第10話 過去に戻る

森の中を探検しているミナとカイの前に、再び、あのリスウサのれが現れた。

ミナは手に石の剣を持っている。

それはミナが変形の能力で、あらかじめ作り出したものだった。

ミナは剣を両手で持ち構え、リスウサたちと戦っていた。


ミナがリスウサたちと剣で戦っている最中、一瞬だけ目が合った。

「カイ、剣で戦うのは私の役目だから、安全なところにいてね。」


カイはそれを聞き、ミナに向かって頷いた。

「わかった、ミナ。でも、危なくなったら、何があっても助けに行くから。」


ミナは再び剣を振り上げ、強く言った。

「ありがとう、カイ。でも私は大丈夫。私の力を信じて!」

ミナは再びリスウサたちと戦い始めた。


ある時、リスウサの群れは、一斉にミナに向かっていった。

その戦闘の最中、ミナが一匹のリスウサから深い傷を負う。

痛みにゆがんだ表情がカイの目に入る。


カイはその光景をみて、咄嗟とっさに腕を高く上げ、強く腕輪に力を込めた。


その瞬間、あたりの空間が歪んだような感覚に包まれ、その次の瞬間には、ミナがまだ傷を負っていない状態に戻っていた。


カイはその状況に一瞬驚いたが、すぐに反応し、手に持っていた石をミナに近いリスウサに向けて投げつけた。


リスウサは驚き、ミナを襲うことなく逃げ去った。


その時、カイは時間を逆行させ、過去に戻ることができることをさとった。


その力を使った後、腕輪の表面にある模様が輝きはなくなり、その後は力が使えなくなっていた。


戦いが終わると、カイは息を吹き返し、新しい力について考えていた。


そして、ミナがカイに近づいてきた。


「カイ、ありがとう。油断した。

 あの石がなければ、危なかった。」


カイは一瞬言葉を迷った後、


「これの力かもしれない。」


と腕輪を指差した。


「ん?そうだよね。時間をゆっくりにして、石を投げてくれたんだよね。

 バッチリな、タイミングだったよ。」


「ううん。違うんだ。ミナは、怪我けがをしたんだ。」


「えっ?怪我してないよ。」


「したんだよ。違う・・・。したはずだったんだよ。」


「んん?どういうこと?」


「うまく、説明できないけど・・・。

 ミナが、怪我をした。そして、腕輪の力を使った。

 そうしたら、ミナが怪我をする前の時間にいた。」


ミナは驚きの表情を浮かべ、さらに疑問を投げかけた。


「それって、時間を戻せるってこと?」

カイはゆっくりと頷く。

ミナはカイの言葉に少しばかり驚いていたが、すぐに元気な笑顔を見せた。


「それなら私たち、最強チームだね!

 私の剣とカイの・・・時間戻し力?タイムリープ!

  一緒なら何でもできるよ!」


カイは笑顔で頷いたが、その後すぐに真剣な表情に変わった。


「でも、この力、どうやらすごくエネルギーを使うみたいだ。

 ほら見て。」


カイは、輝きを失った腕輪をミナに見せた。そして続けて言った。


「だから、この力を使う時は慎重しんちょうに選ばないと。」


ミナはカイの言葉を聞き、一瞬だけ顔がくもったが、すぐに元気な顔を取り戻した。


「だったら、その力を無駄にしないためにも、私たち、もっと強くならなきゃ!」


と力強く宣言せんげんした。


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