メルカバー

@ork0029

第1話 聖女

三百年前、天界にて天使と悪魔の“大きな戦争”が起こった。



この戦争の発端は、“マモン”という強欲の悪魔の力により、“サタン”が復活してしまったことが原因だった。復活したサタンは何千何万という悪魔を召喚し、天界の支配を目的に、天使たちに襲いかかった。

だが、勝利したのは“天使”だった。大天使“ガブリエル”がサタンにトドメを刺し、サタンの魂を奈落の底へと封印し、この戦争は幕を閉じた。

だが、安寧は続くことはなかった。

サタンが召喚した悪魔の軍勢の生き残りが、現代の人間の“負の感情”を糧にし、悪魔の行動は激化した。しかも、悪魔の行動は現代の人間にも影響を与えた。“悪魔祓師(エクソシスト)”でも払えない強大な悪魔たちの出現により、天使たちは困惑していた。


そして、三百年後、天界にて。

この天界には、“エデン”という死んだ人間の魂たちが暮らす場所があった。

エデンの街に今日も、たくさんの死んだ子供達の魂が走り回っていた。

「ねぇ!“お姉ちゃん”いるかな?」

「いるでしょ。いつもならあそこの噴水広場にいるはずだもん。」

「そうだよね!あっ!」

少女の魂が何かを見つけたように指を指す。

「いた!お姉ちゃんだ!」

そこにいたのは女性の魂だった。女性は子供たちの魂に気づき、手を振った。

「あら。みんなおはよう!」


『“ジャンヌ”お姉ちゃーん!!』


ジャンヌ・ダルク。かつてフランスの危機を救った「オルレアンの少女」と呼ばれたフランス人の魂だった。天界では幸せに暮らしており、子供達と遊ぶことが多かった。

ジャンヌは子供たちと共にこの先にある草原に出かけることにした。


この天界には、“宮殿”と呼ばれる天使たちが集まる場所があった。その宮殿は草原に建っていて、かなり前から天界と人間たちが住む“下界”を見守っていた。

ジャンヌは草原に一人立ち、宮殿を見つめていた。

(聞いたことがある。最近、悪魔の出現が多くなってるって。下位天使たちは地上に降りて、悪魔たちと戦ってる。)

そう思うと、ジャンヌは生前のことを思い出した。貧しい故郷の人々、虐殺されたフランス人たちのことを。

(罪のない人たちも、悪魔に殺されるの?)

その時、

「ジャンヌお姉ちゃん?」

子供の魂に呼びかけられ、ジャンヌは我に帰る。

「あぁ、ごめんね。何でもないわよ。」


その夜、ジャンヌは子供たちと別れ、再び宮殿に訪れた。明かりがついている。中に天使がいるかもしれない。ジャンヌは宮殿の窓から中の様子を覗き込んだ。

中には、“異様な姿をした四人の天使”が話し合っていた。だが、ジャンヌはその天使たちを知っていた。いや、天界の誰もが知っている天使たちだった。

(“上位天使四人衆”だ。)

上位天使四人衆。それは“騎士天使(アークエンジェル)”という大天使だけを集めた騎士団の中で最も力のある四人の上位天使だった。

白いスーツを着た単眼の天使、“セラフ”。

両腕に四つの目がついている天使、“ケルヴィ”。

無数の顔と二つの翼がついた天使、“ガルガーリン”。

青い翼を持った女性の天使“ド・ミニオ”。

この四人の天使は、何やら渋い顔をしていた。会話している声が聞こえてくる。

「困ったことになりました。騎士天使を数十人送っても、悪魔を浄化しきれない時が多くなってしまいました。」

セラフは顎に手を当て、目を閉じる。

「しかし、ここ最近力のある奴が増えてきたんじゃないのか?特に最近入ってきた若者とか。アイツ、腕がなかなかだぞ?」

ケルヴィは羽音を鳴らしながら言う。

「待ちなさい。待ちなさいなケルヴィ。強力な悪魔が増えてきているのだね。いきなり新人を強力な悪魔と戦わせるのはどうかと思うのだね。」

ガルガーリンは言う。

「悪魔は心の弱い人間、壮絶な過去を持つ人間、傷つけられてしまう人間たちなどを狙うことが多いのです。今の下界にはそのような人間たちが多くなってしまったのです。そりゃ悪魔も多くなることでしょう。それに、“悪魔によって弄ばれ、殺されてしまう人間”も増えているのです。」

