第29話 気のふれそうな夜 絵が描きたい
この詩句は、絵画を描く詩句ではなかった。絵画制作の高揚感の先にある激越な情感を表わし、それは飲酒に惑溺することであり、色欲に惑溺することであった。
阿佐ヶ谷の街には、飲み屋が駅前の西と東の通りに列をなしてあった。バー「
一番街ではないが、「マンボ亭」には一時期毎日行っていた。店はウナギの寝床のような建物のなかにあり、暗い照明の店内の椅子に座って、ガラス扉を通して外の風景を見るのが好きだった。
バー「ランボー」は詩人と云われていた六十年配のマスターが経営していた呑屋で、L字型のカウンター席だけ、10人座れない店であった。「ランボー」は木造家屋の急な階段の二階にあった。私は、とても楽しい時間をすごした。
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