第21話

明がミカエルと一緒に寮に帰ると、寮の入り口にコンスタンツェがおり、2人を待ち伏せしていた。


「あっ!明にシュルツ君!!

フランクフルトどうだった??

前も言っだけどさ,2人ってわりと学内で目立ってるし。フランクフルトでの演奏会について学内誌のためにインタビューしたいなって。」


「スタンツ。わざわざ待ち伏せしてたのか。。インタビューするのは別に良いけどさ、さすがに帰ったばっかで俺たちも、、ミカエル!!どこ行くのさ。」


ミカエルは、明がコンスタンツェに呆れ顔で話していると、明より先にコンスタンツェも無視して歩いて行く。


「、、シュルツくん?そっか。2人ともお疲れよね。配慮がなかったわ。でもさ、取材じゃなくてもなんか2人がいないと私には物足りなくて。普通に話したかったのよ。、、別に2人が一眠りしてからでも良いけど、、ちょっとシュルツくん!!何か言ってくれたって、、」


「、、スタンツ、ごめんね。ミカエル体調崩してさ。声が出ないんだ。一時的にね。」


明がコンスタンツェに事情を話すと、ミカエルは立ち止まり明を睨んでからまた先に早歩きして行ってしまった。


「、、え、、そうなの??風邪すら普段引かない様子の、、シュルツくんが!??


、、ね、待ってよ!!、、大丈夫??声までやられるなんて相当酷い風邪でしょ?

、、私良かったら何か作るからさ。栄養あるもの食べたら良いよ。インタビューはまた今度にするから。何か食べてから2人ともゆっくり休んで。ね?」


コンスタンツェは、階段を上がろうとしていたミカエルを追いかけ、声をかける。


ミカエルはコンスタンツェを少し驚いたように見たあと、何か携帯電話の画面に書いて見せている。


「、、、気持ちはありがたいですが、私に構うだけ時間が無駄です。明に先にインタビューしたら。明なら私と違って話すのも上手いし。」


コンスタンツェはきょとんとしながら画面を読み上げる。明はさすがに不愉快でミカエルに詰め寄った。


「何だよ?嫌味ったらしい書き方して。

ドイツ語が下手な俺がお前より饒舌なはずない。

俺に言いたいことあるならいつもみたいにはっきり言えよ。

、、あとスタンツに謝ってよ。さっきから態度悪いって。」


明はミカエルを睨んで言ったが、ミカエルは明には反応せずに階段を上がっていく。


「、、わけわからん、、スタンツ、悪いね。

なんか機嫌悪いみたいだ。、、あんな嫌味普段言わないのに。」


明は苦笑いしてコンスタンツェを見た。コンスタンツェは首を振る。ミカエルに冷たい態度を取られてもあまり気にしてはいないらしく、ブラウンの明るく勝ち気な印象の瞳を明に向け、落ち着きと活発さが混じった美貌を綻ばせた。


「大丈夫。明が気にすることじゃないわ。

私、接するの難しい人ほど燃えちゃう!

、、わからない人ほどミステリアスだしインタビューも楽しいわ!」

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