ド・ミニオの言葉を聞いて、ジャンヌは驚愕した。“悪魔によって弄ばれ、殺されてしまう人間”、罪のない人間も悪魔にそのようなことをされてしまうということだ。

「じゃあどうする?このまま動かなければ悪魔たちが暴れるだけだぞ?この前出てきた悪魔だって俺たちも手こずった。そんな悪魔がどんどんどんどん増えてくる。だから、だから…すまん。もっと考えてから言うべきだった。熱くなっちまったよ。」

「大丈夫ですケルヴィさん。私たちで策を考えるのです。」

その時、セラフが何かを決めたようだった。

「お待ちください。」

「お?どうした?」

「少々、手荒ではありますが…」

次のセラフが放った言葉で、ケルヴィが驚愕した。


「“メルカバー”を生み出します。」


(メルカバー?)

ジャンヌは聞いたことのない言葉を聞いた。“メルカバー”とは何なのか分からなかった。

その時、ケルヴィはセラフにドスの効いた声で問いかける。

「貴様、正気か?」

「ケルヴィさん。確かに私もこんなことをするのは狂っているかもしれません。ですが…」

「セラフ!!メルカバーになるための儀式は“禁術”だ!!神々に言われただろ!あの“恐ろしい出来事”はもう起こすなと!!」

ガルガーリンはケルヴィを抑える。

「お、落ち着くのだね!まず何だねその“メルカバー”というのは!?」

「ウチも同意見なのです!禁術ってどういう…」

ケルヴィはガルガーリンとド・ミニオを見ると、ため息を吐いた。

「そうか。お前らは知らないんだったな。すまねぇな。“メルカバー”。別名神の戦車とも呼ばれている。メルカバー(そいつ)は、


“天使の力を使う人間の魂”だ。」


『何だって!?』

「俺たちの中では、もう二度と使わないと決めていた。なぜなら、天使の力を分け与えたメルカバーになる筈だった人間の魂は“消滅”してしまうんだ。大昔に俺らが生まれる前にはメルカバーはいたらしいが、極端に数が少ない。メルカバーが出来る確率は“0”に近い。」

ケルヴィが話してる途中にセラフが割り込む。

「確かにメルカバーを作るのは危険です。しかし、今の現状はとてもまずい。悪魔たちが激化しているのです。」

「じゃあ聞くぞ?人間の魂たちに「メルカバーになる人は手を挙げてください」なんて言えるわけねぇだろ!」

その時、ジャンヌは不意に走り出し、宮殿の中に“飛び込んだ”。

「な、何だ!?」

天使の四人は何が起こったのか分からなかった。突然宮殿に人間の魂が入って来るのだから。

「アンタは…ジャンヌ・ダルク?何故オルレアンの少女がここに?どうやって入って来た?いや、ここに何の用だ?まさか“俺たちの話を聞いていたのか”?」

「申し訳ありません。盗み聞きをしてしまって、あの、私…」

ジャンヌは深呼吸をし、天使の四人に言った。


「私、“メルカバーになります”!!私が悪魔たちから人々を助けます!!」


ケルヴィは驚愕する。

「アンタ、本気で言ってるのか?確かにアンタはフランスの軍人だ。フランスの危機を救ったな。だが、メルカバーの相手は“悪魔”だ。人間じゃねぇ。それに、メルカバーになる前に消滅しちまう可能性もあるんだぞ!?」

ジャンヌは消滅という言葉を聞いた時、恐れた。しかし、生前の出来事が彼女の脳に現れる。

「愚かなことを言っているのはわかっています。ですが、このまま悪魔によって弄ばれ、殺されてしまう人々を天界(ここ)から黙って見ているわけにはいきません。お願いです!私をメルカバーに…」

