第5話 逢いたい


 今日も朝練が終わって残り5分で朝礼が始まる。

 それでも登校する人はまだ数人いる。私は教室に

 向かう途中、あの人を探す。流石に教室にいる時間だろうと思いながらもほぼゼロの確率ですれ違うかも

 と期待してしまう。結局は会わないまま教室に着い

 た。鞄から教材を出さないまま鞄を後ろの棚に直し

 机に溜め息を吐き、机に顔を伏せる。

 チャイムが鳴り。担任は教室に入ってきた。

 チャイムの時間が鳴るとそれは読書の時間の合図でもある。

 あっ、全部持って帰ってたんだった。

 バレないように何かを読むふりをするも

 周ってた担任にバレた。


「宮澤さん本はどうした?」小声で担任が尋ねる。


「忘れました」と答える。


「毎日読書はあるから明日から必ず持ってきてください」溜息を吐く担任


「はい」


「前の棚に本があるので適当に選んで呼んでください」


私は言われた通りに黒板の左横にある棚から本を選ぶ。知らない本ばっか。

席に戻って、本を適当なページを開いて、他のこと

を考える。


再びチャイムが鳴る。委員長が合図をすると席を立ち

先生に挨拶をする。元気無さすぎてやり直しされる。

席に座ると担任の説教が始まる。

もう高校生なんだから挨拶をしっかりしろだとか

いろいろ言って溜息を吐いてから本題に入る担任であった。ホームルームが終わるとクラスのテンションが駄々下りだった。次はパソコンの教科で朝礼が長くなった為急ぎで移動しなければならなかった。

こういう事は多々ある為、担任を嫌うクラスメイトは多い。

昼休み教室前でお喋りしている。いつもなら私は

図書館に行っていたが最近グループの子達といたら

会えるのではと思い最近昼休みでも連むようになった。しかし、いくら目をキョロキョロさせても、

会う事は無かった。放課後も急いで陸上競技場に

向かう為探す時間もなく、結局、その日はその子と会う事はなかった。

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