第61話 密室

「うざいんだけど!」


 リオの声が、耳をつんざいた。

 やはりトイレの中にいるらしい。ただし女子用ではなく、男子用の方に。


 嫌な予感がする。

 すぐさま中に入ると、男子高校生の集団が視界に飛び込んできた。

 人数は五~六人ほど。全員が制服姿で、髪を茶色く染めている。 

 少年の群れは輪になって、リオを取り囲んでいた。


「あんたなんかに興味ないって、何回も言ってんじゃん」


 リオは初めて会った時のような、きつい声を発している。大層ご立腹の様子だ。

 こいつらに捕まり、無理やり連れ込まれてしまったのだろうか? 

 ……だろうか、なんて悠長なことを考えている場合ではない。

 それ以外にこの状況を説明出来るはずがない。


 俺は一歩近付き、ガキどもに声をかけた。


「お前ら何やってんだ」


 一斉に全員がこちらを振り向く。

 リオはほっと安堵したような顔を見せ、「中元さん!」と叫んだ。

 同時に、少年達がざわつき始める。


「……中元?」

「すっげ。マジシャン中元じゃん」

「おー本物だ。ケツバットの人だ」

「つかリオの知り合いなん?」

 

 少年達の関心は俺に移ったらしく、リオを包囲する輪が崩れている。

 すると今がチャンスとばかりに、隙間からリオが飛び出してきた。

 俺の後ろに素早く隠れ、「ごめん、名前言わないほうがよかったね」と小声で謝ってきた。


「……二人はどういう関係よ?」

「おっさんと女子高生で仲良さそうなら、あれしかなくねえ?」

「エンコーか」

「ありえねー! 一発退学じゃねこれ」


 少年達は口元に下卑た笑いを浮かべ、スマホをかざしている。

 パシャパシャと撮影音が繰り返され、俺とリオのツーショットを写真に収めていく。


「あー隠れんなよリオ」

「問題ねーよ、俺の位置だと二人とも写ってっから」

「おっ、いいじゃんいいじゃん」


 こいつらが何をしたいのかは、なんとなくわかる。

 俺は紅茶をリオに持たせると、「お前は何も悪くない」と言って前に出た。


 俺と対峙するように、リーダー格と思わしき少年も歩み出て来る。

 長身長髪で、俺より頭一つ大きい小僧だ。百八十センチ以上あるだろう。

 顔立ちは甘めに整っていて、若手俳優よりもアイドル風だ。

 少しだけ着崩したブレザーの制服が、嫌味なくらい似合っている。


「そんなちんけな写真で脅すつもりか? その程度で捕まるほど理不尽な国じゃないだろ」

「んじゃこれ今すぐネットに上げていい? リオと密着してるのが撮れたんだけど」

「……それは」

「やっぱ困るんじゃねーか。いきんじゃねーよ」


 長身の少年は、嗜虐的な笑みを見せた。

 背後でリオが囁く。


「あいつがあたしに告ってきた男子。サッカー部の藤本ふじもと。顔はいいけど中身はこの通りだよ」


 声は震えていた。ごめん、あたしのせいで、とも続けられる。


「俺らさぁ、別におっさんを脅迫しようとかは思ってねーから。黙って出てってくんない? その間に全部終わるから」

「何をするつもりだ?」

「さー。それはリオの頑張りによるんじゃねーの。あいつのテクとやる気次第で、内容は変わるだろうし?」


 ゲラゲラゲラ、と一斉に笑い声が広がる。

 藤本は仲間達と目配せをし、おかしくておかしくてしょうがないといった様子で笑っている。


「俺らすっげえ溜まってんだよね。どうせエンコー女なら何やらせたって一緒じゃね? おっさんもリオで遊んでんだから俺らの同類っしょ。堅いこと言ってねーでさあ、」


 最後まで聞く必要はない。これ以上は耳が汚れる。

 

【勇者ケイスケはMPを295消費。神聖剣スキルを発動。攻撃力が350%アップ】

【霊体、悪魔、アンデッドに対して特攻状態となります】


 右手に光の刃を発生させ、ガキどもの間をすり抜ける。

 一瞬で全てが終わった。


 藤本が得意気にかざしていたスマホは細切れに切断され、断面から白い煙を上げている。

 他の連中が持っていたものも、同様に刻んである。


「言っておくが、その気になればお前ら自身も裁断出来るんだ。わかったらさっさと帰れ」


 ブレザーの集団は、面白いように同じ顔をしていた。顎がガクリと落ちて、唖然とした表情だ。

 

 だが次の瞬間、俺も同じ顔にさせられた。


「なんだ今の? 光剣に見えたな。まさかてめー神聖剣使えんのか」


 藤本は、あまりにも的確な推理を見せつけたのだ。

 いくらなんでも一介の男子高校生にしては、事情を知りすぎている。

 俺は剣を構えながら、すり足で後退した。


「お前、何者だ?」

「そっちこそどうなってんだよ。ただのインチキ手品師じゃねーのか」


 急ぎ、藤本のステータス鑑定を試みる。




【名 前】アギル

【レベル】65

【クラス】召喚冒険者・男子高校生

【H P】2200

【M P】1200

【攻 撃】1500

【防 御】1300

【敏 捷】1700

【魔 攻】1000

【魔 防】1000

【スキル】言語理解 夜目 土魔法

【備 考】ホブゴブリンの戦士。日本の男子高校生、藤本康介ふじもとこうすけの身分と姿を奪い取っている。低級な偽装であるため、鑑定をごまかせない。




「……あ?」


 予想外の結果に、我が目を疑う。

 なんだって? 

 こいつがゴブリン?


「そうかそうか。おっさん勇者だったか。ただの人間じゃねェなら……殺していいよな?」


 藤本、いやアギルは粘っこい笑みを口元に貼りつけながら、仲間に指示を送った。


「人避けがいるわ。入り口に消音サイレントと認識阻害系の結界張っとけ」

「嗅覚阻害はいるか?」

「んー。やっとくか。腹切るかもしんねーしな」


 現代の高校生の口から発せられる、ファンタジーな単語の数々。

 その違和感に、頭が混乱する。


 認識阻害は、中級以上のモンスターが使う補助魔法だ。おそらくこのトイレは今、外からはただの壁に見えているはずだ。

 消音は音が漏れないようになり、嗅覚阻害も文字通りの性能。


 これらは全て、冒険者が増援を呼べないよう妨害し、ダンジョン内で孤立させるための呪文だ。

 地下に巣を作るタイプの魔物が、好んで使用する傾向にある。

 そう、主にゴブリンなどが。


「どうするよ? ここ、今から三時間は隔離空間だぜ?」


 アギルは愉快そうに唇を歪めた。


「だからなんだ?」

「わっかんねえかなあ。おっさんはもう、叫んでも泣いても無駄ってことよ。例え骨を折られようが、腹をかっさばかれて内蔵を抜かれようが、誰も気付いてくれない。助けてくれない。お前の悲鳴は届かねえ……キヒ、キヒヒ、ゲハハハハハハハハア!」


 アギルは雄叫びを上げながら、飛びかかってきた。口上の割に、身のこなしはさほどでもない。

 半歩横にずれるだけで、楽々と攻撃をかわせた。

 やつの右腕は滑稽に宙を切っている。簡単に掴み、ひねりあげることが出来た。

 関節とは逆方向に曲げ、骨を砕く。


「がっぎゃあ!」


 痛みに悶えるアギルの顔に、「解呪」と呟きながら触れた。

 すると見目麗しい少年の風貌はかき消え、醜い小鬼が正体を現す。

 緑色の肌に、尖った耳と鼻。シワだらけの矮人といった外見で、身長は俺より低くなっている。


「ひょっとしてお前ら、全員こんなだったりするのか?」


 俺は制服の集団に、一斉に解呪をぶつける。

 予感は的中。

 どいつもこいつも、薄汚い雄ゴブリンだ。


「……あ……あ……」


 リオは声にならない声を漏らし、ずるずると崩れ落ちていた。

 ぺたんとヘたり込み、体を震わせている。

 この少女は窮地に追い込まれると、意外に小心者なのを忘れていた。


「リオ、しばらく目閉じてろ」


 相手が人間でないならば、一切手心を加える必要はない。

 それは即ち、これから残虐極まりない光景が始まるということだ。

 とても戦闘訓練を受けていない少女に見せられるものではない。

 俺はリオが目をつむったのを確認すると、自分自身に解呪をかけた。


 デバフが解除され、本来の筋力と耐久力が戻ってくる。


「お前を抱えたままでは動き辛いな」


 俺はまず、アギルを邪魔にならないよう隔離することにした。

 四肢を切断し、片っ端から個室の中に放り投げる。もちろん、アギル本体もだ。

 ゴブリンは回復系の魔法を使えない。これで当分は無害だろう。


 残った五匹に目を向ける。

 どうやら同胞の受けた仕打ちに、怒り心頭といった様子である。


「ふざけんじゃねえぞ! 地球にてめーみたいなのがいるなんて聞いてねえ!」


 中でも一際激しい怒りを見せるゴブリンが、俺の腹を殴りつけてきた。

 以前よりさらに硬度の増している俺の腹筋に、素手で打撃を加えたのだ。

 これではコンクリートにリンゴを思い切り叩きつけるのと、そう変わらない。

 単なる自爆行為でしかない。

 

「いってえ!」


 拳を抑えて悶絶するゴブリンを、一刀両断にする。

 リオを人質に取られては面倒だ。早く終わらせよう。

 俺は間髪入れずに踏み込み、流れ作業で残党狩りを始める。


 狭い空間でゴブリンを仕留めるのは慣れている。

 かつては日課だったのだ。


「助け……!」


 出口に向かった一体は、魔法の矢でアキレス腱を撃ち抜く。転んだ背中に飛び乗って、脊髄を切断。

 身動きが取れなくなった死体を、別のゴブリンに投げつける。

 足元に転がる敵は、転倒の元だ。さっさと投擲するに限る。


「ぐぎゃ!」


 直撃を受けたゴブリンが、仰向けにひっくり返る。

 もつれた敵集団に、まとめて剣を突き立てる。

 息絶えたゴブリンどもを、一つ一つ魔法で焼いていく。


 火事の恐れはない。実体を持たない魔力の炎は、目標以外の物体を燃やしはしない。

 面倒な作業だが、証拠を残す訳にはいかない。

 時間をかけて行なう。


「さて」


 五匹消した。

 仕上げに、アギルを放り込んだ個室に向かう。手足を失った、惨めな小鬼の元へと。


「どうしてお前だけを生かしたかわかるか?」

「尋問用だろ」

「話が早いな」


 俺はアギルの頭を右手で掴み、持ち上げる。


「なぜゴブリンがここにいる? どうやって来た?」

「無理だね。知らねえもんは知らねえ」

「雇い主でも庇ってるのか? 下等種族にしちゃ見上げた根性だな」

「ちげーよ」


 ゴブリンの口にはそぐわない、日本の若者言葉でアギルは言う。


「俺ら、記憶に制限かかってるからな。自分でもなんでここにいるかわかんねーんだよ。誰かとんでもなく強くて偉いやつに送り込まれたのも、大事な記憶を消されたのも覚えてる。でもそれだけだっつーの。残念だったな、勇者様」


 アギルの腹に蹴りを入れる。


「ぎぎゃあ!」


 ゴブリンの精神力など、大したものではない。

 痛めつければすぐに事実を吐く。


「知らねえ! 本当に知らねえ! もう殺せよ! なんにも知らねーんだから!」

「もっと舌の滑りをよくしたら、手足を再生させてやってもいいが」

「知らねーんだよおおおお! 俺も喋りてーんだよ! でもわかんねーんだよ! 畜生が! こっちだってじれったいんだよおお! 話せるものなら話してえよ! 助かりてえよ!」

