Fly me to the moon

秦野 駿一

第1話

「えい!やー!」


とある夜にカエルのフロギーは月に向かってジャンプをする何度も何度もジャンプする。それを見ているトカゲのリザーが


「お前は馬鹿なのか?月に向かって飛べるとでも思っているのか?」


「ああ、いつかは届くんじゃないかと思ってさ。毎日ジャンプの練習していればきっと届くよ。」


「はぁ。呆れるぜ。お前には羽もないというのに。羽がある蝶だって行けやしないというのに。」


そこに蛾のモースがやってきた。


「俺たちはいつも月へと飛んでるよ。毎晩毎晩。ずっと月を追い続けてるよ。」


「じゃあ何だい?お前らは毎晩飛んでるのに月には着かないのかい?はぁ。結局ただの迷い事か。」


とリザーが言った。


「何もしないで諦めるよりは挑戦してからの方がよくないか?」


とフロギーが言った。


「まぁ、俺にはどうでもいいが。もう夜も遅い。俺は寝る。お前も寝ろよ。」


「全くリザーのヤツは夢も何もない。無理だと分かったとしても挑戦したくなることだってあるのに。」


とフロギーがボソっと呟いた。


朝になりフロギーが目を覚ました。ここはスプリンググラス。この緑豊かな大草原は生き物が多種多様に絡まり合っている。


フロギーは顔を洗うために小川へと向かった。


「バシャバシャ。ふー!スッキリした!」


フロギーが顔を洗っている時に背後の草むらからガサガサと音が鳴った。


「誰だ?」


とフロギーが言うと、


「ああ、ごめんなさい...。食べないでください...。私の名はホッパーです。」


とそこにはバッタのホッパーが現れた。


「食べないよ。俺はヴィーガンなんだ。それよりも俺に何か用か?」


「あ、はい...。フロギーさんがいつも月へ行く方法を探してると聞いたもので...。」


「さん付けはいい。お前も月へ行きたいのかい?おお!同志だ!」


「あ、はいフロギーさ。。、フロギー!私も月へ行きたいんです!どうやったら月へ行けますかね?」


「俺は取り合えず毎日ジャンプの練習をしている。でもそれじゃダメなきがするんだ。ホッパーはどう思う?」


「そうですね。私もジャンプには自信があるんですけどやっぱり蝶の奴らや鳥の奴らにはかなわないですからね。だからこうしてフロギーに訪ねて来たのですよ。」


「そうだな。鳥の奴らは天敵だし、昨晩、蛾のモースに聞いても月までたどり着かないらしいから、何か方法を探さないと...。他に同志はいないかな?」


「そうですね。私はこのスプリンググラスを探し回ってようやく月に行きたがっているフロギーを見つけました。ですので、もうこのスプリンググラスにはいないかと...。」


「そうか...。いよいよ旅に出る時が来たか。ホッパー、旅の準備をしてこの場所にもう一度待ち合わせしよう。」


「わかりました。」


そういって二人は各々の旅の準備へと向かった。


緑生い茂るこのスプリンググラス。生きるうえでは申し分ない環境である。しかし彼らにとってはそれよりももっと大事なものがある。そう、月へと行くという野望である。それが彼らにとってこの先の道をどう分けるのかも解らない。そんなことよりも自分たちの夢がどうあるかが肝心なのだ。

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