「ジャンヌ・ダルク。悪いがやめておけ。これは冗談じゃない。アンタは勇敢だった。だが…」

その時、セラフがジャンヌに歩み寄る。

「ケルヴィ。」

ケルヴィはセラフを見る。セラフは彼のに触れ、頷く。

「チッ。わかったよ。だがもし彼女が消滅したら、てめえを即、奈落の底に突き落とすからな。」

ケルヴィはそのまま去っていった。

「ジャンヌ・ダルク。彼が言っていたとおり、貴女が消滅してしまう可能性がある。それでもいいのですね?」

「っ!!はい!!ありがとうございます!!」

「では、私に着いてきてください。最上階にある“ヤハウェ像の間”に向かいます。」


ジャンヌは三人の天使に連れられ、ヤハウェ像の間という場所に着いた。そこには、髭の生えた筋骨隆々の男の石像が建てられていた。

「ここが…」

「ここは騎士天使になる試験場でもある場所なのだね。」

ガルガーリンがジャンヌにこの場所のことを説明しているとき、“羽音”のような音が聞こえてきた。そして、四人の前に現れたのは“ケルヴィ”だった。

「もう一度警告するぞジャンヌ・ダルク。覚悟は決めたか?」

「…はい。私の行動で人々が救えるなら、この身滅んでも構いません。覚悟ならできています。」

「そうか。ならこの道を塞ぐわけにはいかんな。通れ。邪魔したな。」

四人はそのまま、ヤハウェ像の前まで歩いた。

「ジャンヌ・ダルク。ここで止まりなさい。」

「え?わかりました。」

「ガルガーリン。ド・ミニオ。貴方たちも離れるのです。」

『はい。』

ガルガーリンとド・ミニオは空に飛び、上から様子を見ることになった。

「では、ジャンヌ・ダルク。これより、メルカバーになるための儀式を始めます。胸に手を当て、目を閉じなさい。」

ジャンヌは言われた通りにした。胸に手を当て、目を閉じた。

すると、セラフの周囲に大量の“白い鳥の羽”が溢れてくる。やがてその大量の羽はジャンヌの方へ飛んでいった。セラフは呪文のような言葉を唱え始めた。そしてセラフの瞳に“謎の文字”のようなものが浮かび上がる。

「準備は整った。」

そして、セラフは掌を突き出し、そこから“白い光の玉”が現れた。そしてセラフは、その光の玉ジャンヌに向けて“投げた”。

ジャンヌは白い光に包まれた。

「な、何が起こっているのだね!?」

「これが…メルカバーになるための“儀式”…!」

光の中では、ジャンヌは胸を抑え、苦しそうにしていた。ジャンヌの体に“激痛”が走っていたのだ。その痛みは火炙りの刑の比ではなかった。

「グアああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」

ジャンヌの背中から“何か”が突き破って出てきた。“翼”だ。ジャンヌの背中から突き破って出てきたのは“天使の翼”だった。彼女は口から“謎の黒い液”を吐き出した。その液は彼女の腕に纏わりつき、そのままジリジリと消えていく。彼女は痛みに耐えられず、ただ叫ぶだけしかできなかった。


次の瞬間だった。


ジャンヌの周囲を囲っていた光は“ゆっくりと消えていった”。次第に彼女は激痛を感じなくなっていた。

ケルヴィ、ガルガーリン、ド・ミニオは驚く。

「“消えて…ない”…!」

「まさか、“メルカバー”になったのだね!?」

「本当…なの…!?」

ジャンヌはゆっくりと目を開けた。自身の両手を見る。

「私、生きてるの?」

彼女は耳に違和感を感じた。何故か両耳に“イヤリング”が付けられていた。

(このイヤリングは?それに、何だか力が湧いてくるのを感じる…!)

すると、セラフが近づいてき、拍手をする。

「おめでとうございます。ジャンヌ・ダルク。貴女はこれで、“メルカバー”になることに成功しました。」

「ほ、本当ですか!?」

「えぇ。しかし、まさか本当に成功するとは思いませんでした。ですが、大変喜ばしいことです。」

「あ、ありがとうございます!!私はこれで人々を悪魔から守ることができるのですね!!」

セラフはコクリと頷く。そして、他の三人の天使たちも駆け寄った。

「成功したのだね!!」

「おめでとう!ジャンヌさん!」

「ありがとうございます!」

ガルガーリン、ド・ミニオはジャンヌに賞賛する。一方、ケルヴィはセラフを見た。

「まさか成功するなんてな。」

「私も予想外でした。」

「あの、セラフ。」

「はい?」

「その、奈落の底に突き落とすなんて言ってすまなかった。」

「いいです。水に流しましょう。」

ケルヴィはジャンヌに歩み寄る。

「ジャンヌ・ダルク。アンタは生前から神の命を受けて、そして天界でメルカバーになるとはな。驚いたぜ。」

「はい。私、少し怖かったです。でも、この力なら…!」

ケルヴィはフッと笑った。

「セラフ。正義感の強いメルカバーが生まれたんだ。悪魔と戦えるように、“彼女を俺たちで特訓させようぜ”。」

「えぇ。そうですね。」

「特訓、ですか。」

「そうですよジャンヌ・ダルク。貴女が強くなるために、私たちが全力でサポートします。しかし、私たちの特訓は厳しいですよ?」

ジャンヌは覚悟を決めた表情で頷く。

「よろしくお願いします!」




それから、厳しい特訓が始まった。悪魔の基礎、戦闘訓練、体術、剣術、そして天使の力の一つである“光技”(こうぎ)という術を習得するための特訓。

光技は“光”を操る術で、騎士天使は遠距離攻撃などを使うためにこの光技を扱うという。だが、光技には騎士天使によって異なることがあるらしい。例えば、光を使って剣を作ることができる術もあるようだ。時々、エデンの住人がジャンヌに会いにくることもあった。彼女と遊んでいた子供たちも、ジャンヌに菓子類をプレゼントすることもあった。



