第3話 特別な力
森深く、ミナとカイは奇妙な音を聞きつけた。
その音は、「キーキー」という高い鳴き声で、静寂に満ちた森の中で魅惑的に響き渡っていた。
二人は息をのみ、ゆっくりと近づいた。
やがてその音に辿り着く。
目の前には予想だにしなかった姿があった。
それはリスとウサギの特徴を持つ小さな動物の群れだった。
「何あれ、かわいい。リスウサぴょん!」
その小さな体と可愛らしい外見に、二人は一瞬心を奪われた。
小動物は目をきらきらと輝かせ、ふさふさとした尾を軽快に揺らしながら、二人をじっと見つめていた。
しかし、その可愛らしさに隠された、敵対的な意志を二人はすぐに感じ取った。
小動物の目は慎重に二人を見つめ、その動きはひっきりなしに周囲を警戒していた。
そして、その目には明確な敵意があった。
ミナとカイは互いに目を見合わせた。
その時、小動物たちは突然、その鋭い爪と歯を見せつけながら一斉に突進して来た。
ミナとカイはその攻撃を避けるために、必死に逃げようとした。
しかし、小動物たちはその素早い動作で、ミナとカイを追い詰めていく。
その時、何かが起こりました。
ミナは咄嗟に近くの丸い石を拾う。
小動物に向けて投げた。
その時、その石が飛んでいくのは、まるで楕円形のような形で先端が若干とがっていたのだったのだ。
それと同時にミナのペンダントがほんのわずかに光り、そのペンダントの輝きが少し薄まったように見えた。
一方、カイもまた異変に気がついていた。
時間がゆっくりと流れるように感じ、それに合わせて小動物の動きが遅くなっている。
同時にカイの腕輪が微かに輝き、それが時間の流れを司るかのように振る舞っていた。
二人ともその現象に驚く。
そしてなんとか、小動物たちの攻撃から逃げることができた。
二人は、アクセサリに、何か特別な力があることをお互いに確認した。
そして、その力を使いこなすための訓練を始めることにした。
二人は、森でその力の使い方を試してみる。
ミナは目の前の石を手に持ち、その形を自分の思う形に変えようと試してみた。
しかし、ミナの試みはなかなかうまくいかなかった。
石が突然崩れてしまったり、今度は石に穴が空いてしまったり。
その度にミナのペンダントが微かに揺れ、色彩が薄まった。
顔には挫折の色が浮かんでいたが、それでもミナは訓練を続けた。
カイも腕輪や、周辺の環境の変化を確認しながら、時間を操ることを試みていた。
試みは予想外の結果をもたらした。
表面には微妙に複雑な模様が刻まれており、魔法的な記号や符号を示している。
その記号や符号がわずかに絶え間なく変化しているのだ。
時間の操作とともにその記号や符号の変化の速度が代わり、それは時間の流れと同期しているようだった。
また、力を使うたびに、腕輪の表面にある模様の輝きが薄まっていくのを感じた。
驚きと混乱が顔に現れたが、カイもまた訓練を続けた。
力を操る訓練は続き、二人の試みは少しずつ進歩を見た。
ミナはついに石を意図した形に変えることができるようになり、カイもまた時間を意図した速さで流れるように操ることができるようになっていった。
また、アクセサリの光が薄まっているのは、時間の経過とともに徐々にまた輝きをましていくことも発見した。
二人はこのアクセサリの光が、この力を使うエネルギーを示すものであり、力を使うのにも限りがあることを知ったのでした。
森の中を探検しているミナとカイの前に、再びあのリスウサの群れが現れた。
ミナは手に石の剣を持っている。
それはミナが変形の能力で予め作り出したものだった。
ミナは剣を両手で持ち構え、リスウサたちと戦っていた。
ある時、リスウサの群れは、一斉にミナに向かっていった。
その戦闘の最中、ミナが一匹のリスウサから深い傷を負う。
痛みに歪んだ表情がカイの目に入る。
カイはその光景をみて、咄嗟に腕を高く上げ、強く腕輪に力を込めた。
その瞬間、あたりの空間が歪んだような感覚に包まれ、その次の瞬間には、ミナがまだ傷を負っていない状態に戻っていた。
カイはその状況に一瞬驚いたが、すぐに反応し、手に持っていた石をミナに近いリスウサに向けて投げつけた。
リスウサは驚き、ミナを襲うことなく逃げ去った。
その時、カイは時間を逆行させ、過去に戻ることができることを悟った。
その力を使った後、腕輪の表面にある模様が輝きはなくなり、その後は力が使えなくなっていた。
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