最終話 これから始まる予定のスローライフ

魔王が座っていた椅子に座りロイは言った。

「さぁ、どうする魔王よ?」

「…拒否した場合どうなるのですか?」

少し冷静になったメニエスは言う。

「魔族全員を殺す。そうしないと1年後また魔王が出てくるだろう?」

これは同意を求めている訳ではない、彼は脅迫をしているのだ。

「だが、お前が計画に賛同すれば魔族全員を救ってやろう」

死ぬか生きるかの選択…しかし、引っかかる事がある、それは。

「…どのような手段をとるのですか?」

人間を力で支配するや魔族を別次元に送る、ロイには様々な選択が出来るだろう。その中でロイが選んだ方法は…

「世界の常識を書き換える」

「?それはどういう…」

洗脳魔法マインドコントロールの範囲を俺の魔力で拡大し全世界に行う」

一般人には無理だろうが、『勇者』であるロイという化け物にんげんには可能だ。魔法耐性や洗脳耐性を持っている者も耐えられないだろう。

「お前は平和で幸せな世界が見たくないか?」

ロイにとってはどちらでもいい事だった、魔族を全員殺せば魔物に脅かされる心配のない平和な世界にするか、それとも人間と魔族が手を取り合う世界にするか。たったそれだけの違いなのだから。

「…お願いします。私たちをお救いください」

魔王は救う選択肢を選んだ。やはりロイ以外の生き物にとって生きる事は大事な事なのだろう。では、何故平和な世界にならないのだろうか?

「そうか。じゃあ、この世界を書きかえるぞ」

「…最後に質問よろしいですか?」

「なんだ」

「あなた1人が洗脳魔法マインドコントロールをこっそり行えばよかったのに何故私に同意を求めたのですか?」

確かに洗脳魔法マインドコントロールを使えば8年という魔王との闘いをする必要が無くなったかもしれないのに

「…俺は最初、生き物が死ぬこと何てどうでも良かった。だって、そうだろう?生き物なんてみーんな一緒だ、今俺達が話している間にも次々と生き物が死んでいるんだぜ?お前もそんな者に意識を傾けたこと何てないだろう?」

これがロイの偏った思想、生き物が近くで死んでも見えないところで死んでも変わらないというものだった。

「だけどさ、1人の生き物が教えてくれたんだよ。生き物の摂理や生き方を。だから、俺はお前たちの事を救うという手段に出れる。魔族で最強のお前と話せる」

前のロイなら魔族に会ってすぐ殺すとかは全然あったんだろうと感じれる。

「さぁ、無駄話はもうおしまいだ。さっさと、世界の改変を行う」

そう彼が言うと彼の周りに魔法陣が展開される。

魔法が展開され数分の詠唱時間、魔王は段々と目が閉じて行った。…それだけでなくこの世界全土の生き物が眠りについたのであった。



「ん…んんー」

太陽の日差しにより1人の女性が目を覚ます。

(ここはロイの家?)

まだ寝ぼけている頭を高速で起こしていると。1人の男性が呼びにきた。

「おい、フェイ。もう朝だぞ」

「ん…あぁ。今行く」

何か思いだせそうだったが、彼と共に入って来たパンと目玉焼きのいい匂いで全てを忘れる。

フェイはゆっくりと体を起こし、まずは顔を洗いに行く。そして、ボサボサの髪を直し、ロイが待つ食卓に着いた。

「今日は村長から依頼があったボア狩り。それとゴーレムと協力して家の増築をするからな。早く食っちまえよ」

「ふぁいよ」

モゴモゴと口を動かし窓の外を見る。そして、彼女は言う。

「今日も平和だな」





終わり












「…ってこれで終わらせれるかーーー‼」

と言う声と共に何かが空から降って来た。

何事かとフェイはすぐに外に出る。いち早く外に出ていたロイは言う。

「はぁ、一番面倒な奴を忘れていたな」

「えっ?」

ポカンとしているフェイは置いておき。砂煙が晴れる。それと同時に

「マスター‼どうして私を置いてこんな所で暮らしているのですか」

とロイに飛びつく1人の少女、ロイはそれを華麗に躱し

「やっぱり、お前か『ムーンキャスト』」

彼女の名は『ムーンキャスト』またの名を聖剣『ムーンキャスト』ロイが魔王退治の際、何となく使っていた剣であり、人語を喋れる魔剣とされている物であった。

「まだまだ、俺ののんびりとした生活スローライフは始めれないみたいだな」

と彼は笑い聖剣を張った押す。



しかし、これはまだ先の話であり、我々には関係のない話だ。

だから、この世界の物語はこれで終わりとしよう。

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