第13話 手紙の配送
リブスティア城の庭園には、まるで別世界のような静けさが広がっていた。
色とりどりの花々、つぶつぶと水滴をまとった葉っぱたちが、午後の陽射しを反射してキラキラと輝いていた。
この静かな庭園の一角、水の音が心地よい噴水のそばにあるベンチに、ミナとカイの二人が座っている。
ミナは腕を組み、真剣な顔つきで前を見つめていた。
「カイ、私たちは何も出来ないのかな?
王女様が行方不明って、大変なことだよね。」
ミナの声には、前向きな力が
カイは、いつものように落ち着いた表情で答えた。
「うん、確かに僕もそうしたい。
ただ、僕たちも事情をちゃんと把握していないし、
どうしたらいいのかは、まだわからないよ。」
そのとき、エレニアが静かに姿を現した。
手には厚みのある封筒が握られていた。
「お待たせしました。」
とエレニアは優しく微笑むと、ミナとカイに封筒と小さな地図を手渡した。
エレニアの指が地図の上を軽く滑り、教えてくれた。
「冒険者ギルドはここよ。
城から北に出て、少し草原を進むと見えるはず。
迷わずに行けると思いますよ。」
「はい。お預かりいたします。」
ミナはエレニアに頷き、地図をしっかりと預かった。
「エレニアさん、いろいろと教えていただきありがとうございます。
お手紙、確実に届けます。」
カイも、地図を確認しつつお礼をした。
二人はエレニアに手を振り、庭園の出口へと向かった。
エレニアは微笑みながら二人の背中を見送った。
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