第16話 狩り基本…しかし、異変

森を歩き始め10分ほど

「ほら、見ろロイ。ボアがいたぞ」

目を輝かせながらフェイは言う。視線の先にはボアが2体

「さぁ、ロイ。ボアを狩るとき何処を狙うか分かるか?」

「弓なら痺れ草や毒草を塗る、剣なら喉を狙うかな」

ボアと剣でやりあう事を普通想定しないだろう。

「正解だ。でも、その弓を使うと肉が食べられなくなるからな。今回は剣で行くぞ」

まともだと思われていたフェイはまともではなかったようだ。

「じゃあ、同時に狩るぞ」

3、2、1とカウントを取り同時に飛び出す。

すると、フェイ側のボアが気づき声を上げようとする。しかし、その前に喉を斬りつける。

「終わったな」

そして、ボアは声も出せずその場に倒れた。

対するロイはボアにも気づかれず縮地で一瞬で距離を詰め、喉を斬っていた。ボアも斬られる直前まで気が付かなかったようだ。

返り血1つ付けずに立っている化け物ロイ

「まぁ、その方がボアも楽に死ねるか」

その一連の動きを見ていたフェイは怖がるわけでもなくボアの感情を考えていた。これはフェイが狂っている訳ではないこれがフェイという生き物である。

「なぁ、フェイ。これから一緒に仕事をしないか?」

ロイがボアを担ぎながらフェイに言う。

これはロイにとって初めての心からの誘いであり、フェイを認めた証であった。

「急にどうしたんだ?」

「今まで俺は何かを掴めるかもしれないと色んな人とパーティを組んだ。一国の王の息子、力の大会に優勝した女戦士…彼らは自分たちの利益しか見てなかった。口では仲間を語っていたが、なるべく楽をして戦闘をする。俺が作戦を話してもお前がどうせ片付けるだろう?と話す。途中から俺は1人で戦ってたよ、1人魔王城まで駆け出し殴り倒す。全部それだけだった。でも、お前は違う。仲間の事を考え作戦を組む。お前となら対等な仲間になれる気がする」

初めて出会ったロイが手を抜いても問題ない者

「対等ではないだろうな。お前の方が絶対強いし」

手を抜いたとしても

「でも、お前への考えが今日変わった。お前とは楽しい毎日が送れそうだ。だから、今日からよろしく頼むぜ」

フェイは笑顔でロイに握手を求める。

「あぁ。よろしく頼む」

がっちりとロイもフェイの手を握り不器用な作り笑顔を向ける。

「ばか、握る力が強い」

「あぁ、すまん、すまん」

と二人の笑い声が森に響く。こんな時が永遠に続けばいいのに。しかし、そんな願いは届かない

「「…ッ‼」」

遠くから何かが近づいてくる。

「これは…」

ロイは何か知っているようだ。そして、すぐにその何か姿を現した。

「力が消失したと報告を受けてきてみれば勇者を見つけるとは魔王様にいい報告が出来そうだ」

「やっぱり四天王か」

強さで察しているロイ。その目は逃がすつもりのない狩人の目であった。

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