第4話
翌日。夕方に目が覚めた。ニートの鏡。早速高校にフィルムの現像に向かった。
まず暗室でフィルムをカメラから出し、リールに巻き付けた。それからタンクに入れ、現像液を入れる。そして攪拌し、攪拌し終えたら泡取りをする。そして現像液をとりだし、そこから酢酸の液を入れ停止させる。停止液を出し、そして定着液を入れて攪拌する。定着液を出し、そこから水洗し、乾燥。かなり雑多な説明だがそんな感じだ。
このネガシートの状態だと猫の画像なんだけどな...。一体どこで何が起きているんだろう?昨日とは裏腹にどんなAが写っているのかが楽しみになってきた。取り合えず今日は家に帰ろう。その前に中藤の所によるか。そう言えば中藤にAの写真のことをまだ言ってなかった気がする。ちょっと訪ねてみるか。
「中藤先生いますか?」
と職員室でどうどうと尋ねてしまった。
「お、お前は川端じゃないか!どうした?」
と数学の担任だった上早がいた。
「お疲れ様です。」
「お前のメンタルが病んでることを卒業も分かってやれなくてすまなかった。辛い思いをさせたな。」
「いえ、もう過去の話ですから。」
「中藤先生ならもうすぐ来るはずだ。お茶でも飲んでいけ。」
「いえ、私は元写真部の部室で待っていると伝えてください。」
「分かった。くれぐれも無理するなよ!」
と、そんな感じで職員室を後にした。それから数十分してから中藤が部室に来た。
「あぁ、先生、お疲れ様です。」
「どうした?何か用事でもあったか?」
「それがですね...。」
と一連の流れを中藤に話した。
「そうなのか...。世の中不思議なこともあるもんだな...。Aの意思がまだ生きているのかもな...。」
「先生は驚かないの?」
「そりゃ驚くさ。でも長年生きてきたら珍しいことにもちょいちょい出くわすもんだよ。」
「そんなもんなんだね。」
「そうだな...。」
そういって少ししゃべりながらビーカーで作ったコーヒーを飲んだ。
「じゃあ、帰るね。」
「明日はフィルム取りに来いよ。」
「はい。」
そういって真っすぐに家に帰った。
そして翌日。
「そう言えば今日は土曜日だったな。中藤は今日にフィルムを取りに来いと言ってたから今日も学校にいるんだろう。夕方になったら学校に行こう。そうだ。その前にAの元カレだったヒロキに写真を見せに行こう。」
ヒロキはAの元カレで、付き合ったり別れたりを繰り返していて、最終的にはお互いに良き友人になるという変わった関係だった。そんなヒロキに写真を見せたらどうなるだろう?と思った。そう思ってヒロキの家に向かった。
ヒロキは現在は結婚していて1児の父である。そんなヒロキの家に行ってベルを鳴らした。するとヒロキが出てきて。
「誰かと思ったら川端か。どしたん?元気なん?」
とナチュラルな感じで接してくれた。
「取り合えず家に入るか?」
と聞かれたが、
「いや、それはいい。それよりこれを見てくれ。」
と写真を見せて一連の話をした。すると
「てめぇ、言っていい嘘と悪い嘘があるんだよ。お前の精神がおかしいのは知ってる。だけどやっていいことと悪いことがあるんだよ!!!!」
と言って俺を思いっきりぶん殴った。
「ぐは!」
と私はよろめいた。
「すまん。そんなつもりじゃないんだ。話も嘘じゃない。そんな軽いつもりでもないんだ。この出来事は本当なんだよ!」
「うるせぇ。失せろ。ガイジが。」
「っ!」
それ以上声にならなかった。私は浅はかだった。今まで信じてくれた人はAに対して客観的に見れたからだ。しかしヒロキにそれはできなかったからだ。元カノでもあり、良き友人でもあるAの強い情が今でも残っているからヒロキにはまだ客観的には見ることは出来ないのだろうと思う。彼の中で彼女はまだ生きてるんだ。完全に私の非である。そういったことは他の友達にも大いにありうるから今後は気を付けようと思った。取り合えず夕方まで待って高校に行くことにした。
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