第2話
僕は今、走っている。
後ろには何人もの怖い顔をした男が追ってきている。
逃げる先も逃げた後も考える暇もないし、考えたところで絶望するだけだから考える気にもなれない。
逃げる原因になっているのは、僕が持っているCPデバイスだ。
このデバイスの中には僕の、家族の、友達の、そして一緒の働いてみんなのCPが入っている。
ができてから、農作業をする代わりにCPを渡す仕事になったり、物の値段が高くなったりして生活が苦しくなった。
CPは僕らの生活を壊したものだけど、僕らの生活を良くしてくれるかもしれないものでもある。
そんなCPを持って僕は換金所がある駅に向かって家を出た。
最初の方は何もなかったが、駅への道の4分の1ほどまで来たあたりから山賊に狙われ始めた。
隠れたりしてやり過ごしていたが、今回に限ってはどうにかなりそうにない。
追いかけてくる人たちはまだまだ余裕がありそうだ。
当たらないところにわざと物を投げて、僕が避けると「ビビり!」と言われるし、よけなかったら「よけろよ〜」と言われる。
そうして逃げているうちに、雨も振っていないのに水浸しになっているところまで来てしまった。
周りは草がおいしげり、少し先もよく見えない。
走って走って草の中を進んでいると
「あ」
崖から落ちた。
『幸いにも、この少年はなんとかデバイスを持ったまま駅にたどり着くことができましたが、CPを狙った犯罪は世界各地――特に貧しい地域で頻発しています』
テレビニュースの特集で番組が作った再現VTRが流れる。
『CPが発見されてから10年が経過し、CPによって様々なことが発生しました。
CP自体には危険性はありませんが、CPを扱う人の中には悪意ある人もいます。
CPを扱う私達は、常識的な使い方をしていかなければいけません。
CMのあとは最近の流行りのスイーツ特集です。
暑いこの時期にオススメのスイーツがたくさん!』
CP経済 ミンイチ @DoTK
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます