暴動
国境ゲートは封鎖された。
補給班でなく軍の馬車が、コニー・アーベルの元に現れる。
「コニー」
浮かない表情でアルフィーは新聞を差し出す。
一面に掲載された隣国の激しい暴動。
「暴動が激化して、内戦が勃発? 帝都でも批判が増加してるって……どういうことだよ」
「そのままの意味です。コニー、招集がかかっています」
「俺が? ライアン大佐は」
「マッケナ総帥直々の命令ですから、逆らえませんよ。大佐からコニーはマッケナ総帥の親類護衛に任命とのこと。そして、本日をもってこの場を放棄します」
世話をしてきた小さなリンゴの果樹園。
ウグイス色のテント。
遠くを見つめる、青い瞳をした狼。
コニーは痛々しくその景色を視界に映す。
「……君は、どこに行くんだ?」
「ボクのことかい、目的は果たした。ここで永遠にリンゴを食べて過ごしたかったけどそうはいかないね。ライアンとメリナによろしく、コニー、アルフィー」
「えぇ、伝えておきます。さぁコニー時間がありません」
「……君の目的は?」
「赤ずきんの故郷を見にね、ここは彼女の故郷だったんだ」
コニーはもう一度、リンゴの木々しかない無人を極めた廃村を眺めた。
「またいつか、君に会えるかい?」
「お互い生き残っていれば。その時はまた調査に協力してあげるよ、リンゴ1年分付きでね」
調子の良い言葉に、コニーは呆れ微笑んだ――。
狼さんと狩人さん Akikan(仮) @OBkan
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