第64話 ルナ、激戦に参戦!
乱戦個所から5km以上離れた空。
そこに爆速で現れてホバリングするルナ。
千倍拡大視で狙いを定める。
日頃から鍛練し、更に倍率も増え、著しくパワーアップさせてきたヌンチャク技を炸裂させる。
〈ハイパーレールガン!〉
[ ▼挿絵 ]
https://kakuyomu.jp/users/kei-star/news/16818093077706678951
戦乱を
百km先をも瞬時に往来する超金属ロッドの一撃で百程の敵をも吹き飛ばす。
その両脇のダブルヌンチャクで左右次々と数十発ブチ込む。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッシュ―――――ン
[ ▼挿絵 ]
https://kakuyomu.jp/users/kei-star/news/16818093077706686862
押され気味エリアを一気に引っ繰り返す。ルナの最速狙撃スキル。
〈ホイルカッター!〉
一撃で遠隔の多数を狩る回転投てき技。
摩擦で光る円盤と化し回転速度マッハ千超のそれは、長距離弧を描いて敵の群れを切り裂き続ける。
ビュオォォォォォォォォォォォ―――――ッ
[ ▼挿絵 ]
https://kakuyomu.jp/users/kei-star/news/16818093077706693561
更に殆どの遠隔魔法を跳ね返してきた頑健な大型魔獣の首でさえアッサリ飛ばし、尚も飛翔して行くそれは危険過ぎて止められない。
千倍視で少し脇に目をやると超音速怪鳥にアタック攻撃される味方達。宙からの魔法戦を繰り広げていた味方魔法師の数人が死にそうになって苦戦している。
だが今や超音速さえ遥かに上回って空を滑走・跳梁出来るルナは
「もうちょっとだけ行っていいでしょ~」
と早くも後方支援という事を忘れる。
……そもそも魔物たちも魔人もこんなフィジカル出会ったことないみたいだし~、目で追うのも難しいボクなら狙い撃ちされる前に動き回って的から外れちゃえばいいんだよね!
飛び交う敵・魔導師の目も追い付かせず縦横無尽に空を駆り、音速怪鳥の頭上に『万倍速』。
さながらテレポート的速度で出現、10体以上の群れへとほぼ同時に――――
ドゴゴゴゴゴゴゴッッッッ!!
見えない速さの正拳突・掌底打ち、貫手突き、廻し蹴り・手刀、膝蹴り、後ろ廻し蹴り、肘打ち・踵落しそしてブラジリアンキックで瞬間撃墜。
この間わずか0.0001秒。
[ ▼挿絵 ]
https://kakuyomu.jp/users/kei-star/news/16818093077706700422
魔法など発動出来る筈もない。
更にその勢いのまま味方達の苦戦する巨大炎を撒き散らす百五十M級の超巨大獣へと突っ込み
「頑丈で遅くてデッカイの得意!」
〈バーンアウト・メテオッ!〉
[ ▼挿絵 ]
https://kakuyomu.jp/users/kei-star/news/16818093077706706871
周囲の空気さえ燃える超回転ヌンチャク廻しで数万倍速の突撃をして軌道上の全てを滅却する。
隕石さえ燃え尽きて消滅する摩擦速度での不可視の激速突入と亜光速のヌンチャクハンドミキサーで通過後に何も残さない。
バフォッッッッッッッッッッッ!
[ ▼挿絵 ]
https://kakuyomu.jp/users/kei-star/news/16818093077706713764
あたかも自壊した様に見える。断末魔さえ上げる間もなく崩壊してゆく巨大獣。
「え?……ああ…… ?!……何が起こった?……」
魔物どもだけでなく味方達すら圧倒、唖然。
多くの転生者がそれぞれの特異な性質で常人に無い能力を有するが、その殆どが憧れの魔法力を転生時に希望し、それを有するに足る条件を手にする。
電撃系魔法のエマが電気に耐性があるのも神から許されたステータス評価の
同様にフィジカルに長けた前世を生かし、更に今世で高めた物理超偏重と徳倍率のルナ。
結果的に神から許された恐るべき摩擦熱や衝撃への耐性は投石や火焔も跳ね返し、巨獣すら肉弾戦で制し戦局を覆す。
一部始終を千里眼でチェックしていたルカが呆れながらテレパスを飛ばす。
《ちょっと、ルナやり過ぎ! そんな目立ったらファスターさんに怒られるよ! それにどっちにしても今、隊長から例の特別任務の召集が掛かった! 直ぐ戻りなさい!》
「イヒヒヒ、ちょっとスッキリした~! じゃ、みんな、後は頑張って~」
そう言って状況を
『なっ!……』
言葉を失う。遥か彼方ギガダンジョンまでの敵軍勢の大行列がその松明とかがり火によって浮かび上がる。
前線での衝突エリアに備える後方の控えの軍勢の余りの数の差。
[ ▼挿絵 ]
https://kakuyomu.jp/users/kei-star/news/16818093077706720428
約千倍の群れを目の当たりにして、勝利どころか一体いつまで保つのかと不安に陥るルナだった。
* * *
ギガダンジョン付近の空。
遂にファスター親衛隊特別任務が始まる。
宙にホバーする緊張に漲る面々の仲間達。
ファスターの脳内量子演算〈分析智〉により練り上げた作戦の本丸である。
召集された戦士は副隊長ソフィーの元、選抜したサイキック精鋭部隊二十名、四元素の各長たる四天星の四人、レイメイ兄弟、エマ、さらに末席にルナ達。
