第18話 魔王討伐

ロイとフェイが魔王討伐の旅に出て約3時間、総移動距離は3000キロ程達したころ「私は四天王のハンバイル、お前を殺す為にここにきた」

と2人目の四天王が現れた。自分の体より大きな剣を抱え、種族は獣人、ミノタウロスだった。

「喰らえ我が最強のスキル…」

そして、大きく剣を振りかぶりスキルを発動する。

「風刃」

剣を振りぬくと三日月形の風が前方に飛ぶ。そして、ロイの方に一直線

「じゃあ、こっちも風刃っと」

とロイは持っていた木の枝を横に振りぬく。すると、ハンバイルの風刃は搔き消され、そのまま体を真っ二つにした。

「いやー、伐採用スキルを攻撃に使ってくるのは驚いたな」

※これはロイの考えであり、実際は立派な攻撃スキルです。

「ロイ、お前本当に力の調整マイナスを発動させているのか?」

とフェイが疑問を抱く。確かに相手は腐っても四天王、ゴブリンと戦えるステータスに調整されているロイがワンパンで倒せるというのもおかしな話である。

「あぁ、発動させているぞ」

「だが…」

「どうして、あいつの風刃に勝てたか?だろう。フェイは1つ勘違いをしている」

「勘違い?」

「スキルにはそれぞれ適切な使い方があって、極めていくにつれそれが分かってくる。今の風刃の当てあいだって俺は風の密度が濃い部分を薄い部分に当てて風刃を壊しただけ…つまり、スキルは体の強さステータスだけでは決まらないってことだよ」

これが一度見たスキルを完璧に扱い理解している男なのである。

「長話しちまったな。さっさと行くぞフェイ」

そして、再び走り始める。フェイはロイが焦っているのを感じロイの後ろに付いて行った。

そして、ここからロイは速攻攻略ダイジェストを始めた。

「私は四天王のメメジェザードよ。お前たちを石に…」

彼女は石となりロイに砕かれ死亡した。

「拙僧は剣の道を極めた…」

彼はロイに首を斬られ死亡した。

そして、遂に

「ようやく着いたな、フェイ」

「俺は何もしてないがな」

特に苦労せず四天王を全員倒して魔王城に到着した。かかった時間は合計で6時間、辺りは暗くなり魔王城からは禍々しい空気を感じる事が出来る。

フェイは冷や汗をかきながら城の大扉(入口)に近づく。

「まだ、大広間は先だからそんな緊張しなくていいぞ。フェイ」

と魔王討伐に慣れているロイがフェイに声を掛ける。

そして、扉に手をかけ力いっぱい押す。すると、ゴゴゴゴとゆっくり扉が動き始めた。

そして、

「…フェイ避けろ‼」

と突然ロイが横にいたフェイを突き飛ばした。そして、フェイのいた場所が一気に赤くなり。…爆発する。

「ロイ‼」

急いで体勢を立て直したフェイが見たのは真っ黒になっているロイの姿だった。

「あらあら、強い方がロイさんだと思ったのに…まぁ、結果的に殺せたので良しとしましょう」

と声がし、そちらを見ると足を組み玉座に座っている女の子の姿があった。

「どうも、助かった者フェンリル。私の名前はメニエス。今代の魔王です」

微笑みを浮かべている彼女、黒くなったロイを絶望した表情でフェイは見ていたのだった。

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