第2話
しばらくして二人は合流地点で再会した。
「ホッパー、旅支度はすんだ?」
「はい、とりあえず水と少しの草を持ってきました。あ、フロギーさんヴィーガンなんですよね?食料は何なんです?」
「俺は木の実さ。それと同じく水。俺たちは体が乾くと死んでしまうから大量の水さ。さてと、ホッパー、どこに行くべきかな?俺たち。」
「そうですね。サマーオーシャンなんてどうです?そこのサマーオーシャン平原はうっすらと草が生えていてそれがだだっ広くある場所なんですよ。海からの風は湿気を帯びた熱風が吹きます。だから昼間はあんまり生き物は顔を出しておらず、夜に顔を出すようです。ですので月への信仰心が厚いと言われています。何か手掛かりがあるかもしれません。」
「なるほど。月への信仰心か。それなら確かに何か情報が得られそうだ。行ってみよう。」
それから二人はサマーオーシャンに向かった。スプリンググラスとサマーオーシャンの境でもうすぐにその湿り気の多い暑さが感じられた。なので二人は夜になってからサマーオーシャンに入ることにした。
「ホッパー、俺たちはジャンプするしか月に届く方法はない。だから日頃からジャンプの練習を怠ってはいけない。やるぞ!えい!」
フロギーがジャンプの練習を始めた。
「わかりました。フロギー、私もジャンプします!えい!」
二人は疲れて眠るまでジャンプの練習をしていた。
夜になり、ホッパーがハッとして起き、フロギーを起こした。
「フロギー、フロギー!夜ですよ!起きてください!」
「夜寝るのは当然だろ?むにゃむにゃ...。はっ!そうだった!」
文字通り飛び起きた。
「そうだよな、そうだ。サマーオーシャンに行くんだった。夜はちょっとだけ冷えるね。さて、行くか。」
「はい、行きましょう。」
ふたりはサマーオーシャン平原に出た。だだっ広くどこまでも続くうっすらした草原。少し方向を見誤ると迷ってしまいそうなところであった。だからポツンとある木や岩などを目印にして歩いていった。しかしそれでも迷ってしまった。二人は岩場に腰かけてどうするか考えあぐねいていた。
「ホッパー、どうする?」
と困った様子のフロギー
「困りましたね。このままだと夜が明けてしまいます。」
とホッパーが言っている最中に地面がズモモモモと動いてきて穴から何かがはい出してきた。
「なんだ?」
とフロギーが不思議に思っていると
「おやおや、旅のお方かい?この辺じゃ迷うのは当然だろうよ。この先をしばらく行ったら岩の高台があってそこには草がぎっしり生えていてね、そこに街ができているよ。そこまで案内しようか?ミミズ一匹でいいよ。」
「てゆーか、あんたは誰?」
とフロギーが聞いた。
「俺はモグラのモーラーさ。ミミズ持ってるかい?」
「ミミズはないけど木の実ならある。」
「じゃあ、街のマーケットで木の実とミミズを交換してもらってくれ。そしたら俺にくれ。いいか?」
「それじゃあ頼む。」
そうフロギーが言って、モーラーは平原をズモモモモと土を盛り上げながら道案内をしてくれた。
しばらくたって、岩の高台があるふもとの街へ着いた。街と言ってもそのあたりの生き物たちが物々交換しているようなところだった。
「あのネズミがやってる店で木の実とミミズを交換してきてよ。」
とモーラーが言った。
「わかった。行ってくるよ。」
とフロギーが店にいった。
「お客さん、何か用かい?」
「ああ、この木の実とミミズ一匹を交換してほしいんだ。」
「わかった。それにしてもお客さんいいからだしてるね。3か月ぐらいは持ちそうだ...。」
「おい、クソネズミ、俺の客に手をだしたら嚙み殺してやるからな。」
モーラーが声を荒らげた。
「わ、わかってるよ。はい、ミミズ一匹。」
「どうも。それじゃあ頂くね。」
とモーラーがするするするっとミミズを飲み込んだ。
「ありがとう、ごちそうさん。」
モーラーがフロギーたちに言った。
「それよりモーラー、このサマーオーシャンでは月に対する信仰があると聞いたのだが、それは本当かい?」
とフロギーがモーラーに尋ねた。
「ああ、お月様のね。それはこの辺を仕切ってるうさぎの一族がやってるよ。これを見てみなよ。」
モーラーは張り紙をフロギーに渡した。
「何々?月に捧げし者たちよ。より月に近くあれ。次の満月の夜、月光祭、開催。」
「これはなんだか月の匂いが漂いますね。でも次の満月っていつなんでしょうか?」
とホッパーが言った。
「そうだね。明後日ぐらいだと思うよ。ところでお前さんたち寝床はあるのかい?」
モーラーが言った。
「もしよかったら俺の地下ホテルでも使っていかないかい?宿泊費はさっきの木の実でいいよ。どのみち昼は暑いから夜の行動になる。だからひんやりした地下のホテルが最高さ!」
「それじゃあ、お借りさせてもらおうかな?ところでこの辺で木の実や小さい果実みたいなものはない?」
とフロギーがモーラーに尋ねた。
「そうだね、稗や粟なら湧き水がある場所の近くに雑草と紛れて生えてるよ。」
「それで十分さ。取りに行ってくるよ。」
「おいおい、あんた、取りに行くなら明日の早朝にしなよ。それに今日は疲れてるだろ?取り合えず休んだらどうだい?」
とモーラーに諭された。
「それもそうだな。そうしよう。」
そうしてフロギーとホッパーはモーラーのホテルに泊まることにした。
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