no10...レベルアップ

 再び頭の中を【レベルアップしました】の声が埋める中、私はプンスカと怒るカグラに必死に謝っていた。


「ごめんてばー」


『貴様 我をなんだと思っているのだ』


「避雷針……じゃなかった、神剣だよ! 神剣様!」


『そうであろう 我を敬え 主と崇めよ』


「え、でもテイムされたから私のペットじゃん」


『叩き切るぞ』


 避雷針代わりに使ったカグラは無傷だった。ちょっと持ち手の布が焦げたけど、元々汚れてたし問題なし。


 レベルアップの声が止まったから、私はカグラのお小言を無視して自分に《ちょっと鑑定》を使ってみた。


=======================

名 前:ベネッサ・ユーリーン

種 族:人間(テイマー★)  レベル:37

固 有:王家の血筋

スキル:ちょっと鑑定Lv2 モブテイムLv1 光魔法Lv1 配信魔法Lv1 超級神剣術 神剣献上 雷神魔法Lv1 煉獄魔法Lv1

=======================


「あ! レベル37になってるよ! あとフレアラットの煉獄魔法も追加されてる!」


『貴様 我の話を聞いていないだろう』


 ライジングボルトで倒した後、カグラでフレアラットの死骸から魔核を破壊した。どうやら魔法で倒しても魔核は残るみたいで、ちゃんとカグラでスキルを回収出来てよかった。


『MP節約の方が レアスキルなのだがな』


「えーでもこれで火が使えるよ?! お肉とか焼けるじゃん!」


『そうか 人間は腹が減る生き物だったな フレアラットを食うが良い』


「えー」


 ネズミを食べるのかぁ……と思ったけど、カグラの言うことはもっともだ。エンシェントデビルは悪魔なのでちょっと心理的に食べるのは無理だけど、フレアラットなら切ってちゃんと焼けば食べれないことはない。気がする……。


「ねぇ、この煉獄魔法って……。あ、鑑定すれば良いんだった」


 《ちょっと鑑定》で、煉獄魔法を調べると雷神魔法の火炎版だと言うことがすぐにわかった。それ以上の情報は無い。


=======================

煉獄魔法 〈アクティブスキル〉

 地獄の業火の如き炎による攻撃を行う

 Lv1:フレアバレット :強力な火炎弾を放つ(低確率で火傷)

=======================


「ふーん、《フレアバレット》」


 手をかざして魔法名を口にしたら、右手に赤とオレンジの混ざったような色のオーラが集まり、ボッと火炎弾が出てフレアラットの死骸に当たって弾けた。


〉は? あいつ火魔法を使ったぞ!

〉いや、あれは煉獄魔法だな。昔見たことがある

〉どういうことだよ?!

〉さっきは悪魔系モンスターを倒したら雷神魔法を使いだして、今度はラット系のモンスターを倒して火魔法?

〉倒したモンスターの魔法を使えるのか?


 視聴者になかなか感の鋭い人がいるみたい。カグラの能力に気づいちゃったかな? ここを出て、カグラを売ったらいいお金になるのでは?


『貴様 何か今 無粋な事を想像してないか?』


「え?! し、してないよ?!」


『なにやら邪な魔力が流れてきたものでな』


 危ない危ない。テイムしてるとそんなこともわかっちゃうんだ。気をつけないと……。


「あれ? カグラ、見てフレアラットのお肉、焼けてないんだけど、赤いまんま」


『ふむ もしかしたら火耐性が強いのかも知れぬ』


「あー、あったよ。固有スキルに火耐性【大】って」


『ならば火では焼けぬ』


「え、じゃあフレアラットのお肉は……」


『生で喰え』


「そんなぁ~」


〉やっぱり、こいつなんか誰かと喋ってね?

〉それな。俺も前から気になってたんだよ

〉明らかに口が動いてるし

〉ラットの死骸に向かって喋ってね?


 こっちの声が届かないみたいだから、見てる人からは私の動きが一人芝居みたいにを見えるのか。なんかちょっと恥ずかしい……。


【配信累計時間が3時間を超えました】

【配信魔法のレベルが2へ上がりました】


「ん? なんて?」


『どうした』


「いまなんか、配信魔法のレベルが上がったって、何かわかる?」


『配信魔法のというものを 我は知らぬ』


「そうなんだ。最近発明されたとかそういうものなのかな?」


『鑑定してみよ』


「うん」


 《ちょっと鑑定》で配信魔法を見てみた。


=======================

配信魔法

 Lv1:コメ視聴:コメントが聞ける

 Lv2:ゆっくり配信:ゆっくりになる

=======================


 ゆっくり配信? ってなに? とりあえずやってみよっと。


「《配信魔法》ゆっくり配信!」


 ??


 何も起きない……?


〉なんか映像カクカクしてね?

〉うん、なんかカクカクしてんな

〉配信スライムの調子が悪いのか?


 あー、そういう……ことかー。

 配信者側からしたらゆっくりに見えるのかな?


『その魔法 何の 効果が あるのだ?』


「それは 私も 知りたい くらいだよ」


「て、あれ? カグラ なんか私 動きがゆっくり」


『うむ 我も 動きが 硬い』


「まさか 配信スライムで 映されてる部分の 動きが 遅く なる魔法?」


 ダメだ、動きがもっさりすぎる。本当に何の意味がある魔法なんだろ……。解除しよう、解除っ言えばいいのかな?


「《配信魔法》ゆっくり配信 解除!」


「どう?」


『戻ったな』


「この魔法、使い道が無さそうだね」


〉あれ? カクカク直ったな

〉やっぱり距離が遠いからか?

〉スライムの不具合か?

〉最近見つかったばかりの新種だからな


 そうなんだ。配信スライムって最近見つかったんだ。だからカグラも知らなかったのかな。他にはどんな魔法があるのか気になるね。《はやい配信》とかあったら早く動けるのかな?


――配信累計時間:3時間12分



―――――――――――――――――――――

ゆっくりしていってね!配信ですね

あとで何かに使えそう!

―――――――――――――――――――――


この作品を読んで頂きありがとうございます


執筆の励みとなりますので、フォローと★で応援お願いします。

「面白い!頑張れ!」と思ったら★3を

「まぁまぁかな」と思ったら★1をお願いします。ペコリ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る