第25話
「ミカエル、、おい!ミカエル!
、、隣にいて黙ってられたんじゃスタンツも困るよ。、、朝の列車で経由駅に着くまでも寝るわけでもなく黙っててさ。2本目に乗って午後になっても黙ってるし、、どうしたのさ?」
ミカエルは集中して山道の地図を見ていたが、明の黒い瞳に強く見つめられ、声を張られて頭を上げる。
「地図を確認してました。この中で登山やハイキングに詳しいのは私だけなので。
、、コンスタンツェ、この間は体調を心配してくれてありがとう。
私は元気ですよ。少し演奏のストレスで声が出ないみたいですが。直に治ります。
私も久しぶりにハルツには来たかったし、、貴女をはじめとしてここの三人には良くしてもらっています。特に声がこうなってから。
、、今日は楽しんで欲しいです。
私は声が出ても出なくても、いつもこうなので気にしないで。」
ミカエルは、明に言われてコンスタンツェを困らせていたのかと思い至り、筆談する。
「、、ありがと、ミカエル。そしたらあたしにも登山で気をつけた方が良いこととか教えて。ミカエルに元気になって欲しいし。、、ミカエルにも楽しんでほし、」
「それは三人にあらかじめメールしましたし、参考になる資料やホームページも紹介しました。、、コンスタンツェは、頭が良いし読めば大丈夫かと思うので、分からなければ聞いてください。」
ミカエルはコンスタンツェに言われて、なぜ事前に送ったことを、普段頭の回転も理解も速いコンスタンツェが訊くのかわからずに、彼女の話を遮り、ノートに文字を書く。
「、、、ブロッケン山行くんだったよね?確かゲーテやハイネも登った山で。風景について残した文学作品もあるよね。、、ここまでは、、文学に関心ない俺じゃあるまいしスタンツは知ってるね。
でも、確かルートが色々あるんだよね?
ミカエル、スタンツェが関心持ちそうな文豪ルートをたくさん調べていたよ。今日のために。」
明がミカエルが書く内容を見てからポツポツ話し始める。
「明、、今それをどれが1番よいか考えていたのに、、」
ミカエルは思わず明を軽く睨んで雑にノートに書いたが、その隙にコンスタンツェはミカエルの手元の小さいガイドブックを奪い、勝手に手に取り付箋を貼ったページを読み始めた。
「すごい!!夥しい量の付箋!それにメモも挟んである。すごいリサーチ能力!
ネットも使ってガイドにない情報も調べてくれたの??」
「図書館にある本も見てたよ。、、ミカエルは、、スタンツも知ってるようにお勉強もできるし。歩く演算機って感じ。」
「ちょっと演算機は酷いじゃない。冷徹みたいよ。演算機じゃない、、あったかい人だけど、、まあ明が言いたいこともわかるわ。情報分析力すごいもの。アナリストにでもなれそう。」
明が茶化すと、彩華が苦笑いしながら、ミカエルの目を見つめつつ話す。
「皆んなして人を好きに言ってるみたいですが、、アナリストなら父になれと言われましたが、、フルートがやりたかったしなりません。
演算機で悪かったですね。」
ミカエルは綾華と明を冷めた目で見ながら返し、また地図に目を向ける。
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