第14話 王都の街へ

ミナとカイが城の門をくぐり、地図に描かれた草原の方へ向かう。

すぐに、広い草原が視界に広がった。その先には、大きな街が見える。


ふと、カイが耳を澄ませた。

「ミナ、聞こえるか?」


ミナも耳を澄ませた。

「何も聞こえないよ、何かあったの?」


「いや、大丈夫だ。

 ただ、魔物が近くにいないかどうか気になっただけだ。」

カイは何かを確認したように頷いた。


「エレニアさんは、危険はないって言ってたじゃん。

 魔物がきても、私が、叩き切ってやるよ。」


「その油断が、ミナを怪我させることになるかもしれないんだぞ。

 もう時間は戻せないんだ。」


「わかったよ。気をつけるよ。」


その後も二人は何事もなく街の門まで到着した。

そこには一人の門番が立っていた。

筋肉質な男性で、厳しい表情をしていた。


「おい、ここから先へ進むには身分証が必要だ。」

門番の声は響くような低音だった。


しかし、ミナとカイは身分証を持っていなかった。ミナが封筒を見せて言った。


「エレニアさんから預かった手紙を届けに来たんです。

 身分証はないんですが・・・。」

と門番に伝える。


「エレニアさまからだと?」

門番は封筒を受け取り、手紙の封蝋ふうろう刻印こくいんを確認した。


「確かに、エレニアさまからのものだな。」

門番の表情が和らぎ、手紙を渡してくれた。


「分かった、通してやる。

 しかし、次からはちゃんと身分証を持って来いよ。」

二人はほっとした表情を浮かべ、門をくぐり、街に足を踏み入れた。




-

封蝋ふうろうとは、手紙や封筒を閉じるときに使う特別なろうでできた材料です。

火で溶かして手紙の上に落とすと、固まります。

封蝋の上に刻印こくいんを押すことで、個人や家族の印を残すことができます。

刻印は特別な印章いんしょう印鑑いんかんのようなもの)で、封蝋に押すことで手紙の差出人の証明にもなります。

封蝋と刻印は昔から使われており、手紙を特別なものにするための方法です。

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