「本物の藤本康介はどうしてる? これもわからないのか?」

「俺が知るわけねえだろ! 気がつきゃ人間の姿に変身出来るようになってただけだ!」


 アギルを握る手に力を込め、みしみしと頭蓋骨を締め上げる。


「あぎゃあ! 痛い痛い痛い痛い! 知らねえ! ほんとになんにもわかんねえ!」

「いつ頃から藤本の身分を手に入れた?」

「去年からだ! 痛えって!」

「まだまだ潜伏してるゴブリンはいるのか?」

「そう聞いてるけど、誰がそうなのかは俺も把握してねーよ!」

「嘘はついてなさそうだな」

「……ひぎ……ぎっ……ここまで話したんだ……等価交換だろ……俺を治療しろや、ゲス勇者……」


 俺は切り落としたアギルの手足を燃やしながら、言う。


「俺には内縁の妻がいた。ゴブリンのせいで、人生を奪われた女でな。俺はあいつと出会って以来、目についたゴブリンは片っ端から殺している。ゴブリンの魂は救いようがない。生まれついての悪だ。だから命を奪ってやるのが一番の治療なんだ。そういうわけで、お前にも死んで貰う」

「……は……?」

「次はもうちょい上等な生き物に生まれ変われよ。まあ、簡単だろうけどな。ウジだろうがゴキブリだろうが、お前らよりは位が高いんだから、何かに生まれ変わった時点で前世よりはマシだ」

「嫌だ! 嫌だあああああ! 殺すな! 殺すな殺すな殺すな殺すな! それが勇者のすることかよ! ふざけんじゃねえ! これなら早いとこ殺された方がマシだったじゃねえか! 喋り損だ!」

「じゃあな」


 べき、と首の骨を折ると、アギルは動かなくなった。

 死体は、魔法で焼いた。


 俺は個室を出て、リオに声をかけた。


「もう目開けていいぞ」


 手洗い場に向かい、蛇口をひねる。

 切断と同時に肉を焼く光剣を用いたため、返り血などない。

 だがそれでも、汚れ仕事をしたという実感がある。


 たっぷりと液体石鹸を使い、念入りに手を洗う。

 ハンカチで手を拭き、リオに近付く。


「帰るか」

「……あいつらのこと、殺したの?」

「ああ。人間じゃないからな。入れ替わった時期を考えると、藤本はお前にちょっかいを出してきた時にはもう、中身が別物だったようだな」

 

 立てるか? と手を差し出す。

 リオは弱々しく握り返してきたが、中々立ち上がろうとしない。


「……ごめん、足に力入らない。腰抜けちゃったみたいで」

「そりゃ不味いな」


 恐怖心で足腰が立たなくなったのだから、ダメージを負ったのは精神だ。

 肉体を癒やす回復魔法で、治せるものではない。


 どうすればいいのだろうか?


 カウンセラーに見せるのが一番なのだろうが、突然ゴブリンの集団に襲われましたと告白した場合、心の傷ではなく幻覚を疑われる気がする。

 

 俺はしゃがみ込み、視線の高さをリオと同じにする。


「もう化物はいないんだ。何も心配は要らない」

「……わかってるんだけど」


 でも力入らなくて、とリオは自分でも困っているような顔をしている。

 カクカクと震えた膝を、「あれ? なんで?」と言いながらバシバシと叩いていた。


「ちょっとここで休んでくか。どうせしばらくは人が入ってこないだろうし」

「……ん」


 いくらなんでも便所の床に座りっぱなしはどうかと思ったので、そっとリオを抱き上げる。

 いわゆるお姫様抱っこだ。

 

「あ」


 真っ赤になっているリオに、強化付与を施す。

 今の俺の腕力だとどこかを握り潰しかねないので、必要不可欠な措置なのだ。


 俺は強すぎる体を、リオは弱すぎる体を持て余している。

 ままならないものである。

 

 個室の扉を開け、便器の蓋を下ろす。その上に、リオを座らせる。

 