総勢32名による特別任務。
各面々の意思を確認するように見渡すファスター。
出陣に向けて円陣を組む。
「今からこの闘いこそがこの決戦の要だ。北方の前線は四天星副隊長以下、主力が総出で頑張ってくれている。
だがそれは陽動作戦でもある。そしてこちらが少数精鋭なのは敵の虚をつくための隠密性によるものだ」
全員の真剣な眼差しがファスターに注がれている。
「私はこの戦いに賭けている。キミ達はそのための精鋭として召集された事を忘れないでくれ。
そして私達はこれに勝利し、今まで成し得なかった次のステージに必ずや繋げる、命を賭けてやりきってみせる。
だがこれは北方の最前線以上に危険を伴う作業だ。是非気を引き締めて頑張ってくれ!」
「了解!」
一分の隙もなく志気も高い面々。ニガニガしい記憶もそれに一役買っていた。
以前、四天星やレイメイを含むパーティーがこの第1、第2層を統べる2大魔導師を倒すも地獄の門番に歯が立たず撤退、という過去が脳裏を
エマにしても
絶対リベンジだ!と意気込みは高まる。
* * *
暫くして北方戦線より抜けさせた四天星の動きに気付き憤慨する政府首脳陣。
その大幅な戦力減を咎めようとするも、自らが先頭を切って期待を越えて活躍する四天星の副隊長たちが千倍の軍勢に怯む事なく互角の戦いを見せる。
何より、今迄にない四元素全隊の協力的な奮闘ぶりに戦局は想定よりも有利に進んでいた。
これには黙らざるを得ない首脳陣。
* * *
一方、ファスターの作戦準備が進んでゆく。各要所へ適材適所、連れテレポートしてゆく。
「私達の行動は全てサイキックバリアのひとつ、〈思念ブロック〉で隠密行動と成っている。その為の少数精鋭。この人数なら派手に動いても敵に気付かれないから大いに暴れてくれ。
まず四天星の土、水の魔術で大河の塞き止め最適化、これを頼む。要所は指示した通りだ。下準備の後、合流する!」
そうしていよいよ作戦の肝、ソフィー、ファスター、レイメイ兄弟の四人でギガダンジョンより更に北の果ての海へ、海中へと入って行く。
そのソフィーのサイコキネシスで球状に避けた海水の中で思わず
「しかしファスターさんもスゴイこと考える! 俺等はただ正面からぶつかることしか考えて来なかったのだから……」
そう、約二年前、ダンジョン第二層へと突入し、〈超核分裂・ヌークリアディビジョン〉を地獄の門番へと直撃。
この一日に一、二度しか出来ない魔法界最大の
取り囲む屈強な魔物たちを命からがら振り切って逃げ帰って来た屈辱の記憶。
「これなら安全かつ最高に嫌がってもらえるプレゼント間違いなし!」
海底の地中へ爆裂スキルを埋め、限界最大の猛爆発を巻き起こすレイ・メイ。
「いくぞ、メイ……最大強度!」
〈ヌークリア・ディビジョンッ!!(超核分裂)〉
[ ▼挿絵 ]
https://kakuyomu.jp/users/kei-star/news/16818093077706727710
すると同時にその水中の衝撃をファスターが更に増幅。
〈超サイパワーウェーブ加速!〉
すかさずソフィーによるテレポートで全員地上へと脱出させて一味と合流。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド……
唸りを上げた海底の大衝撃波が超巨大津波を誘発。
計画通り巻き起こる怒涛の超巨大洪水。
ギガダンジョンをも水没させる程のそれは山なりに急襲、激しい速度で陸を駆け上がる。
膨大な海水は上下流の塞き止め効果もあり、進路を横ぎる大河すら突き抜けホールへと到達。
第一層の外縁部のクレーター円環状尾根を越え、その内部中央ヘのすり鉢状の第二層ホールへと大瀑布となって雪崩れ込む。
[ ▼挿絵 ]
https://kakuyomu.jp/users/kei-star/news/16818093077706733397
ジュジュジュジュジュジュジュジュジュジュジュジュジュジュジュジュ―――――――ッッッッッッ
その第二層底面に蠢くマグマ怪物に触れた海水は瞬時に蒸発して周囲を蒸し風呂に。
[ ▼挿絵 ]
https://kakuyomu.jp/users/kei-star/news/16818093077706741612
だが浸かる程になると第二層が茹で釜状態へ。更に完全に水没し第二層がボコボコと超巨大沸騰温泉となり高温高圧のスチーム地獄へ。
このまま蓋をしていればいかに通常の溶岩より温度が高いマグマ怪物でも膨大な海水へと熱が奪われ岩の塊と化してしまう。
「怪物よ、お前は上がるしかない! 」
第二層の穴付近の宙から見下ろしながらそう呟くファスター。
抜かりなく、だが自信に満ちたその表情。
ファスターを囲むように宙をホバリングする全メンバー。
水没してゆくその圧倒的な光景を陶然と見つめていた。
「第一作戦成功、次に移る。
……前線も頑張ってくれよ」
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大胆な奇策に出たファスター。地下世界で壮大な闘いが今、幕を開けようとしていた。
こんな彼らの成功へ、応援をして下さる方。
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