CP経済

ミンイチ

第1話

*2話構成です


『・・地方では週末にかけて雨が降るでしょう。

 為替、株、CPの値動きです。

・・・・・セントです。

 また、CPは年末需要によって1ポイントあたり14XY円に値上がりしています』



「貯まってきたから俺も売ろうかな〜」


 2年ほど前、Concentration Point、通称CPが発表された。


 個人差はあるにしても、集中力は1日に決まった時間しか保たないらしい。


 そして、その集中力のうち前日に余ったものを朝にポイント化・エネルギー化したのがCPだ。


 CPは後から自分の集中力を上げるためにも使えるし、他のエネルギー(電力とか熱とか)に変換することもできる。


 さらには、他の人のポイントを自分のものとして使うこともできるため、CPの売買も盛んになった。


 CPを貯めるには時計サイズの機械をつけるだけでいいし、使うためにはその機械を操作するだけでいい。


「駅で売るなら、私にちょっとちょうだい。

 お金なら出すから」


 妹が算数の宿題をしながらそんなことを言う。


「そんなこと言って、どうせまたお菓子とかで代わりにするんだろ。

 自分で買いに行けっての」


 前は売ったお金でお菓子を買おうと思っていたから許したが、今日は本を買いたいから妹の取引には応じない。


「お兄ちゃんのケチ」


「ケチで結構」


 そんなやりとりをしつつ、朝の準備を終えて学校に行く用意を終わらせる。


 今は冬休みだが、進学校に通っているため全員必修の補修がある。


 めんどくさいが、これをサボったら評定が下がるだろうから行くしかない。


「行ってきま〜す」




 駅のCP売買ステーションの買い専用機にはそれなりの人が集まっていた。


 半分くらいは大人だが、もう半分くらいは制服を着た学生が多い。


 受験勉強のために使うのか、冬休みの宿題のために使うかはわからないが、そのほとんどは何らかの勉強のために使うのだろう。


 それと比べて、売り専用機にはほとんど人がいない。


 空いてる機会で手続きをして、手首につけている機械を専用のスポットに置く。


『しばらくお待ちください・・・

 しばらくお待ちください・・・

 ピンポーン 端末をお取りください』


 手首に付け直して確認すると、貯めていたポイントが全て消えて、その代わりに電子マネーが結構増えていた。


 これだけあれば読みたかった本や買いたかったプラモデルを買っても余る金額だが、親からの制限のせいで自由に使える金額が限られている。


 早く成人したいな、と思いながら駅のホームへ向かった。

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