第3話 職場体験へ

「よーしお前ら、今から職場体験に向かうが決して迷惑はかけるなよ」


 先生の合図を号令に班に別れてバスに乗っていく、俺の班は所謂、陽キャの巣窟だ。

 班分けの時に休んだのが運の尽きだったか? というか岸本よ、なぜ俺を班に誘わなかった? そう思い岸本を睨みつけると、すまんすまんと頭を下げられる。そういえば、あいつは俺と違って友達が多かったな····


「とりあえずバスに乗るか」



 〇



「ぎゃははは!」

「それヤバすぎだろ」


 早く着いてくれ! 俺たちの班が向かうのは警察署だ。 ここから1時間もかかるらしい。なぜ警察署なのかと言うと俺にも分からない。聞いた話によると、この班のリーダーが決めたと言っていたな。


(てか、こいつら寧ろ補導とかをされる側の人間では?)


 と失礼なことが頭に浮かぶが、実際に補導されたとか自慢していたし、強ち俺の考えも間違いでは無いよな。そう思っていると····


「おい溝口」


「あ、はい」


 急に肩を叩かれる。痛いし正直怖い。

 今、俺の名前を呼んだのは葛木龍斗(くずき りゅうと)典型的な不良で昔は仲が良かったが今は全然仲が良くない。俺と山口が友達であることに対して突っかかってくる奴だ。


「お前向こうに着いたら別行動な」


「そうそう!お前根暗でキモイからな!」


 わざわざ言わなくても一人で行動するわ! くそ! 俺も強気で言える立場なら言ってやったのに。


「一緒の班で申し訳ない」


「ほんとにそれ」


 この班唯一の女子からも同意された。一体俺が何をしたというのだろうか、ちょっとばかり目の敵にしすぎやしないか?




 ~警察署到着~




「疲れたな」


「マジでそれな〜!」


 葛木たちが降りるまでは待機しておこう。改めて警察署を窓からみるが、かなり大きい。この辺りでは一番大きい建物とか言われていたな。そう考えていると「君で最後ですよ」と、運転手から声がかかる。慌てて荷物を持って一言謝ってから外に出ると、警察署の前で金色の髪をした綺麗な女性が立っていた。


「これで全員揃ったようですね!」


 綺麗な女性はよく通る声でそう呼びかける。

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