第7話 お兄ちゃんは、頼りになる(財布)
いやー、やっぱりひとりっていいな。
久しぶりの何の予定もない休日。
お昼ご飯とほぼ一緒の遅めの朝食を摂った後、私はソファに寝そべってうたた寝していた。
寝坊できるし、アニメも見放題だし、ダラダラできるし。
ひとりの休日は最高だ。
まぁ、溜まった洗濯物は片付けないといけないし、部屋も掃除しないといけないからやることはあるけど。
そういや陽菜多が居る日は奴が分担してやってくれるんだよなぁ。
「……」
駄目だ駄目だ。
せっかくの休日なんだから独り身の自由を謳歌しなきゃ。
「あ、そういや郵便物溜まってたな」
今日の私は余裕がある。
そう、数か月分の溜まった郵便物を処理するくらいには。
無造作にただ積み上げただけの郵便物の山から、その束を取り上げる。
ひとつひとつ開封して確認していき、とある一つの郵便物に目が留まった。
「リフォーム工事に伴う退去のお知らせ……?」
どうやら、うちのマンションにリフォーム工事が入るらしい。
確かにこの建物は、築年数もあるし結構年季は入っている方だ。
でも急にそんなこと言われても……。
そう思いながら書類の送付日を確認する。
どうやら5ヶ月前からは来ていたらしい。
これまで放置していた自分にびっくりだ。
不動産管理会社からしつこく入っていた着信はこれだったのか。
「えー……ってゆか、これいつまでに……って、来月ぅ!?」
立ち退き費用は出るみたいだけど、期日内に引っ越すことを条件にその後支払われるらしい。
先立つものが必要だ。
あー、物件探して、契約して、契約金も払って。
急にやることが増え、げんなりする。
「あ、でもアニメのグッズ一式が届くのには間に合う。10万以上もしたからねー……って」
慌てて衣装棚の引き出しを開け、奥に保管していた預金通帳を確かめる。
通帳の残高的に、正直この出費は痛い。
ネットバンキングにもお金はあるけど、それは老後の貯蓄と投資用だから、なるべく手を付けたくない。
「……………」
逡巡すること、数十秒。
無言で手元のスマホをタップし、とある人物に電話をかける。
暫くすると、その相手は電話に出た。
「あ、もしもし兄貴ぃ~?」
こういう時は、兄妹で助け合うべきなのである。
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