no11...鍾乳洞
「ゲホッ。だめだぁ、喉乾いて喉痛い」
『鍾乳洞は この先だ』
「おっけい、行こうか」
エンシェントデビルやフレアラットと戦った場所からしばらく先へ進むと、カグラの言った通り鍾乳洞が現れた。天井からは鍾乳石がたれており、床にはそれを受けて出来た石筍が立っている。
『ふむ 鍾乳洞だな』
「そうだね。確か、水の浸食によって出来るんだったかな」
鍾乳洞は結構な広さだった。
ルーメンの光を頼りに歩いてみたけど、高さは四メートルくらいで横幅は十メートルほどの広さがあり、ほんのり水の匂いがして少し肌寒い。所々からぴちょんと水が落ちる音が聞こえるけど、それ以外はすごく静かだった。
〉絶死のダンジョンの地下ってこうなってんのか
〉誰も生きて帰ってきたことないからな
〉貴重な情報だな
〉鍾乳洞があるってことは水があるんじゃね?
〉だな。あとは食い物さえあれば野営できるな
〉おいおいふざけんなよ。何時間やるんだよ。さっさと死ねよ
ふふん。水さえ手に入れればこっちのものよ!
絶対生きて脱出してやるんだから!
光魔法のおかげで私の周りは明るいけど、それが逆に鍾乳洞や石筍の影を作り、死角を増やしてしまっている。
『何かいるな』
「え、本当?っていうか、なんでわかるの? 見えてるの?」
『我には 目がないだろう』
「そりゃそうだね。剣だし」
『故に 魔力でだいたいの地形や生命体の位置を把握している』
「それどれくらいの距離までわかるの?」
『ちょうどこの鍾乳洞の範囲程度だ』
となると、カグラの魔力検知の範囲は十メートルくらいか。私の光魔法ルーメンが二メートルくらい先しか光が届いてないから、私より実質の視野が広いのは納得した。
【光魔法のレベルが上がりました】
カグラの「何かがいるな」の一言で足が止まっていた私の脳内に、突然例のアナウンスが流れた。それと同時にルーメンの効果範囲が少しだけ広がり、四メートルほど先まで照らしてくれる。
「わお、光魔法のレベルが上がって見える範囲が広がったよ」
少しだけ視野が広がって喜んで歩き始めた瞬間だった。
『待て 上に何かいるぞ』
カグラの声に導かれて上を見上げると、ギョッとするほど大きな蜘蛛のモンスターが天井にへばりついていた。大きいとはいっても、さっきのフレアラットよりは小さい。しかし、黒い身体に白い模様の入った蜘蛛は、複眼が赤く光っており気持ち悪い。
『おい 我を投げるなよ』
「な、投げないよ!」
えへへ、ちょっとやろうかと思ってました。
蜘蛛って基本的に無害というか、害虫を駆除してくれる種類まであるので、おばあちゃんには「殺しちゃあかん。窓から逃がしなさい」って、よく言われてたことを思い出した。
『ストリングタラテクトだ 糸の操作に特化しているぞ』
「糸? よくわかんないけど、先手必勝だね!」
私は左手を蜘蛛に向けると、狙いを定めて魔法を発動させた。
「《雷神魔法》ライジングボルトォ!」
バリバリと私の左手に紫色の雷が帯電すると、蜘蛛に向かって電撃が奔る。フレアラットで感覚を掴んだのか、電撃は真っ直ぐ蜘蛛に向かって伸び、着撃!
したはずなのに、何も起きない。
バチバチと蜘蛛の周りに放電が走っているけど、びくともして無い。
「え? 効いてない?」
『確か ストリングタラテクトは』
カグラが何か言おうとした時だった。
ストリングタラテクトが高速で糸を飛ばしてきた。え、どうしよう!と思う間も無く、カグラが超級神剣術によって糸を粉々に切り刻む。
「カグラ、ありがとう!」
『ストリングタラテクトは雷系魔法が効かん』
「え?! そうなの? わ!」
話してる間にも次々と糸が飛ばされ、カグラが全て防いでくれる。
『油断するな 下半身は貴様しか動かせん』
「う、うん!」
〉タラテクト系か、あの糸がやっかいだよな
〉あいつら群れることあるからな
〉ま、これで悪女も終わりだろう
〉蜘蛛に食われて死ぬなんて悪女らしいな
コメントに何か攻略の情報がないか耳を傾けたが、私への罵倒しかないと判断すると、カグラが糸の攻撃を防いでくれている間に、私は《ちょっと鑑定》を蜘蛛モンスターに使ってみた。
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名 前:ストリングタラテクト
種 族:昆虫 レベル:121
固 有:電撃無効
スキル:蜘蛛糸Lv10 操糸Lv8 悪食Lv3 空間機動Lv7 高速移動Lv4
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本当だ。よりによって電撃無効なんだ。
高速移動に、空間機動? それと操糸ってなんだろ。
私がまったりストリングタラテクトのステータスを見てる時だった。
背後から現れたもう一匹のストリングタラテクトが、私の左足にぐるぐると糸を巻き付けた。
――配信累計時間:3時間25分
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蜘蛛系モンスター登場!
まさかの電撃無効だ! 涼音!後ろ後ろ!
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