そして一ヶ月が経ち、ジャンヌは夜、誰もいない草原で素振りをしていた。

「二百四十七…二百四十八…」

数分後、五百回素振りをした後、ジャンヌは光技の練習をしていた。セラフからの課題は、“光の玉を作る”ことだった。

「掌に力を入れて、突き出す…!はぁ!!」

セラフからのアドバイスを思い出し、何度も光の玉を作ろうとするが、失敗してしまった。

「まだまだかぁ…」

ジャンヌはため息を吐く。

「これじゃあ、先はまだまだ長くなってしまう。だめよジャンヌ!まだまだ修行を続けるのよ!」

その時だった。

「すいません。」

ジャンヌは後ろを見ると、茶髪の女性がいた。

「どうしたんですか?」

女性はジャンヌの方へ近づいてきた。

「私、北にある村から来たのです。エデンに行きたいのですが…」

茶髪の女性は地図を広げ、ジャンヌに見せてきた。

「エデンは、ここですね!ここから真っ直ぐ歩けば着きますよ!」

「ありがとうございます!


“まんまと騙されてくれて”。」



「え?」

すると、茶髪の女性の両手は“禍々しく不気味な手”へと変貌し、ジャンヌに“斬りかかる”。

「っ!」

ジャンヌは咄嗟に剣を出し、防御した。女性はニヤリと笑い、そのままジャンプをしながら後ろに下がる。すると、女性の姿が“公爵夫人の様な姿に変わった”。そして、頭に被っていた帽子には。“角”があった。


「まさか、“悪魔”…!」


「こんばんわぁ。見たところ、貴女はただの人間の魂ではないようね。名前は?」

「ジャンヌ・ダルク…!」

「まぁ!あのフランスの!?聞いたことがあるわね。私は“グレモリー”。仲良くしてくれるかしら?」

「断る!罪のない人間を傷つける悪魔には、容赦はしないと決めているの!」

「あら残念。でも、私、“貴女のこともっと知りたくなったわ”♪」

そう言った瞬間、悪魔、グレモリーが脅威のスピードで襲いかかる。ジャンヌは剣を構え、グレモリーに切り掛かる。

「あら。」

グレモリーはジャンヌの攻撃を避け、後ろに周り、蹴りを繰り出す。

「がはっ!」

ジャンヌは地面に剣を突き刺し、体制を整えるが、グレモリーの猛攻が襲いかかる。ジャンヌは鋭い爪によって体を引き裂かれてしまった。

「ぐあぁぁぁぁ!!」

「うふふ…あはははははは!!!」

そして、最後に強烈な蹴りがジャンヌを襲った。ジャンヌは吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。

「く…う…」

「懲りたかしら?貴女のこともっと知りたいから、私と仲良くなる気になったかしら?

「チッ!」

ジャンヌはフラフラになりながらも、剣をグレモリーに向けて振り下ろす。しかし、振り下ろす前に腹部を殴られ、バタンと倒れてしまった。

「ジャンヌちゃん。貴女とてもかっこいいわね。その諦めない精神。何事にも立ち向かう根気。でも、私たち悪魔の前にとって、“それは無意味に過ぎない”。」

ジャンヌはもう一度立ち上がり、また剣を振り下ろした。しかし、グレモリーは余裕で回避し、そのままゆっくりと後ろに下がる。

「悪いけど、諦めることをオススメするわ。その方が楽だもの。人間も同じ、全人類は全員、楽したいと思ったことがあるわよ。だから、貴女も楽になりましょう?私と仲良くなれば、エデンよりも幸せな気分になれるわよ?」

ジャンヌはグレモリーの話を聞くことはなかった。しかし、ただ下を向き、突っ立っているだけだった。

(このまま、終わりたくない…。悪魔から…人々を守る…為には…わた…し…は…)

「残念。聞いてくれないわね。」

グレモリーは爪をギラギラと音を立てながらジャンヌに近づいてきた。

(…できるか…わからない…でも…せめて…私に最後の力を…)

ジャンヌは、グレモリーに向けて掌を突き出した。まだ成功していない光技で光の玉を撃とうとしていた。

(掌に力を入れて…突き…出す…!)

