第46話 カイの発明品

「この粉と、砂、砂利、水、そして、鉄の棒を配置した型枠・・・っと」

カイは、独り言をつぶやきながら、実験を繰り返していた。


「さて、うまくいってくれよ。」


「型枠の準備はOKと。」


「この粉と、砂、砂利を混ぜる。

 そして、水を加えていく。」


「あとはひたすら、適量の水を加えながら、混ぜる。混ぜる。混ぜる・・・。」


「よし、これだけ混ぜれば、大丈夫だろう。」


「次に、この混ぜたドロドロのものを、型枠に流し込む・・・。」


「よし、これであとは待つだけか。」


翌日


「さて、どうなっているか・・・。」


「よし、成功かな。あとは、固くなるまで、3日まつか・・・。」


三日後


「どうなっているか・・・。」


「問題なさそうだな・・・。」


「型枠を外してと・・・。」


「よし!鉄筋コンクリートの完成だ!」



カイは、レッド、ルイ、エリック、バルドを呼び出した。



「ルイさん、エリックさん、バルドさん、見てください!

 これが鉄筋コンクリートです!」

カイは興奮しながら事前に作成した、板状の鉄筋コンクリートを指差した。


レッドは、少し離れた所で静かに見守っていた。


ルイは興味津々の表情でカイの説明を聞き入っていた。

「ふむふむ、鉄筋コンクリートか。

 これはなかなか面白そうじゃな。

 どのように作られるのか詳しく教えてくれ」


エリックや、バルドもカイの発明品に興味津々で近づいた。

「カイ、その強度や耐久性についても教えてくれ。」


カイは笑顔で説明を始めた。


「そうです、ルイさん、エリックさん、バルドさん

 鉄筋コンクリートは鉄筋とコンクリートを組み合わせて作られる建築材料です。

 鉄筋は強度を持ち、コンクリートは耐久性を持ちます。

 この組み合わせによって優れた性能が得られます。

 より頑丈で安全な建物や構造物を作ることができるんです。」


「そしてこれは、何よりも、好きな形へ作りやすいのです。」


「用意するものは、鉄の棒を配置した型枠です。

 この型枠にドロドロの液状のものを流し込み、時間がたてば固まります。」


「ほう、好きな形状にしやすいんじゃな。」

ルイは納得した表情でうなずいた。



カイは手際よく実演台の近くに用意された材料を指さしながら説明を始めた。

「まず、この粉状のものはセメントと言います。

 そして、セメント、砂、砂利などの材料を順番に混ぜます。

 材料が均一になるように混ぜ合わせるんです。

 そして、適量の水を加えながら混ぜ続けます。

 それが完了したら、鉄筋を配置した型枠の中にコンクリートを流し込むんです。」


ルイは鉄筋コンクリートの流し込みを目で追いながら言った。

「なるほど、コンクリートを均等に流し込むことで鉄筋を覆うんじゃな。

 これによって鉄筋とコンクリートが一体化し、強度が増すというわけか。」


カイは満足そうな表情でうなずきながら説明を続けた。

「その通りです、ルイさん。

 流し込んだコンクリートを整形して平滑な表面を作ります。

 その後は十分な時間をかけて硬化させます。

 硬化することでコンクリートが強度を増し、頑丈な鉄筋コンクリートが完成します。」


バルドは鉄筋コンクリートの特性について考え込んだ。

「なるほど、鉄筋コンクリートは頑丈で耐久性に優れた建築材料なんだな。

 これを使えば炭鉱もより安全になるだろう。」


「このドロドロの液状のものをかためるのか・・・。

 これは、すごいものができたわい。」

ルイが考え込みながらつぶやいた。


ルイは、カイに尋ねた。

「カイよ。これをどうするつもりだ?」


ルイの目は鋭かった。


「まずは、炭鉱の安全確保に使ってもらえたらどうかと思いますが。」

カイは答えた。


ルイは、続けて言った。

「違う。そういうことではない。

 この製法をいくらで売るんじゃ?

 セメントの作り方じゃ。」


カイは、少し考えて言った。

「より安全が確保できるなら、製法は公開してもいいんじゃないかと思ってました。」


ルイはすぐに反応した。

「ばかもん。

 これは、そう簡単な問題じゃない。

 建築のあり方を一変するくらい画期的なもんじゃ。」


それに続けて、エリックもバルドも頷いた。

「あぁ、ルイどののいう通りだ。

 この製法が出回れば、その影響は計り知れない。

 建築材料を扱っている商人にも影響が出るだろうな。」



レッドが、近づいてきて静かにカイに言った。

「これは、女王陛下に報告するべきだ。

 セメントの製法は、誰が知っている?」


カイは、驚きを隠せずにいた。そして言った。

「今の所、誰にも言ってません。僕だけです。」


レッドは、少し考えてから言った。

「セメントを作れるだけ作っておくんだ。

 それを、エリックとバルドに預けろ。」


レッドは、エリックとバルドに言った。

「女王陛下の判断を仰いでくる。

 それまでは、そのセメントだけであとは待っていてくれ。」

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