第9話 力の制御

二人は、森でその力の使い方を試してみる。


ミナは目の前の石を手に持ち、その形を自分の思う形に変えようとためしてみた。

しかし、ミナのこころみはなかなかうまくいかなかった。


ミナは再び石を手にとり、目を細めて集中する。

(どうにか形を変えてみせる・・・!)

ミナの強い意志が揺れ動く。

しかしながら、石はまたくずれてしまったり、小さな穴ができてしまったり。


「うーん、また失敗だ。」

とつぶやき、自分のネックレスに目をやる。


ネックレスの光がかすかに薄れていることに気づいたミナは、自分の力が減っていることに不安を感じていた。

「これ、大丈夫かな・・・。」


顔には挫折ざせつの色が浮かんでいたが、それでもミナは試行錯誤しこうさくごを続けた。


カイも腕輪や、周辺の環境の変化を確認しながら、時間をあやつることをこころみていた。


こころみは予想外の結果をもたらした。

表面には微妙に複雑な模様が刻まれており、魔法的な記号や符号を示している。

その記号や符号がわずかに絶え間なく変化しているのだ。


(これは一体・・・時間と記号が何か関係しているのか?)


また、力を使うたびに、腕輪の表面にある模様の輝きが薄まっていくのを感じていた。


「ミナ、君のネックレスの光って薄れているよね?」


ミナは驚いてカイを見た。

「うん、そうなの。

 でも、どうしたらいいのかわからないんだよね・・・。」


「たぶんだけど、これは魔法のエネルギーを示しているんじゃないかな。

 力を使うと、ネックレスや腕輪の光が薄れてくる・・・。

 それって、エネルギーが減っているんじゃないかと思うんだ。」


「なるほどね。

 それなら、あまり力を使いすぎないようにしようかな。」


「うん、そうだね。

 無駄に力を使うのを止めて、光が戻るのを待ってみようか。

 これが何を意味するのかもう少し考えてみるよ。」


力をあやつる訓練は続き、二人の試みは少しずつ進歩を見た。


ミナはついに石を思った形に変えることができるようになり、カイもまた時間を思った速さで流れるように操ることができるようになっていった。

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