第7話 しおりんコラボ2
「えー次は……」
「これ! これです! 玉こんにゃくでござる」
「あーうん。これね」
「スライムコアと似ても似つかないこれを、どのような着想でスライムコアに見立てたのか知りたいでござる!」
「あー、そう言うやつか。これは偶然なんだよね。みんなは下級融合についてどれくらい知識ある? 僕はよく錬金釜でおでんを作るんだけど……」
<コメント>
:待て
:ちょっとなんの話してるのかわかんないですね
:唐突におでん出てきてしおりん困惑してるで
「おでんでござるか?」
「うん、夜食にね。おでん以外に僕は味噌田楽が好きでね。そこから流れで玉こんにゃくの利便性に着目した」
<コメント>
:なんの話してんの?
:玉こんにゃくを入れる着想やろ
:どう考えても夜食に何食ってたかなんだよなぁ
:こんにゃく系は腹持ちいいだろ! いい加減にしろ!
:そう言う問題か?
:ミコト様は割と真面目に答えてる
:イケメンの裏に隠れた狂人振りにガチ恋勢も困惑
:既婚者にガチ恋とかウマに蹴られて死んでしまえ
「それで途中で違う具材を入れてしまったと?」
「うん、かき氷用の練乳が入っちゃってさ。これもう食えないなって。捨てるのもあれだし下級融合で素材ごと消そうとしたら」
「運良く成功した?」
「そんな感じ。で、どう見てもホワイトコアだから湿布作ってみたら普通に作れてさ。取り敢えず失敗前提で何度か作ってたら結構な確率で成功して。一番難しかったのはレインボーコアだね」
「あれも錬金で作れるのでござるか!?」
ふんふんと鼻息を荒くするしおりんさん。
買えば単価1万するもんね。出来上がるエクスポーションが20万〜なのは大体あれのせいな気がする。それが玉こんにゃくレシピで作れると知ったら驚きも一入か。
<コメント>
:レインボーコアまで作れるんかよ
:でも難しいらしいぞ?
「うん、黄金比があるんだ。最初に用意するのはかき氷シロップのイチゴ、メロン、レモン、ブルーハワイ、抹茶。これを1:1:3:2:1で配合、虹色の液体を作るんだ。これのバランスが難しくてよく失敗したなぁ」
<コメント>
:難しいってそう言う意味かよwww
:黄金比があるのに難しいとは?
:かwきwごwおwりwシwロwッwプwww
「確かに配合が難しそうでござるなぁ」
「僕は同じ容量のシロップを本数分買ってきて全部混ぜて保存した」
「それだ!」
「失敗する前提だからね。数は多く用意するのは基本だし。玉こんにゃくは普通に好きだし錬金にも使えるって知った時は流石だなって思ったよ」
「なるほどでござるなぁ」
「お礼に見本を何個か送るね。そうだ。業務用スーパーでお得用の玉こんにゃく売ってるからそれおすすめ。薄く味ついてるから余ったらおつまみにしてもいいし」
<コメント>
:味ついててもいいのかよ
:自由だなぁ、錬金術
:融合そのものが信用ないからな
:探索者で言うところの投石スキルだよ、融合は
:あー、それでなんとなく理解した
:当たってもダメージがランダムみたいなやつか
:まず当たんないけどな
:投石が初期スキルの俺が通ります
:レベル上げればオークをヘッドショットできるけどな
:そんなゴミスキルに熟練度注ぐとかアホかよ
:そのアホの話を今してるんだぞ?
アホとか失礼だな。
競馬で毎回大穴狙うのとそう大差ないのに。
やっぱり投資額が高ければ高いだけギャンブル性が上がるから槍玉に挙げられるのかな? お金を浪費することに至ってはどっちもどっちなのにね。
「まぁ普通はスルーするからね。僕もミスしなければ一生目を向けなかったと思う」
<コメント>
:融合君かわいそう
:掌返しやめろ!
:実際投石に熟練度溶かす奴もそれしか遠距離手段ないから上げたんだろ?
