出会い

学校についた私は他の生徒とは比べ物にならない程、濡れているんじゃないかと思わざる負えない程びじょびじょだった。長い髪が風と雨でグシャグシャになり、妖怪やもののけの類と間違えられても仕方ないレベルの化け物だな、、、とトイレの鏡に写った自分を見て苦笑した。

ジャージに着替え教室に向かう。ぐじゅぐじゅと不快な声を靴が上げている。全くもって最悪だ。教室に入ると制服ではないからか好機の目線が飛んできている気がする。すべて私の妄想だ。多分私の耳は今真っ赤なのだろう。髪を伸ばしていて良かった。虚しい気分だ。最悪だったり不快だったり虚しかったり忙しい私だ。席に向かうまで私は他愛もない挨拶に「雨やばいよね〜マジ最悪だわ」的な+αを付け足して自分の席に向かう。私の席は窓側の一番うしろの席、ボーッとしていても先生に咎められることもない幸せな席、、、そう思っていたが勉強に全くついていけていない。期末試験が今から怖い。

ふと違和感を覚えた。1-3は29人学級。田舎だから生徒の数は少ない。そんなことはどうでもいいのだが、、、

教卓から見て、席が横に6つ。縦に5つ。一番うしろの列だけ6つではなく5つになっていて段違いのようになっていた、、、、はずなのだが6つになっている。私の席は窓から机一つ挟んだ席になってしまっていた。

「ウソン」

口からその一言がこぼれ落ちた。

今まで席運のなかった私は今までの席を大層喜んだというのに、、、、、。


しかしなんで席が、、、?もしかしたら転校生?そんなことを考えていたが、クラスメイトも同じような結論に至ったようで、ざわつきが大きくなっていた自分の隣の席に集まる目線がまるで私を見ているような錯覚に陥る。全くもって居心地悪い。

当然私はいま虫の居所が悪い。グチョグチョの靴を脱ぎ足をブラブラさせて、秘技:寝たフリを敢行。朝礼が始まるまで起きてから起こったことが脳内を駆け巡る。きっと将来酒でも飲みながら話す会話のタネにはもってこいだろう。


担任が入ってくる。まだ若いのに覇気のない顔、曲がり切った背中、ポツポツある白髪。いかに教師と言う職業かブラックか教えてくれる。口癖は「先生にはなるなよ」。なんやかんや言って結構好きな先生だ。ふと、違和感を覚えた。8時から朝礼なのだがうちの先生はいつもなら7:55には教室に入ってぼーっとしている、、、はずなのだが今日は8:02に入ってきた。きっとそうゆうことだろう。転校生なのだろう。私と窓の関係を破壊した妬ましき悪魔。

今日はすべてが負の感情で塗りつぶされて嫌だった。

「えー今日は転校生がいまーす」

軽いノリで担任が言う。忽ちざわざわとクラスメイトは雑音を上げる。「男?女?」「ヤバ〜」「かっこいい子がいいなぁ」そんな声が聞こえてくる。

「んじゃあ、入ってきて」

みんなの視線が一斉に前のドアに集まる。カロカロカロっとドアが開いた。男子の歓声が湧いた。私の顔は変顔の域に至るほどひしゃげた。

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告白 あぼべば @saiteihen

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