第11話 勇者の昔話part1
この世界において
ロイの誕生はこの世界『オルトレイン』の南部にある[サンゲツ村]という小さな村で育った。
「あぁ、生きてる。生きてるよ」
泣きながら赤ん坊を抱いている彼女の名前はロザート・フォーリナー、ロイの母親である。何故彼女が泣いているのかというと、赤ん坊であるロイが出産する時に死にかけたからであった。
しかし、ここで彼女は違和感に気が付く。
「あれ?泣かない」
産まれて直ぐの赤ん坊が泣かないのである。それどころか何処か別の場所を見ている様だった。
ロイの視線の先にはステータス表があった。産まれ持ってのスキルの1つ観察眼により彼の母親のステータスを解析していたのだった。
「強い子なのかな?」
彼女はポジティブだった。無知ゆえの前向きさであった。
一方ロイは鏡に映った、自身のステータスを見ていた。
ステータス更新
名 前:ロザート・フォーリナー
年 齢:25歳
職 業:農民
装 備:布の服
体 力:50
力 :15
魔力量:20
耐久力:15(+3)=18
素早さ:18
スキル:料理Ⅲ 裁縫Ⅱ
魔 法:無し
名 前:ロイ・フォーリナー
年 齢:0歳
職 業:勇者
装 備:なし
体 力:2
力 :2
魔力量:2
耐久力:2
素早さ:2
スキル:『勇者』(プラス:能力値が毎日2倍されていく。1度、解析したスキル・魔法を完璧に使いこなせる。マイナス:人間としての感情の欠落)観察眼 料理Ⅹ
魔 法:無し
普通ではない最弱のステータス値だった、普通の赤ん坊でも5はあると言うのに。しかし、このステータス値はこの日が最初で最後であった。
次の日、ロイのステータスは4になっていた。そのまた次の日8に…。
そして、生後18日目には測定不能になっていたのだった。
生後19日目
「わぁ、凄い。ロイが立ったわ」
実際は5日目で立ち上がっていたが母親がロイの立ち姿を見たのは、この日が初めてであった。
「こっちおいで、ロイ」
と言いギュッとロイを抱きしめる。しかし、これはロイにと手は迷惑な事だった。何故なら、力加減を上手くできず少しでも加減を間違えると母親を殺してしまうからであった。彼が力加減を憶えたのは9年後の事だった。
9年後
村に来た魔法使いや冒険者たちの魔法・スキルを解析し習得しいった。その日、フェンリルのフェル、今で言うフェイに出会った。ロイにとってフェンリルも他の生物も変わらず弱かったが、人より頑丈で喋る知性がある
ここから1年後
「おお、探しましたよ。我らが勇者よ。魔王を倒しこの世界をお救いください」
と村に王様がやってきた。しかし、母親は拒否をした。当たり前だろう10歳の子供を戦場に送るなど拒否するに決まっている。
王は仕方がないと諦めたふりをし、寝ているロイを誘拐する計画を立てた。しかし、この計画は失敗に終わる。何故なら、ロイが眠らず攻めてきた兵士を壊滅させたからであった。
ん?でも、11歳の頃にロイは魔王討伐を行ってるだろだって?それは、簡単な話だ。兵士を壊滅させている時、母親を人質に取られたからである。別に母親を拘束されようが兵士だけを殺すことは出来た。だが、母親に汚らわしい血を被せる訳にはいかないとしょうがなく王の要求に応じたのだった。しかし、ただ王の駒として応じたわけではない。勿論条件という名の脅しをかけた。
1.村に手を出さない(特に母親)
2.討伐金は母親に送る事
3.いつでも
そして、王は条件を飲んだ。否飲まざるを得なかったのであった。
王は調子に調子に乗ることがあるがこれは他の民に王とロイは対等であることを演じる為であり、調子に乗っている時は冷や汗をダラダラと書いていたようだった。
こうして、ロイの魔王討伐が始まった訳だが、まだ半分なのである。
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