第9話 誰も知らない物語
誰もいなくなった地下通路の奥深く。
そこには無数の書籍が部屋いっぱいに並べられていた。
男はひとり、手に待つ一冊の本に目を落とす。
所々が黒ずんでおり、しっかり目を凝らして見ないと文字も読むことができないそれに男は表情を変えることなく指を添える。
と、その瞬間。
パラパラと音を立てて、書籍は黒い炎に包まれに灰へと変わり、宙に舞う。
「またか……」
一冊の本が死んだ。
男の声は暗い闇に消える。
瞳を閉じ、胸に手を当て彼は深々と頭を下げる。
この物語の結末を誰も知らない。
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