:そこら辺の石で代用できるからお金か感ないし
:まずお手頃な石探すのが面倒でな
「ミコト様にとっても意外な素材だったんでござるなぁ」
「それからすっかり融合にハマっちゃって。半ば料理感覚で作ってる」
「自炊できるものの強みでござるね」
「しおりんさんは?」
「……」
自炊してるかどうか聞いたら急に黙り込んだ。目もどこか死んだようにスン……としている。聞いちゃいけない案件だったか。
<コメント>
:ミコト様、デリカシーないですよ
:女性が家事炊事全般得意とか妄想も大概にしてください!
:あれは家に入る前提の女子が頑張って身につけた処世術なんで
:金持ってるんなら業者にやらせる一択です
:研究職だと栄養管理ズタボロになるんで栄養士に作ってもらった方が安全
:しおりんは悪くないです
「ち、ちち違うでござる! 炊事くらい拙者だってできるでござるよ! この前カップ麺も作ったでござるし」
<コメント>
:しおりん……カップ麺は子供でもできるんだよ(´・ω・`)
:おい! 事実陳列罪やめろ
:子供部屋おばさんの実態を暴くな!
:研究職なんてそれ以外ポンコツでちょうどいい
:それ。オールマイティなんて嫌味なだけ
:言われてるよ、ミコト様
「僕は奥さんに拾われてなければしおりんさんのこと言えないくらい生活面ガタガタだったからね。オールマイティなんて気のせいだよ」
「ミコト様ぁ! 信じてましたぞ!」
<コメント>
:そういえばこの人今でこそイケメンだけど元潰れたヒキガエルだっけ?
:元がどれほどだったのかも分からんけど、そう言われてるな
:二人とも表向きは美男美女だから
:スタッフが頑張りました
:はえースタッフすごいんすね
:金さえ貰えば仕事するやろ
:二人とも素材は良かったんやろな
:錬金術に進んだばかりに私生活ガッタガタになった
:錬金術の闇が深いな
:熟練度上げるってのは私生活捨てる覚悟が必要って事か
「錬金術以外のこと考えてる余裕なくない? こんな楽しいこと途中で辞めることなんてできない! って寝食惜しまずやってたらこうなるよね?」
「分かるでござる。やはりミコト様もそうでござったか!」
「僕以外にもいるなんて思わなかったけどね」
「然り。拙者も自分以外ここまで私生活投げ打った豪の者は海外の錬金術師以外いないと思っておった。まだまだ世界には表に出てない野良錬金術師が隠れてると思うと、拙者など井の中の蛙でござったなぁ」
<コメント>
:井の中の蛙、大海を知らずだっけ?
:アレには続きがあるんじゃよ
:そうなの?
:自分の実力も知らずに王様気分だったって意味じゃないの?
:ちゃう 世界の広さを知らなかったが、空の青さ、深さだけは知ってるって奴
:まだ目に見えない錬金術師の到来、深淵は誰よりも理解してるって意味?
:深すぎて手が届かないって熟練度100の人が言う世界だよ
:ミコト様は?
「僕は? 僕は賢者の石を作ってようやくスタートラインかな」
「150でスタートでござるか!」
「レシピに振り回されているうちは、母親の腕の中でバブバブ言ってるようなものだよ。レシピを100%作れるようになって、ようやく自我が生まれる」
<コメント>
:見てる世界が違うなぁとは思ってた
:俺ら生まれたばかりだった件
:世界のSランク錬金術師もこれにはダンマリ
:世界のSランク、高くても熟練度130だからな
:まさかの赤ちゃん言葉だった?
:それは流石に失礼だろ
:融合を100%成功させるのに必要なのが賢者の石な件
:それを作れるようになるのが150〜
:その上自分の血を代償にする事で死に近づいてるわ
「死ぬのを恐れてたら錬金術とかやってられないよね!」
<コメント>
:草
:生産職は安全だからって錬金術師になった奴ら涙拭けよ
:実は探索者より命が安かった?
:そりゃ世間一般より感覚ズレてるって言われるわ
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