第2話
***
少年のような肢体を携えて、美しいブロンドの髪が風になびいてキラキラと光った。
振り返る学生たちを他所に、興味なさ気に木陰の中を彼はのんびりと歩いている。
目を引く彼に“こっちを向いて”と心が躍った。
「よぉレオ、引っ越しは上場?」
僕の名前はルゥオーギュスタン・ド・レオ。
「久しぶり。なぁ、あの目立つ人は?」
Écoles pour Spécifique à l'art.
この地域では、芸術を学べ、寮があるというが大学は珍しい。
寮で生活し、芸術をより深める学びを得るため。
今日は数日後に控えている転入式のためにも、遠く離れた田舎から汽車を使って5時間。前乗りだ。
しっかりと揺られた腕や足や腰は、バリバリと乾き切ったノリのようだ。
ーーー見つけた。
転入受験で受かったは良いものの、
人生では悩みの種は次から次へと芽を出す。
最近では描きたい題材も思いつかず、絵を学びたくて通う予定の大学で、何をしようかと目標を見失っていた。
「あぁ、エマニュエル・モローか。やめとけやめとけ、容姿も中身も女優だよ」
ヒラヒラと手を振る友人の脇からエマニュエル・モローを見る。
エマニュエル・モロー
彼の容姿は彫刻で彫られたかのように美しく端正な顔立ちをしていた。
他学生に悪戯っぽく微笑む悪い顔ですら、繊細だ。
女子学生がコソコソと彼の顔をみて黄色い声をあげている。
彼女たちが彼を見てヒソヒソをざわめくのを僕は理解できる。
ほほに触れてみたい。目を合わせて向き合って話してみたい。
少し離れた距離から聞こえる彼のさくら色の唇から漏れる声は、小鳥のさえずりのように美しかった。
「決めた!エマニュエルにする!」
「あ?!なにを決めたんだよ!どこいくんだ?レオ!」
「エマニュエルのところ!追いかける!彼を描く!」
僕は友人に背を向け走る。
友人のFはあきれて僕を見ているだろう。
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