第一章 魔獣の森 (2)
ふと目が覚めると、東と思われる方向が明るくなってきた。朝だ。おはようございます。
体がバキバキだ。布団が恋しい。
立ち上がり、伸びをする。あー気持ち良い。
やはり動物や虫の気配は無い。肉食の動物に襲われるとか虫に刺されるとかいう心配が無くてありがたい。
でも肉は欲しいかな、まだ火の問題は解決していないが。フライパンや鍋も無い。
事態がよくなることを信じて今日も頑張ろう。
とりあえずは朝食だ。野菜と果物を食べる。
あと気が付いたのだが、昨日採った野菜や果物が既に復活している。どういうこと?
まぁ、良い方向に考えよう。これで飢えることはないと。
さてとやりますか。
「水!」
ボタッ。と午前中繰り返して何とか直径三㎝の水の球となる。
ふふふ。
顔を上げて口を開ける。右の掌を口にもっていき、
「水!」
ボタッと口の中に水の球が入る。
ゴクン。
美味い。やっと実用レベルになった。口の大きさを考えたら直径三㎝でも充分という気がしてきた。コップとか無いしな。たくさん飲みたかったら二回、三回と続けて出せば良い。
水魔法はここまでにしよう。次はどうしようか?
火魔法か? 土魔法か?
火魔法は
待てよ、光魔法も良いか。夜の
右手の人差し指を突き出して。
「火!」
プスッ。
……。
「火!」
プスッ。
豆電球ほどの火が
今度は長く
「火!」
プスッ。
夕方まで頑張れば少しはよくなるかな?
「火!」
何とか夕方まで頑張ってライターほどの火が三秒ほど点くようになった。
夕食に野菜と果物を食べて、更に練習を続ける。何とか寝る前に五秒間灯すことに成功した。
また木を背にして就寝する。
日の出とともに起きて朝食をとる。
さて火魔法はとりあえず良いだろう。次はどうする? 土魔法? 光魔法? それとも……。
たしか無属性魔法とかも使えるはずだ。魔力の
うん。やってみよう。
イメージは魔力の盾。
「盾!」
そう言うと目の前に五㎝×五㎝の薄い緑色の板が出来て、五秒で消える。もう一度。
「盾!」
うん、同じ物だね。イメージするのは大きさと持続時間だな。イメージイメージ。
「盾!」
また同じだ。そういえば強度はどれくらいなのだろうか?
「盾!」と出して殴ってみる。
パリンッ。
簡単に割れた。強度も上がるようにイメージしなくては。
「盾!」
午前中訓練を続けて何とか十五㎝×十五㎝になる。持続時間も二十秒になった。何となく水魔法や火魔法に比べて成長が早い。昼食をとってからも練習だ。
昼食後の練習で、夕方前には三十㎝×三十㎝ほどの大きさとなり、持続時間が一分となった。強度はホンの少し上がったかなと感じられる程度だ。それでも習熟が早いと感じる。六属性魔法とは違い、誰でも使えるという無属性魔法だからだろうか? 分からん。
ここで一旦練習をやめて枯れ木などを拾いに行く。夜は焚き火をしたい。やはりキャンプといったら焚き火だ。まぁ、キャンプではないが。
拾い終わったら適当に枯れ木を組み、乾いた落ち葉に魔法で火を点ける。
「火!」
上手くいった。落ち葉の火が枯れ木に燃え移り、良い感じになる。
夕食の野菜と果物を食べ終え、枯れ木をくべながらボーッと焚き火を見つめる。焚き火って落ち着くよね。一日中見ていられる。
軽く頭を振り、盾を出す練習を再開。
「盾!」
寝る頃には五十㎝×五十㎝で持続時間が五分になり、強度も少し上昇。良い感じだ。明日も盾を
日の出とともに起床する。
立ち上がり、軽く伸びをする。あ~気持ち良い。布団が欲しいな。
水でも飲むかと顔を上げて、口の上に掌を向けて、
「水!」
と出すが、何やら水の球サイズが一段と大きくなっている。直径七㎝はある。慌てて止まれと念じると水の球が空中に浮いて止まる。
なんで?