ジャンヌは最後の力を振り絞り、手のひらに力を入れた。

その時、ジャンヌの頭の中から“謎の声が聞こえた”。それは、彼女に語りかけるように。

“貴女には、我らがついている”と。



その瞬間、ジャンヌの掌が光り始めた。そして、その光は“球状”に変わった。ついに彼女は、“光技を習得したのだ”。



光の玉はグレモリーに向けて勢いよく発射された。

「なに!?」

グレモリーはその光の玉に直撃してしまった。

「グハァ!!」

光の玉は爆発し、グレモリーはその爆発に巻き込まれた。ジャンヌは剣を拾い、構えた。すると、大量の“白い羽”がジャンヌを覆うように飛んできた。その羽は、“ジャンヌの傷を癒したのだ”。

「神よ。感謝します。」

煙の中からグレモリーの姿が現れた。しかし、グレモリーは笑っていた。

「キハハハハハハハハ!!やっぱり貴女はサイコーね!!テンション、上がってきたわ!!」

グレモリーはまたジャンヌに襲いかかる。しかし、ジャンヌはグレモリーを迎え撃った。グレモリーによる斬撃を弾き返し、彼女も反撃する。

グレモリーは攻撃を回避し続けるが、攻撃する隙が見つからなかった。

(さっきよりも格段にパワーアップしているわ!攻撃もできない!)

そしてついに、ジャンヌはグレモリーに斬撃を喰らわせた。

「ぐっ!」

ジャンヌは続けて光の玉を発射し、追い打ちをかける。グレモリーに光の玉は命中し、そして剣で突こうとする。

しかし、グレモリーに弾き返された。

「良いわ!!とっても良いじゃない!!なら、少し本気を出すわね!!」

グレモリーの右手から“黒い煙”が吹き出す。そして、その黒い煙は“レイピア”に変わった。

「矛同士、どっちが先にきつい攻撃を喰らわせれるか、勝負しないかしら?」

「受けて立つわ。」

双方、攻撃する体制に入った。そして、グレモリーが愉快に笑いながら襲いかかる。それは、目にも止まらぬ速さのレイピアのラッシュだった。その速さはまるで雨だった。

ジャンヌも負けず、連続で斬撃を繰り出した。

「キャハハははははははははははははははははははははは!!!!」

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

しかし、グレモリーのレイピアがジャンヌの剣に触れ、弾き返された。

「なっ!?」

「貰った!」

ジャンヌはそのまま、強烈な斬撃を繰り出した。グレモリーは血を吹き出しながら倒れた。

「はぁ…はぁ…」

ジャンヌは鞘に剣を納め、宮殿に戻ろうとした。

その時だった。後ろからガンッという音が聞こえた。ジャンヌは後ろを振り返る。“グレモリー”が狂気的な笑みを浮かべながら立っていた。

「ひひひ…!!あははは!!まだよ!!こんなに楽しい時間は久々なのよ!?終わるわけがないわ!!」

グレモリーはそのままジャンヌに猛スピードで襲いかかった。

その時、一人の“誰か”が現れ、グレモリーを止めた。


“セラフ”だ。セラフが助けに来てくれたのだ。


「セラフ…さん…」

ジャンヌは体力の限界だったので、そのまま倒れそうになった。しかし、誰かがジャンヌを支えた。“ケルヴィ”だ。頭上には、ガルガーリンとド・ミニオ、そして騎士天使たちもいた。

「よく頑張ってくれたな。ジャンヌ・ダルク。遅れて、本当にすまなかった。」

一方、グレモリーはセラフから離れ、不機嫌そうな表情を浮かべる。

「はぁ。残念。」

そう言うと、グレモリーは黒い煙に包まれた。煙が消えた頃には、もう“グレモリー”の姿はなかった。


「セラフ!こっちに来て彼女の手当をしてくれ!」

セラフはジャンヌに駆け寄る。ジャンヌはボロボロだった。セラフはジャンヌの手に触れると、そこから白い光が溢れる。その光は、ジャンヌの傷口から傷口へと移り、傷を癒していった。


「ジャンヌ・ダルク。貴女はよく頑張ってくれた。


あとがき


初投稿でございます。小説を書き始めて一年の高校生なので、まだまだ未熟でございます。誤字脱字に気づいていない時もあるアホですが、よろしくお願いします。夢であるライトノベル作家を目指し、日々精進しようと思っています。

Noveleeという小説投稿サイトにて、“鉄蜘蛛の城”という物語も投稿していますので、よければご覧ください。

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