第7話 素直になりたい
最近、学校が楽しいと思うようになった。
好きな人と廊下とかですれ違うようになったから。
ただそれだけで嬉しいって思う。でも目が合うと
不自然に逸らしてしまうのでバレていないかが
心配になる。それは仕方ない事だと思う。だって
好きなんだもん。目が合うとドキッとして、心臓が
止まりそうになる。だから、慌てて目を逸らしちゃ
う。そんな不自然な行動を何度も思い出し、恥ずか
しくなる。
私は一生誰かを好きなる事なんてない、と思ってい
た。だけど現に今、好きでたまらない人ができて
しかも同性で笑えないけど笑ってしまう。
昼休み、由佳達と廊下で喋っていると
あの子が来て由佳を呼んだ。
私は耳を立てる。
盗み聞きをして、由佳とあの子は同じ部活だという事を知った。軟式テニスだ。そして、誰にも気付かれないように来た側の教室へと戻って行く彼女を横目で追い、4組のクラスに入ってきたのを見て、4組だと知った。
はあ、か、可愛い!愛おしい大好き!話したい
話しかけたい、話しかけてほしい!
私が心の中ではこんな事を叫んでいる事なんて誰も気がつかない。まあ、隠してるからね。気付かれたら、死んでしまう。好きな人にもしもバレてしまって、引かれたら多分耐えられない。でも、一面では気付いてほしい、意識してほしいと願ってしまう。でも、結局根性なしだから無理だよね、と思う。
今日は金曜日でまた二日間あの子と会えなくなる。
部活を知って、私は思う。テニス部に入れば良かったと。私が中3の時、なんちゃらステップというアニメにハマっていて、毎週欠かさず録画して見ていた。
それがきっかけで高校はテニス部入りたいと思った。
だけど、いざ入学すると中学の時の部活の先輩に声を
かけられて、説明会に行ったら、部活の顧問に陸上部に当然入るだろう?って言われてまあ、別にいいかってなって半強制だが入部してしまった。
そして今、運命の悪戯か知らんけど好きな人はテニス部だった。もう完全にイジメだと思う。むかつく!
って思う。まあ自分が悪いよねーって結局思う。
それだけじゃない、私は元々情報処理科希望だった。
パソコンを集中的に学びたくて選んだが勉強不足で
商業科へと落とされた。そう!ここも!神様がもし本当にいるなら、本っ当に!くそ意地悪なんだと今更思った。好きな人と出会わなかったら、そんな事を思う事なく、ただ淡々とした日々を過ごして、卒業するだけだった。
そう思っていたのに、、なんでこうなったんだろう?
と思う。
今更ながらもっと勉強すればよかった、誘いの誘惑になんか負けずにテニス部に入れば良かった。そしたら、部活仲間として仲良くなれたのに、とただただ後悔した。
だけど、こんな事も思う。
もし情報処理科で入学出来たとして、私はあの子を好きになれたのだろうか。それかテニス部に入って、そこにあの子がいて、好きになれたのだろうか。
考えたけど答えは出なかった。
結局は二つのパターンで別れた。変わらず好きになったかも、もしくはそうではなくて、ただの同級生だった。その二つの結論になった。
とても不可能で馬鹿な考えだけど、もしも時間を巻き戻せるなら中3から再スタートしたい。
そうなったらやる事は決まっていた。
猛勉強して、絶対に情報処理科に入る。
そして、テニス部に入る。
でもどれだけ願ってもそんな事は不可能だ
だって時間はただただ進んでいくしかないのだから。
そう思うだけでただただ虚しくて、悲しくて
溜息しかでなかった。
そして、また会いたいと私は思うのだった。
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