第20話 真の勇者

私は落ちこぼれと呼ばれていた。その原因は魔族なのに魔法が使えず、泥棒ハンタ―という人のスキル・魔法を1つだけ奪える、生涯一度しか使えないスキルを持っていたからである。

でも、そんな私でも父は大事に育ててくれた。

そんな、父は偉大な人だった。数万の魔族や魔物を引き連れ、魔法で村を一掃する。

私もいつか父のように…しかし、そんな偉大な父は1人の男によって倒された。

彼は1人で魔王城に乗り込み5秒足らずで父を殺した。

そして、彼は言う。

「ようやく魔王を倒したぞ」

隠れていた私は、はっきりと見た。感情もなく人間のように喋っている化け物の姿を。そして、私のスキル泥棒ハンターで見た、数えきれない程のスキルの数を。私は決めた、彼を殺してやると。その為に必要な道具を用意する。

彼が魔王城から出る時、私は魔族が誰も持ってなかった魔法 古代呪文ロストスペル泥棒ハンターで奪い取った。途中、謎の妨害が入り半分ほどしか手に入らなかったが私が復讐するには十分だった。

そこから8年、私は魔力の強化に専念した。あいつに復讐するために。


太陽の大槍サングランドランスか良い魔法だが練度が甘いな」

ロイは10本の槍を全て掻き消す。

「ほら、これが本物だ」

そして、メニエスが先ほどまで出していた槍を1本作り出す。

「…ッ‼」

それを、メニエスは全力で避ける。そして、

ジュウゥ…‼

と壁が溶ける。メニエスの槍とは温度が違うようだ。

「流石ですね。勇者」

彼女は余裕そう振舞っているが彼女はロイとの圧倒的差に絶望している。

「さぁ、これは。どうですか?」

と彼女は光の槍を出した。

「…聖なる槍ホーリーランスか」

「そうです。これは避けれないですよね」

そして、発射する。回避の出来ない速度で飛ぶ槍、それをロイの腹を貫通する。

「よ、よし」

喜ぶメニエス。だが、ロイの姿が消えた。

「おぉ、幻覚とは言え俺を倒したか」

「ッ‼」

後ろでのんびりと座っているロイ

「い、いつから幻覚魔法ファントムを?」

「?フェイを助けてからだ」

メニエスは絶望した、先程の聖なる槍により魔力が残り少ない。これでロイに勝つのは…

「さて、じゃあ。終わりにしてやろう。拘束バインド

メニエスが考えているうちに手と足が拘束される。解く事は出来ない。ロイはメニエスの頭に手を置く。

「さ、触るな‼」

「じゃあ、楽しめ。記憶の再生メモリーリプレイ

そこから先は地獄だった。

メニエスの頭に流れたのはロイが今まで聞いて来た悲鳴。今までロイが殺してきた魔族の悲鳴、魔族が殺してきた人間の悲鳴、それが響き渡る。

流れた時間は5分、メニエスは

「い、いやだ。やめて、止めて…」

悲鳴は止まっているが耳に残り離れない。

「はぁ」

ロイはため息をつき

「聞けメニエス」

強制スキルで話を聞かせる。

「お前を殺すのは簡単だ。だが、俺は魔王狩りをするのがこの先、毎年するのがめんどくさい。そこでだ」

彼は言う。

「俺の計画に協力しろ。そうすればお前ら魔族を助けてやろう」

心が折れたメニエスに魔王の様な提案をした。

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