「……あいつらってなんなの」

「モンスターだ。この世界の住人じゃない」


 俺はリオから少し体を離して、顔をそらした。

 アギル達との会話は聞かれていたのだ。いくら亜人相手とはいえ、無慈悲な殺戮そのものだった。

 リオはきっと、俺にも恐怖心を抱いていることだろう。


「なんでそんなのが学校に紛れ込んでたの? 中元さんの使う不思議な力と、関係あるの」

「わからない。だが無関係ではないかもしれない」


 もうこの子とは、以前のような関係に戻れないかもしれないな、と思う。

 そりゃあ初めて会った時も暴力を見せつけたが、殺しまではやらなかった。

 何事にも限度というものがある。

 強い男が好きな女はいくらでもいるが、残酷な男を好きな女は滅多にいない。


「……さっきの中元さん、怖かった」

「だろうな」


 よくあることだ。

 魔物にさらわれた少女を助け出すと、怪物を見るような目で見られる。

 化物を倒すたび、化物に近付いていく。

 強さと人間らしさは、両立しないのである。


「引いたか?」


 この質問、喫茶店ではリオの方がしてきたんだったな、と内心おかしくなる。

 笑うような場面ではないはずなのに、自然と口の端が緩む。

 俺はもうおかしくなっているのかもしれない。


「……割と」


 リオの返事も、あの時のやり取りを逆にしたものだった。


「でもそれ以上に、格好いいって思ったよ」

「気を使わなくても構わないぞ」

「おべっかなんかじゃないもん……」


 リオの声は、今にも泣き出しそうになっていた。


「あたしのために頑張ってくれたんだよ。嫌いになるわけないじゃん……」

「手足をぶった切って焼いたんだぜ。鬼より鬼らしいと思うけどな」

「……怖いけど、好き……」

「ああ?」

「好き……」


 リオは両手を伸ばして、泣きじゃくっている。


「……ぎゅってして欲しい……」


 小鬼をなぶり殺した俺を、好きだと言ってくれるリオ。

 脳裏に、エルザと出会った時の場面が蘇る。

 薄暗い鍾乳洞。目の前でゴブリンを殺したというのに、俺を受け入れてくれたエルザ。

 

 俺の中で、二人の姿が重なる。


 長くて黒い髪も、寂しげな瞳も、細身の体も。本当によく似ている。


 気が付くと、俺は便器の上に座り込んでいた。

 向かい合う形で、リオを抱き締める。

 体が勝手に動いていた。


「……すっごい怖いけど……好きだよ……どっちの気持ちの方が大きいのか、自分でもわかんない……」


 リオの頭を撫でる。烏の濡羽色の髪が、指の間を流れ落ちる。

 さらさらとした感触に、理性が遠のきそうになる。

 まさに魔性。女の髪は、男を惑わせる。


【中元圭介は戦闘に勝利した!】

【EXPを6000獲得しました】

【スキルポイントを300獲得しました】

【斎藤理緒の好感度が9999上昇しました】

【斎藤理緒の好感度が上限を突破しました】


「……それ気持ちいい。自分の指で触るのと、全然違う」


 リオは目を閉じ、か細く息を吐いている。

 ただ髪を弄んでいるだけなのに、顔が火照り始めている。


【斎藤理緒の好感度は、合意なしの性交渉が途中で合意ありになるレベルに到達しました】

【実行に移しますか?】

【実行した場合、一定の確率で子供を作ることが出来ます】

【産まれた子供は両親のステータス傾向と一部のスキルを引き継ぎ、装備、アイテムの共有も可能となります】

【また子供に対してはクラスの譲渡も可能となります】


 リオは俺の胸に顔を擦り寄せると、「見て、ちゃんと足動く」と囁いた。

 しなやかな足が、俺の背中に絡みついてくる。


「……直ったみたい。くっついたおかげで、安心したんだと思う」

「ならよかった。外出るか?」

「んーん」


 リオは小さく首を横に振った。言い方も仕草も、いつもより子供っぽい。


「足使えるようになったから、色んなこと出来るよ」


【斎藤理緒の性的興奮が99%に到達しました】


 リオの目は潤んでいた。

 耳まで赤く染まり、呼吸が早くなっている。


「最後まで、したい……」


 ねだる声は、童女と娼婦の中間。

 相反する二つの音色を使いこなして、俺の体を求めてくる。


「駄目……?」

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