第2話 登校
「またあのニュースが流れてるぞ!」
「本当にかっこいいよね!」
前で話す学生たちを見ながら思う。こういった話をよく聞くと、最近どうも世間が騒がしい。巷を騒がせる怪盗が、近々ゴルド社の本社に現れると警察に宣戦布告。
聞いた話によるとこの怪盗とやらは、度々現れては警察に喧嘩を売り、会社や如何にもヤバそうな組織から金品などを盗んでいくらしい。
しかもその金品を貧しい人に分け与えるなどまるで義賊なわけだ。だから周りの人達は支持し始めて、最近では警察の行動を邪魔する人達まで現れたとか。
「本当にままならないよな」と呟いていると突然肩を叩かれた。
「よ! 何ぼそぼそ喋ってんのよ根暗!」
この女は俺の幼馴染で名前は山口麻耶(やまぐち まや)いわゆる美少女だ。こんな俺なんかと一緒に登校せず、先に学校に行けばいいのにと思うが、多分口にすると怒るのでやめておく。
「別にただの独り言だよ」
「ただの独り言? 晶って最近ほんとに独り言が増えたよねモテないよ?」
うぜえー、まあモテないのは事実だが失礼なやつだな!
ちなみに俺の名前は溝口晶(みぞぐち あきら)どこにでもいる、ただの高校3年生だ。今は受験に備えて勉強をしている。
「前の人の話を盗み聞きしてたんでしょ?」
「盗み聞きとは人聞きの悪い」
「晶はもう少し世間に関心を持つべきよ」
「俺は自分の興味があること以外には基本無関心なんだよ。」
「はいはい、またひねくれた話ね。だから友達がいないのよ」
やっぱりこいつ失礼だわ、それに友達くらいいるわ! まあ一人しかいないけどさ····
「あれだ俺と話が合わないんだよ、みんな」
「それじゃあ、私とは話が合うわけ?」
少し顔を赤らめながら山口は言ってきた····
「ただの腐れ縁だろ」
いってぇ! こいつ蹴りやがったぞ!
「ふん! そんなんだからモテないのよ!」
そういいながら先々と進んで行った。というかモテないとは失礼だな。そんなことを思っていると、また後ろから肩を叩かれた。
「また彼女とイチャイチャか?」
このニヤニヤと嫌な笑みを浮かべる男は、さっき話した俺の唯一無二の友達である。岸本優雅(きしもと ゆうが) ニヤニヤさえしてなかったらイケメンなのに、なんて残念な奴なんだ。
「違ぇよ! つーかあいつは俺のことはむしろ嫌いだろ」
さっきも蹴られたしな!
「はあ? お前の頭は大丈夫か?」
やれやれと言いたそうに首を振りながら、頭の病院でも紹介してやろうかと言う。やはり、俺の周りは失礼なやつが多すぎないか?
「てか急がないと遅刻になるぜ!」
お前が呼び止めたんだろが····! という気持ちは胸にしまって。
「ああ…そうだな」
重い足取りで学校へ向かう。そういや今日は職場体験があったな。
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