第40話 考えた結果、とんでもないことに気づく

 いやいや、待て待て。よく考えろ。

 原油と食料が値上がっているからって、隕石が衝突するなんて話が飛び過ぎている。

 値を上げる理由なんていくらでもある。


 でも、俺は確信みたいなものがある。

 なんでだ?

 そう思う原因がどこかにあるはずだ。


 ――そうだ。テレビだ。

 地下室を作るのがトレンドだとやっていた。

 セレブが地下室にシェルターを設置するんだって。


 それって、隕石が衝突するのを知っていたからなんじゃないか?

 だからセレブは、こぞってシェルターを設置し始めた。


 食糧と原油価格もそうだ。

 セレブたちが氷河期に備えようと買い占めたから高騰した。


 でも、そんなこと、みんなは知らない。

 テレビはオモシロ可笑しく報じるだけだし、経済の専門家だって原因がないから原油価格はそのうちおさまるなんて言っていたんだ。

 

 ただ、問題は、セレブはなぜ隕石の衝突を知っていたかだ。

 セレブだけが、なぜ?


 ……もしかしてあれか? 宇宙人。

 宇宙人から聞いたって可能性は?


 多くの人は宇宙人の存在を知らない。

 知っているとすれば、限られた人だけ。俺はそう予想した。


 じゃあ、限られた人ってのは誰だ?

 それは権力者であり富豪だ。

 地位があり、情報をたくさん握っている人たちだ。


 では、そういう人たちを一般的に何と言う?

 ――セレブだ。


 そうだ、そうなんだ。

 セレブは隕石の衝突を宇宙人から聞いていた。

 隕石の衝突が事実ならば、テクノロジーの進んでいる宇宙人は地球人より先に知る。不自然な話じゃない。


 ほかにも、あれだSNS。

 ショーグンをSNSにアップしたときに感じた疑問。

 こんなことして、宇宙人にバレないかって。


 宇宙人は自分たちが地球にいることを知られたくないハズだ。それは間違いない。

 だって、タコ星人は俺を銃でオドしたとき、口封じを考えていた。言動からもわかる。


 だが、結局はそうしなかった。

 それどころか、ショーグンを俺にくれた。地球のテクノロジーでは、おおよそ作れないほどのメカだ。

 なんでそんな証拠が残る行為を?


 それは、状況が変わったからだ。

 知られることは本来禁止だが、状況が変わり、もういいかと考えた。


 その状況の変化とは隕石の衝突だ。人類が滅亡、あるいは宇宙人の存在などどうでもいいぐらいのダメージを受ける。

 だったらバレたところで関係ない。


 クソ! ますます彗星の衝突が現実味を帯びてきたじゃないか。


 宇宙人の行動を考えてみれば分かる。

 地球に隕石が衝突すると知るのだ。

 だったら、宇宙人は何をする?

 隕石を破壊するか逃げるかだ。そうしないと自分たちも巻き込まれる。

 でも、現状隕石は破壊されていない。

 ならば、逃げたってことだ。

 そうだ、タコ星人は慌てていた。事故を起こすほどに。

 

 ――そうだ、そうだ。今、思いだした。タコ星人の最後の言葉を。


「いろいろ大変だろうけど頑張れよ」そう言っていなかったか?

 それは、こうなることを知っていたからじゃないのか?


 なんてことだ。

 隕石は衝突する。

 もう俺は確信してしまっている。


 ……じゃあ、どうすればいい?

 どうやったら生き残れる?


 それには、まずは隕石の衝突に耐えること。これが第一。

 だったら、すぐにでもシェルターを作っ……。


「ああ!!」


 シェルターは、いま作っているじゃないか。

 秘密基地という名のシェルターを。

 ショーグンが!


 じゃあ、ショーグンは全部知っていたのか?

 こうなることを、全部。

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