第15話 冒険者ギルドへ
なじみのない風景、奇妙な衣装、珍しい食べ物が並ぶ屋台、
それはまるでアニメの世界から飛び出したかのような、二人にとって全く新しい光景だった。
二人は異世界の街並みに広がる無数の物事に目を奪われ、興奮を隠しきれない様子だった。
「これが異世界の街かぁ!
本当にアニメの世界みたいだよね、カイ。」
ミナが口にしたその言葉は、興奮のあまり、少し高めの声だった。
ミナはふと立ち止まり、満面の笑みでカイを見つめた。
「カイ、こんな感じの世界、アニメで見たことある?」
カイは少し考えた後、冷静に答えた。
「うーん、具体的なアニメは思い浮かばないけど、確かにファンタジーの世界そのものだね。」
ミナは満足そうに笑い、ポケットから地図を取り出した。
「だよね!だから、ここはアニメの主人公みたいに行動しなきゃ。
さあ、冒険者ギルドはどっちだっけ?」
カイは地図を覗き込んで指で経路を辿った。
「この大通りを真っ直ぐ行って、あの大きな広場を右に曲がればだね。
僕たちのミッションは、手紙を届けることだよ。
それを忘れないように!
でも、何かあったら逃げ道も考えておこう。」
ミナは興奮しながら頷いた。
「それなら、あの狭い路地に逃げ込むのはどう?
あそこなら人目につかないし。」
二人が街を進んで行くと、雑踏の中にたくさんの店が並び、さまざまな匂いが混ざり合って鼻をくすぐった。
ミナは目をキラキラさせながら、色とりどりの果物が並ぶ店に引き寄せられた。
「カイ、これ見て!こんなに色鮮やかな果物初めて見たよ!」
ミナは指を伸ばして、見たこともない果物を指差した。
カイはミナの興奮に微笑みながら、冷静に言った。
「これは異世界特有の果物みたいだね。
食べられるものと食べられないものがあると思うから、無闇に手を出さないようにしよう。」
「なに言ってるの。カイはいつも心配性だな〜。
売っているんだから、食べられるでしょう。」
「僕たちの体に合うかわからないだろ!」
「それに、おなかすいたよぉ・・・。」
「実は、僕も・・・。」
「ちょっと食べてみようよ。」
ミナは、誘われるように、お店に近寄っていく。
ミナは、お店の前にたどりつく、そして、値札を見つける。
銀貨1枚、大銅貨5枚、銅貨2枚などと書いてある。
「あ〜。そっか。私たち、お金持ってないね。」
残念そうにミナはいった。
「そうだな。冒険をするにも、お金が必要だね。
う〜ん。お金も何とかしないといけないか・・・。」
カイは、眉間にしわを寄せて考え出す。
「ちょっと、カイ、あとで考えようよ。
さっき、ミッションを忘れないようにっていってたじゃん。」
「ごめん。そうだった。」
カイは、ばつが悪そうにうなずいた。
カイは地図を再度確認しながら、次の目的地に向かった。
ミナとカイは、未知の果物や奇妙な衣装、奇抜なアクセサリーが並ぶ店々を見ながら進んでいった。
道中、ミナは何度も奇妙なものに目を奪われ、それを見つける度に驚きや喜びをカイに伝えていた。
「カイ、あそこ見て! 一体どうやって作るのかな、こんな形のパン。」
「ミナ。もうすぐだよ。冒険者ギルドに行かないと。」
そう言いつつも、カイはミナが興奮する様子を楽しそうに見ていた。
この未知の世界に対するミナの好奇心は、カイにとっても新鮮で楽しいものだった。
やがて、二人は広場を抜け、街の賑やかな音が少しだけ遠くなった。
前方に見える大きな建物が、冒険者ギルドだった。
「これが冒険者ギルドか。」
ミナはしっかりと建物を見上げていた。
「うん、これで間違いないね。」
カイは地図を見比べながら、そう答えた。
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