第3話 倉庫の中の鏡

この日は、二人にとって運命的な日となった。 二人の冒険は、ミナのおじいさんの家の門の一歩先、一つの倉庫から始まった。


「おじいちゃ〜ん、こんにちわ〜。また遊びにきたよ〜。」

ミナの声は、返事がないままどこかに消えてしまった。


「ミナ、見て!」

カイはミナの手を引き、ギシギシと音を立てながら少しだけ開いた倉庫の扉を指差した。


「ほら!わかるだろ?ドジョウの鍵が、開いているんだ!

 あのおじいさんが、ドジョウの鍵をかけ忘れてるなんて・・・。

 しかも姿が見えない・・・。」

カイはまるで探偵のように言った。


ミナは驚いた表情を一瞬見せたが、すぐに興奮へと変わる。

「やっぱり、おじいちゃん、なにか、秘密をかくしてるね!

 ドジョウにはきっと何かがあるんだ!」


二人はお互いを見つめ合い、迷いがなくなった。

このチャンスを逃すわけにはいかない。

二人は手をつなぎ、わくわくする心を抱きながら、薄暗い倉庫に足を踏み入れた。


倉庫の中は広く、古い家具や不思議な装置、そしてほこりに覆われた本がごちゃごちゃと並んでいた。

でも、一番目を引いたのはそれではなかった。

中央奥にあった大きな鏡だった。


それは、倉庫の奥に置かれている、見事に飾りつけられた大きな鏡だった。

「あれ?ミナ、前に来た時、こんな豪華な鏡あったっけ?」


この鏡は薄暗い倉庫の中で独特の存在感を放ち、自分たちよりも大きなサイズだった。

ミナがにんまり笑って言った。

「カイ!今日のお宝物見つけたね!」


ミナとカイが鏡に近づく。

すると、その場の雰囲気が一変した。

鏡の銀色の表面が不思議に輝き始め、二人の足元から冷たい光が広がっていく。

ミナは驚いて一歩後ずさる。


「カイ!これ何?

 キラキラしてすっごく綺麗だよね!」


ミナが声を上げ、その目は大きくなる。

一方、カイは驚きながらも冷静さを保つ。


「ミナ、気をつけて。この鏡は、普通の鏡じゃない。

 何か特別な力を持っているみたいだ。」


その瞬間、鏡は二人の姿を映すのではなく、まったく異なる風景を映し出した。

それは輝く緑の森、美しい草原、そして遠くにそびえ立つ壮大な城だった。

その風景は二人が知っている世界とは全く違って、不思議で幻想的な雰囲気を漂わせていた。

鏡の前で固まった二人の心は、驚きと好奇心で一杯になっていた。


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