第9話再開の日
そして年末を迎えた。話し合いのもと、あの島のワスレナグサワーが売っていたあのお店に集まることが決まった。
僕はある決意をと共にあの島へ向かった。
胸が踊った。
飛行機が離陸した瞬間僕はワクワクが止まらなかった。窓から見た風景はあの時を思い出させる。そして、僕はあの時の気持ちを思い出すために彼女との写真をもう一度見た。
「懐かしい…」
そう思った。
飛行機が着陸後、あのワスレナグサワーの店に向かい、首を長くして彼女を待った。
すると、
「大洋!」
そう名前を呼んで肩を叩いてきたのは彼女だった。
「汐里!」
感動と心の底からの喜びから少し声が震えながらも名前を呼び返した。そして涙がこぼれる。
「久しぶり!大洋!」
「久しぶり!汐里」
「元気にしてた?」
「うん!」
「また会えて嬉しいよ…汐里…」
「せっかくの再会なのに泣いてばかりじゃ始まんないよ〜」
「うん…そうだよな…とりあえずサワー買おうか!」
そう言って僕は涙を拭う。
そしてあのサワーを買った。
相変わらずこのお店は繁盛している。
「美味しいね。」
今度は僕から声をかける。
「美味しいね!」
そう彼女も呼応してくれる。
「ご飯食べよっか!お店はあのツアーの時と同じイタリアンで良い?」
「いいよ!」
彼女は必死に僕をリードしてくれる。
僕は少し不甲斐なさを感じつつ、感謝の気持ちもある。
そしてあのイタリアンのお店に入り
「私はカルボナーラをお願いします!」
「僕はナポリタンをお願いします!」
「大洋は楽しく過ごせてる?」
「お陰様で!楽しいよ!あの日からずっと……」
「本当!それは良かった!」
彼女の笑顔はやっぱり僕の事を前向きにしてくれる。
「汐里はどうなの?」
「私もねもう最高よ!最高の人とも出会うことも出来たしね!」
「えへへ。ちょっと照れくさいな〜」
そんな感じの話をひたすら交わしてた。とても幸せだったよ。
そして、日が暮れて来た頃 僕らは2人であの海岸へ向かった。
「相変わらず綺麗だな!」
「ほんとにね!」
「汐里…バラをありがとう。」
「気にしないでよ。」
「これ…どうぞ!」
僕は彼女に1本のバラを渡した。
それは鮮やかな赤に染まったバラだ。
彼女はハッとした表情をし、バラを受け取った。
そして
「ありがとう…!」
と少し震えた声で言った。彼女の顔はあの時のピンクの薔薇のように赤みがかっていた。
続けて僕は
「僕の人生はあなたから多くの影響を受けました。そして豊かになりました。だから今度は僕があなたに多くの影響を与え、あなたの人生を豊かにして、生きて行きたいと思っています。」
「もし良ければ僕と付き合ってください。」
「はい。」
そして、僕は決意を果たした。彼女の涙をこの日初めて僕は見た。
「記念写真撮りませんか?」
今度は僕から誘った。
「はい!喜んで…」
僕はこの時初めて彼女の手を握った。
「逞しくなったね。」
そう彼女に言われた時、僕も思わず泣いてしまった。
そして、僕らは手を握りしめながら旅館に向かった。
ここで僕の日記はお終いさ。
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