第9話 風邪で修羅場に!? 後編

「ねぇ、何してんの?」見覚えの声が室内に響く。

 私は目を開けるとすぐ目の前に妹がいた。

 そのまま眠ってしまったらしい。さっきと違った

 体勢で横に並んで抱き合っているのだ。

 扉に視線を向けると何故か幼馴染の葉月がそこに

 立ってた。


「な、なんで葉月がここにいるの??っていか、その

 制服内のじゃない?」訳がわからなくて尋ねた。


「先に質問してるのはこっちなんだから答えて、」

 明らかに不機嫌な声で葉月は言う。


「あなたに答える必要なんてありますか?」

冷たい声で妹は言い返す。


「ええ、もちろんあるわ。葵と親友なんだから」

 負けじと言い返す幼馴染


嗚呼、うるさい、、、病人に気遣ってもよくない!?

喧嘩するならせめてリビングでやってほしいんですけど、、と私は思う。


私は言い争いを辞めない2人に痺れを切らした。


「2人ともうるさい、、お願いだから外でやってよ」

 私はうんざりしたように言った。


「ご、ごめん」


「ごめんなさい」


素直に謝る2人。


「お、お粥を作ってくるね」

 妹は言う。

「うん、ありがとう」

 食べれるかなぁ、、食欲ないよ、、


「葉月さん、葵に変な事しないでくださいね?」

 冷たい声で妹は言い残し部屋を出た。


「自分はしておいて、なんなの」

ぶつぶつとなんか言って幼馴染みを見てまた目を瞑った。


「葵、やっぱり風邪?」

 近付きながら問いかけてくる


「うん」素直に答える


おでこに何かが当たった。目を開けると、すぐ目の前に葉月の顔があって、驚く。


「な、何してるの!?」


「うん、熱いね」離れずに葉月が呟く。


「は、はずき、、ち、近いよ、」

 流石にこの距離は恥ずいよー

 私は顔を逸らしたが葉月の両手によって顔を固定される。


「だーめ、私を見て?どうドキドキする?」甘い声で

 問いかける。


「ば、馬鹿!!女同士でドキドキする訳ないでしょう」


嘘、本当はどきどきしてる。この距離で覗き込まれると誰だってそうなると思う。それにコイツ顔は物凄く美人だし。この顔になりてーよ。


すると布団を剥がされ、ベッドに上がり込み、彼女は私の上に馬乗りになり、私の太腿の間に彼女の脚が割り込みアソコに僅かに当たる。顔も少し動けば間違いなくお互いの唇がくっつく。今日は歯磨きしてないからこの距離で喋れるなんて無理!無言で彼女に目で訴える。離れろと。


「これならドキドキする?」更に甘い声で問いかけてくる。


私は手を動かして離れるように押したが両手首を掴まれ、そこに体重をかけられて身動きができなくなった。


「ねえ、答えないとキスするよ?」

 優しい口調で脅してくる。冗談だと思った、次の瞬間


う、うそ、、ま、まって!


私は目を見開く。抵抗しょうとしたが掴まれたままの

手首がぴくりとも動かない。葉月は目を瞑ったまま

私と唇を重ねている。


「んっ、、ちょ、、んんっ!?」

顔をずらし声でやめてと言おうとしたがすぐに

塞がれて、開いた口に舌を入れられた。


「やぁ、、、んっ!」

舌を絡め取られるかと思えば甘噛みされる。


い、息ができない、、


そう思った時に唇を解放された。


「葵、鼻で呼吸して?」


えっ?と思ったらまた塞がれる。


困惑し、頭がパンクになりつつ、言われた通りに

する。


「葵、んんっ、上手、んっ」


どれくらいキスをしてたか分からないくらい

キスを繰り返してやっと解放してくれた。

彼女は私を解放し、ベッドの端に腰をかけた。

私は困惑しながら呼吸を整えた。

自分の手首を見ると掴まれた痕が残っていた。


「ど、どうしてあんな事したの?」

落ち着いてから私は彼女に尋ねた。


「い、意地悪したくなったのよ?へへっ

 驚いた?」顔を真っ赤にしながら彼女は言う。


い、意地悪する為にあんな事を?流石にやりすぎなのではと私は思う。私は思わず溜息を漏らす。

元々葉月は私に距離が昔から近かったがキスされたのは初めてだ。葉月ならやりそうかもって何故か納得してしまった。


「馬鹿!風邪移ったらどうするのよ!?」


「えっ?そ、そこ?」驚いてる顔で私を見る。


うん!そのだけじゃないよ!?馬鹿タレ!

と私は心の中で文句を言う。


「うん、そこよ。あんた昔から距離近いんだから

 驚かない。まあ、、、驚いたけどなんか納得した。

 だけど、もうしちゃ駄目だからね?次はマジで怒る

 よ?わかった?」


「そう、、、葵はそう捉えるんだあ、」

 急に低くなった彼女はボソボソとそう呟く。


「ね、葉月なんで内の制服を着てるわけ?」

 私は話題を無理矢理変え彼女に尋ねた。


「なんでって私は今日から葵とクラスメイトに

 なったからだよ?」笑顔で彼女は言った。


「えーっ!?転校生ってあんただったの!?」


「うん!そうだよ?昨日行ったよ?」


じゃあ明日ねってこれの意味だったんだあ


「分かりにくいよ!馬鹿!」


「しかも同じクラスだからよろしくねー?」

 嬉しそうに彼女は言う。


ま、マジですか、、このままだといろんな人に

恨まれそう、、今日だけで絶対何人かコイツの

ファンになってるに決まってる!私にくっつき虫

したらまずいのでは?それだけは絶対嫌だ。


「葉月、いい?お願いだから学校では私に近付かないでわかった??」


「嫌だ」即答で拒否された。


「嫌じゃない!葉月なら今日だけで友達は出来たでしょう?その子達と過ごしてよ」


「そうだけど、、葵と一緒じゃないとつまんない!」

 彼女は明らかに不機嫌になった。


「な、なんでもいう事聞くから!だから私の

 言う事も聞いて?お願い!」


「なんでもね〜じゃあ!毎日一緒に帰ろう?」


「ごめん、それは無理。部活入ってるから、、」

 そう言うと彼女は更に不機嫌になる。


「ほ、他は何か無い?」


「休みの日に私と遊んで?」


「わ、わかった!日曜日は大会とか検定とか無ければ

 全然遊べる!」


「じゃあ、毎週私と遊んで?」


「えっ?毎週??」


「うん、毎週。拒んだら不成立として捉えるから」

 真面目な顔で脅される。


毎日って寝れないじゃない、、ううっ、、私の貴重な

休みがあー、、


「わ、わかった。約束するから!」

 泣く泣く承諾した。


「ふふっ、楽しみだね」

嬉しそうに彼女は私に微笑む。


私は疲れ切って目を瞑った。


「葵、色々とお腹に優しい物買ってきたから

 食べて早く元気になってね?今日はもう

 帰るから」


「うん、ありがとう」

 目を開けて彼女を見てお礼を言う。


すると彼女は私に近付き少しずつ顔が近づいてきた。


嘘!またキスされる。私は思わず身構え目を瞑った。


彼女からクスクスっと笑う声が聞こえた。

そして、おでこに何かが触れた。

彼女は私から離れたのを察し、目を開けた。


「ふふふっ、葵おやすみ、、私の夢を見てね?」

そう言い残し私の部屋から出て行った。

私は数秒間固まってから幼馴染みに向けて

馬鹿!と叫んだ。

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