と考える。昨日やっていたのは無属性魔法の魔力の盾の修練。
あ~なるほど。もしかしたら無属性魔法って六属性魔法を補助する役割があるのかもしれない。
無属性魔法を鍛えれば、六属性魔法もパワーアップするのかな? これは要検証だな。
なるほどなるほど。ではアレだ。と右の掌を木に向けて、
「水球!」
と言うと水の球が飛んでいき、ベチャッと木に当たる。もちろん威力は無いに等しいが、魔法を撃ち出すことに成功した。
これは六属性魔法よりもまずは無属性魔法の修練を進めた方が良さそうだ。
朝食をとり、無属性魔法の練習に取り組む。その日の終わりには魔力の盾が一m×一mで持続時間が三十分に延び、殴っても割れなくなった。
あと二、三日は無属性魔法の練習を続けよう。
翌日から三日間の練習で魔力の盾の大きさは四m×四m、持続時間は三時間、強度は殴っても蹴っても大丈夫なくらいにはなった。とりあえず無属性魔法はここまでとする。
明日からは風魔法、土魔法、光魔法、闇魔法のどれかの練習に移ろうと思う。
ではまた明日。おやすみなさい。
翌朝、日の出とともに起きる。
適当に朝食をとったら練習する魔法の属性を決める。
何にしようか?
風魔法、土魔法、光魔法、闇魔法。どれが役に立つか。
う~む、悩む。
これが使いこなせればお風呂問題も解決かな。
お風呂か~。入りたいな。
うん?
結界で浴槽を作り、火と水でお湯を出し浴槽を満たす。少し熱いので水で調整。うむ、良い湯加減だと早速服を脱いで浴槽へと入る。
「ああああああ」
ああ、生き返る。気持ち良い。前世は起床してからすぐに出勤するような生活を送っていたから朝風呂には背徳感があるが、誰も
気持ち良い。
風呂から出て手拭いで体を拭いて服を着る。サッパリした。
お湯を魔法で消して、同様に浴槽も消す。便利便利。
何か一気に生活水準が上がった気がする。
うん?
浴槽が出来た……。ならば。
手には結界で出来たコップ。そこに水を出す。
うん、出来た。腰に手を当てて飲む。
「美味い」
ハハハ、これで皿もコップもお
そうすると椅子にテーブルも出来るか。
俺は天才か!
煮炊きも出来るか? フライパンもか? 油が無いか。調べるか。どうやって?
まぁまぁ、焦るな焦るな。少しずつだ。
無属性魔法はもう少し熟練度を上げよう。出来れば一日は維持出来るようになると最高だな。
色々試してみようか。
まずは
枯れ木で火を起こしてと、良いぞ。
そして鍋も結界で作成。透過率も下げてと。水を入れて。
竃の上部に開いた口の上に置くと……。丁度良いな。
うん? 水が熱くならない?
ああ、元が外部からの攻撃とかを防ぐ結界だからか。
ふむふむ、そういえば先ほどは透過率を下げて見え
さて、これでどうだ?
おおお、沸騰してきたよ。成功だ!
いやぁ、無属性魔法、便利だな。もっと熟練度を上げようではないか。
丁度良い高さのテーブルを作り、椅子も作る。
ハハハ。
座ってみる。良いな。良い。
そうだ、急須のような物を作成。たしかあっちにハーブがあったな。
いくつか摘み取り水魔法で水分を抜いて乾燥させる。それを無属性魔法の結界で作成した急須に入れて、火魔法と水魔法でお湯を入れる。
マグカップのような物を作成して急須から注いでみる。
ああ、良い香りだ。
一口飲む。
うん。ほっこりする味だ。決して
う~ん、でも気をつけなければならないな。無属性魔法の結界で作成した物は、持続時間が過ぎてしまうと消えてしまうからな。
よし、熟練度を上げよう。
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