、、!」
ミカエルはコンスタンツェに学内での行動を見られていたのに驚き、切れ長のアイスブルーの瞳を見開きコンスタンツェを見つめる。
そのうち顔が熱ってきてしまい、熱っていることも恥ずかしくてミカエルは視線をそらし肘をついて軽く俯いた。
コンスタンツェはそんなミカエルを見ながら自信あり気に話を続ける。
「ふふふ。びっくりしたでしょう?
ミカエルがぜんっぜんまともに話してくれないから逆にどんな人か気になってきてたまに見てたの。
話すの苦手でも気にすることないと思う。
だってミカエルの性格は行動に出てるから。
あたしね、小説家を目指して文芸学部に入ったのね。だから、人の行動の観察は、小説のためにたまにやってて得意。
そんなに恥ずかしがらなくても良いじゃん。意外と照れ屋なのね。」
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