第17話 四天王

森で狩りの方法をフェイから教わっていたロイ、その最中に目の前に現れたのは四天王であった。

「ロイ、奴の事を知っているのか?」

「…あぁ、知っているさ」

深刻そうな顔でロイは答える。

「そうだよな。俺とお前は深い関係にあるもんな」

生き生きとしている四天王

「あいつは…ええと何処かの国を襲っていたような」

更に悩むロイ。どうやらその悩みの種は四天王あれの名前を思い出せない事にあるようだ。

「…俺の事を憶えてないのか?」

「いやー、お前に似た魔物を何回も倒してきたものだからどれだか見分けがつかなくて」

現在、力の調整マイナスにより観察眼の使用が制限されているロイ。その為、自力で見分けるしかないのだ。

「メノンか…ダバラか、いや、サブン。どれだ?」

一応、覚えてはいるようだ。

「ハミラだ‼」

とうとう怒りハミラと名乗った四天王、それに対しロイは

「あぁ、2年前に魔王城入口で立ってた奴か」

と細かい所まで思い出したようだ。

「そうだ、お前の事を誰よりも長く足止めしたあのハミラ様だ」

「2年前のロイを足止めしただと⁉」

ロイの強さをよく知っているフェイは驚く。2年前とは言えロイの強さステータスは数値に表示出来ない程になっている。それを足止めする、それがどれほど凄いことなのか。

「あぁ、だって君、無敵むてきのスキル持ってたじゃん」

無敵…ありとあらゆるものに完全なる耐性を得る。移動速度が落ちる。

「フェイ気にしなくていいよ。俺がこいつに足止めされたのは5秒だけだから」

無敵…継続時間5秒

「ふはは、そうだ。確かにあの時の俺は5秒しか無敵になれなかった。しかし、今の俺は違う。日々の特訓により俺のスキルは進化した」

その言葉を聞きフェイは身構える。

「進化だと…一体何が出来るようになったんだ‼」

と焦るフェイ。その隣でロイは自分の無敵のスキルについて思い出していた。

「ふっ、なめるなよ。俺の無敵のスキルはな」

少し間を開けハミラが語る

「継続時間が15秒になったんだ」

力の調節マイナスの対象変更 対象ハミラ」

そこからは早かった。ロイの攻撃を無敵で15秒間無効化する。が、ロイとフェイは無敵が発動した段階でハミラに近づかず、ハミラはのそのそとした動きでロイやフェイの方に動いていた。15秒が終わりハミラが高速で動けるようになってもフェイの動きに追いつけなかったりやロイが完全なる無敵(…継続時間が無限で移動速度が落ちない)を発動させたりしたことでハミラはボコボコにされたのだった。

「ふぅ、弱かったな。四天王」

「いや、ロイの事前知識があったおかげだよ」

顔の形が変わるまで殴られ別物と化しているハミラの横で友情物語を繰り広げる2人。

じわじわとハミラが消滅し始めたころ。

「さぁ、村に帰ろう」

と日も暮れ始めたのでフェイが提案する。しかし、

「いや、魔王を倒しに行くぞ」

とロイは提案をする。

「なぜだ?」

「四天王が死んでこの場所が知られたからだ。すぐに魔王が次の魔物をここに送ってくるだろう。だから、その前に魔王を狩る」

「そうか…」

フェイは悩んだ、魔王という先ほどとは比べ物にならない程、強い存在。足を引っ張らないだろうか、ロイの力に完全に頼りきりになってしまうのではないかと。

「ふっ」

しかし、考えはロイの顔を見ると吹っ飛んだ。表情は無だったか寂しそうに見えたロイの顔を。フェイは笑いながら言う。

「そんな顔するな、大丈夫だ、迷惑かけながらでも付いて行くさ」

「?」

ロイは無理やりにでも連れて行くつもりだった為、何のことか分からず不思議そうな顔をした。

こうして、2人の魔王討伐旅が始まったのだった。

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