第5話
(うぅ……やっぱり杉山くんと話さないと、少し寂しい……)
友人と一緒に下校中、花音の表情はずっと曇っていた。
(けど、私から秘密にしたいって言ったのに、私のせいでバレちゃうくらいなら、杉山くんと距離を取るくらい……なんてことないはず……なのに……)
「花音、どうかしたの?」
「ふぇっ⁉ な、なに⁉」
突然話しかけられた花音は、思わず素っ頓狂な声を出してしまった。
「いや、花音なんか今日テンション低いな~って思って、さっきからずっと何か考え事してる感じだったから、何か悩んでるのかなって思って」
「べ、別にどうってことはないから……」
「ほんとに?」
「……」
「もしかして、花音、杉山君のことで悩んでるんじゃないの?」
「っ⁉ な、なんでわかるの⁉」
「あ、やっぱりそうなんだ。なんとなく勘で言ったつもりだったんだけど」
「……」(うぅ……また過剰に反応しちゃった……隠したいって言ったのは私なのに……)
「花音って、もしかして杉山君のこと好きなの?」
「ふぇっ⁉ ……う、うん……」(もしかして、私が杉山くんと付き合ってるってことじゃなくて、私が杉山くんに片思いしてるって思われてるのかな……?)
花音が少し戸惑った様子を見せると、友人は少し安心した様子を見せた。
「なんだ~。そういうことなら、もっと早く言ってくれればよかったのに~」
「えっ?」
「花音が最近杉山君と一緒に帰ってるの、私知ってるよ? 部活が一緒だからっていうのもあるんだろうけど、それにしてはなんか距離近いし、もしかして花音が杉山君のこと好きなんじゃないかな~って思ってたんだよね」
「……」
花音は何も言えないまま黙ってしまった。
* * *
(寺原さん、今日はなんかいつもと違った……やっぱり、相当気にしちゃってるんだろうな……)
夜、宏人がそんなことを考えていると、宏人のスマホが小さく振動した。
『この間は取り乱しちゃってごめん』
宏人はスマホの画面に映し出されたその短いメッセージに触れ、アプリの画面を開いた。
『こっちは全然大丈夫だから、気にしなくていいよ』
宏人がそう返信すると、すぐに花音から返信が来た。
『それに、今日も杉山くんに冷たくしちゃったし……』
『杉山くんと一緒にいると、過剰に周りに気付かれてないか気になっちゃって……』
『一回杉山くんと離れてみた方がいいんじゃないかなって思って、それで……』
宏人が何も返せないでいると、花音は続けざまに宏人に思っていることを話した。
(寺原さん、ものすごく落ち込んでるみたいだな……)
宏人は花音からの返信を一通り読んだ後、
『とりあえず、明日の朝、駅で会える?』
と花音に送った。そして、花音からスタンプが返ってきたのを確認して、宏人はスマホを机の上に置いた。
小説のために俺と付き合ってくれる同じクラスの寺原さん 赤髪命 @pe-suke103
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